Today's Insight

2019/7/11 12:30作成

パウエルFRB議長は緩和姿勢を変更せず

■ FRBは米景気の不確実性への対処を重視か
■ 7月のFOMCでは利下げ実施が確実視されつつある

 7月10日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は米下院金融サービス委員会で議会証言を行った。(1)米国経済に対する現状認識、(2)7月の米連邦公開市場委員会(FOMC、30、31日開催)での利下げの有無や利下げ幅に関する手掛かり、などが注目点となった。

 (1)については、6月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比22.4万人増と堅調な結果となったほか、6月末の米中首脳会談で貿易摩擦の一段の激化は回避されている。しかし、パウエル議長は現状でも、貿易を巡る不確実性と世界経済への懸念が米国経済の重しになっていると指摘。質疑応答では、雇用統計の結果はFRBの見通しに変化を与えていないとの認識も示した。そのため、足元の状況よりも、先行きの不確実性を背景とした景気下振れリスクへの対処を政策判断を下すうえで、より重視していると思われる。

 (1)の状況を踏まえて、(2)についてパウエル議長は、米国経済の下支えに向け「適切に行動する」との姿勢を維持した。また、7月のFOMCで0.50%の利下げの可能性について問われると、「今後のデータを詳細に分析する」とし、具体的な言及こそなかったものの、その可能性について含みを持たせた。こうしたなか、金融市場では、金融政策の影響を受けやすい米2年国債利回りが大幅に低下したほか、ドル安、株高で反応した。また、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が公表するFedWatchでは、7月の0.25%の利下げ確率は100%を維持。0.50%の利下げ確率が9日時点ではわずか3.3%だったが、28.7%(10日時点)へ上昇した。今回のパウエル議長の議会証言は、利下げを見込む金融市場を追認した格好で、7月のFOMCでは利下げを行うことが確実視されつつある。0.50%の利下げについても、含みを持たせたことで、今後発表される米経済指標に今まで以上に注目が集まるだろう。

投資調査部
マーケットアナリスト
池田 崇明

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