Today's Insight

2019/5/13 11:00作成

通商協議は中国の動きがカギに

■ 大阪G20まではリスクオフの地合いが持続することは避けられよう
■ ただ、交渉難航を示唆する関連報道、特に中国側の動向には神経質に反応しよう

 先週末に行われた米中通商協議は決裂こそ回避したものの、米中双方の立場に隔たりが大きいことが明らかとなった。米国は日本時間10日午後1時から、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げ、中国は具体策を示していないものの、対抗措置に動く構えを鮮明にしている。さらに13日、トランプ米政権は中国からの輸入品すべてに制裁関税を拡大する「第4弾」の詳細案を公表する。米通商代表部(USTR)は声明で、「トランプ大統領は残るすべての中国製品の関税を引き上げるよう指示した。金額はおよそ3000億ドル分になる」と表明。産業界の意見を踏まえて発動日や対象品目を最終的に決める予定で、実際の発動には2カ月以上かかる公算が大きい。国際通貨基金(IMF)によれば、米中が相互に全輸入品に25%の関税をかけた場合、2019年の成長率は米国で0.2ポイント程度、中国で1.2ポイント程度、メインシナリオから下振れすると試算されている。中国では6%台前半としている2019年の成長率目標の達成が厳しくなるだろう。

 関税引き上げがマクロ経済に及ぼす悪影響の大きさを踏まえれば、金融市場の冷静な反応は拍子抜けするほどだった。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は12日、(1)新たな協議の日程はまだ設定されていないものの、中国がライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官を再び北京に招いたこと、(2)トランプ大統領と習近平国家主席が6月下旬に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会合にあわせて会談する可能性が高いこと、を明らかにした。大阪G20までは通商交渉が妥結に向かうとの期待感が相場の下支えとなり、リスクオフの地合いが持続することは避けられよう。しかしながら、関税引き上げは中国景気の押し下げと米国物価の押し上げに作用すると思われ、通商協議が長期化するほど悪影響は大きくなり、足元のリスクオン相場の背景となっている景気減速懸念の後退と中央銀行のハト派姿勢という要素を減殺する恐れがある。交渉難航を示唆する関連報道、特に中国側の動向に神経質に反応する相場展開が想定される。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
山口 真弘

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