Today's Insight

2024/9/4 13:00作成

豪州はプラス成長を維持したが

■ 豪経常収支は財・サービス黒字縮小と所得赤字拡大により2四半期連続の赤字
■ 中国製造業の活動縮小や鉄鉱石先物価格など商品価格下落も豪ドル安の一因

 3日、豪統計局(ABS)が公表した4-6月期の経常収支は107億2500万豪ドルの赤字と市場予想(59億豪ドル赤字)を大幅に上回る赤字となった。商品価格下落などを背景に財・サービス収支は119億7900万豪ドル黒字と2018年10-12月期以来の低水準に黒字幅が縮小。また、海外への配当金や債務利子の支払いが膨らみ、第一次所得収支が224億5700万豪ドル赤字へ赤字幅が拡大した。6年ぶりの大幅な赤字額はGDP比1.6%と2018年7-9月期以来の高水準となった。

 本日公表の4-6月期豪実質GDPは前期比0.2%増と前期並みの成長となり(1-3月期は同0.1%増から同0.2%増へ上方改定)、11四半期連続でプラス成長を維持した。ただ、GDPの50%を占める家計消費は同0.2%減と物価高に伴う裁量支出減少を背景に低迷が続き、コロナ禍による都市封鎖が影響した2021年7-9月期以来の低水準。また、設備投資は同1.5%減と2四半期連続で減少し成長を下押しした。一方、純輸出はGDPに0.2%ポイントプラス寄与したが、交易条件が悪化し外需の増勢は鈍化した。

 豪ドル米ドルは実質GDP発表前に0.66米ドル台後半の安値を付けたが、経常収支悪化によるGDP成長率の下振れリスクは織り込み済みで、足元は0.67米ドル台を回復している。ただ、先週末以降の豪ドル安・米ドル高は中国の製造業活動が縮小傾向をたどり、同国の鉄鋼市場を巡る楽観論が修正され、鉄鉱石先物価格が急反落していることも一因となっている。明日公表される7月の豪貿易収支は黒字幅が縮小する見込み。豪中銀(RBA)は金融引き締め姿勢を維持しており、豪ドル米ドルは8月以降の上昇幅に対する38.2%戻し0.6641米ドルで下げ止まると予想しているが、豪景気先行きへの不安は残る。同水準を下抜ければ同50.0%戻し0.6584米ドルが次の下値メドとなろう。

投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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