Today's Insight

2019/1/10 11:00作成

FOMC議事要旨 ガイダンス変更を示唆

■ FOMC議事要旨は、政策方向性を示すガイダンスに指標基準が復活する可能性を示唆
■ FRBも認めるように以前より利上げ判断が難しい局面に入り、パウエル議長の手腕が試される

 昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表された。昨年後半は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げとバランスシート縮小の2方向で引き締めを続けることに、トランプ米大統領をはじめ、市場からも批判的な見方が強くなっていた。こうしたなか開催されたFOMCは0.25%の利上げを決定したものの、同時に公表された参加者による政策金利見通し(中央値)は2019年の利上げ回数が3回から2回に減り、2020年に政策金利が3.25%へ到達した時点で一旦利上げは休止すると、昨年9月時点より下方修正された。また、声明文の「さらなる段階的な利上げが必要」としていた政策方向性を示すガイダンスに、「いくらかの」という文言が追加された。今回公表の議事要旨では、ガイダンス自体の削除について話し合ったことが明らかになっている。「限定的な規模での追加利上げが適切になる可能性が高い」との判断で残した模様だが、「複数の参加者は完全に削除し、経済指標を基準にした政策判断であることを強調する文言と入れ替えることが適切」との考えを示したことが判明。FOMCは緩やかな利上げを続けると共に、ガイダンスに指標の目安を再び復活させる可能性が示された、

 昨年12月のFOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は「現在のバランスシート縮小政策を変更する理由は見当たらない」などと述べ、株価暴落を招いた。その後1月4日の講演では「必要に応じてバランスシート政策を調整する用意がある」と一転して、市場への配慮を示した。この際、パウエル議長は2016年にも当時のイエレン議長が年4回の利上げとの見通しをいったんは示したものの相場動向を考慮し、実施は1回にとどめたことなどを引き合いに出した。今回公表の議事要旨でも、「最近の動向により今後の引き締めの適切な程度と時期が以前より明確でなくなった」と慎重姿勢をにじませたことを市場は好感した模様。昨年は経済が好調ななかFRBは「自動運転」の利上げをしてきたが、判断が難しい局面に入っている。今月からはFOMC後に毎回、FRB議長の記者会見が開かれる。FRBのメッセージに市場は敏感になっており、パウエル議長の手腕が試されよう。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
白鳥 朋子