Today's Insight

2026/1/23 10:40作成

中国:経済成長は基調的に鈍化へ

■ 政府の経済構造改革により、消費や投資などの国内需要は引き続き低迷
■ ハイテク製品の普及や前年の政策効果の一巡で、需要拡大策による景気浮揚は限定的だろう

 中国では19日に多くの経済指標が発表され、昨年末までの経済状況が概ね明らかとなった。昨年10-12月期の実質GDP成長率(前年比4.5%)は2四半期連続で5%を下回ったが、年前半の高成長の寄与により、形式上は2025年通年(同5.0%)で成長率目標が達成された。第15次五カ年計画の骨子案を発表した昨年10月の第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)や今年の経済政策運営方針を示した昨年12月の中央経済工作会議では、例年行われてきた経済成長率などの数値目標の提示が見送られており、中国政府は3月の全国人民代表大会(全人代)に向けてどの程度の成長減速を容認するのか検討していると推測される。

 昨年12月の月次指標は、鉱工業生産(前年比5.2%増)、輸出(同6.6%増)、サービス業生産指数(同5.0%上昇)の増加・上昇ペースは加速し前年比5%以上の成長を記録した反面、小売売上高(同0.9%増)が7カ月連続で増勢を弱め、固定資産投資(農村部除く、年初来同3.8%減)は減少ペースが加速した。コンピュータ・通信・その他電子機器の生産や集積回路(IC)の輸出が大幅に増加し、昨年10月末に合意した10%の対中関税引き下げによってハイテク製品の生産や交易活動はやや勢いを取り戻した。その一方で、消費や投資など内需に関連する経済活動は一段と悪化した。小売売上高では前年の政策支援効果の一巡により家電・音声映像機器、自動車などが減少し、固定資産投資では製造業、インフラ開発、不動産開発の全ての主要項目が落ち込んでいる。中国政府の「反内巻」政策の推進により過当競争の是正や過剰資本ストック縮減などの構造調整が促されており、米中対立による対米貿易の停滞よりも中国政府の経済構造改革の断行が国内活動低迷の主因となっている。

 中央経済工作会議では今年の重点任務の筆頭に国内需要拡大を挙げ、今年始まる第15次五カ年計画では「質の高い発展」などの構造改革を一段と推進する方針が示されている。時間軸が異なるため理論上は政策の両立が可能ながら、先端分野に的を絞った需要創出策は先端製品の普及により前年ほどの乗数効果が期待できない。前年の政策効果の一巡も加わり消費拡大ペースは緩やかだろう。より政策介入が必要な不動産不況はリスク管理に位置付けられており、具体策は在庫住宅の保障性住宅への転用などに限られている。経済成長は基調的に鈍化し、政策支援は減速ペースの調整役にとどまることが見込まれる。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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