Today's Insight

2025/4/23 11:50作成

ドル高・円安への見極め

■ FRBを巡るトランプ米大統領の発言に、ドル円は139円台後半から143円台前半で右往左往
■ ドル円は「三尊天井」を完成、145円台後半を明確に上抜けるまでドル安・円高は継続へ

 トランプ米大統領は第2次政権の最重要事項の一つに「米国第一の通商政策」を掲げ、関税政策を巡る主要国・地域への強硬姿勢はインフレ再燃と景気減速のリスクを高めた。さらに、同大統領はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任を検討していたことで中央銀行の独立性を損ない、市場のドル離れを加速させた。ドルインデックスは21日に97.921まで急低下し2022年3月以来の低水準を付けるなか、ドル円は22日に139円86銭まで急落し2024年9月安値139円56銭に迫った。同大統領は22日(米国時間)に同議長を解任する意向がないことを明らかにすると、米中貿易摩擦の緩和期待も相まって、ドル円は23日のアジア時間早朝に一時143円台前半まで急反騰した。

 同大統領は「非関税障壁」の一つに為替操作を挙げており、24日に予定されている日米財務相会合で円安是正が求められるとの懸念はくすぶる。一方、ベッセント米財務長官は「強いドル」を支持する考えも示しており、米経済に悪影響を与えるような過度なドル安を望んでいるわけでないだろう。ワシントンで23、24日に開催されるG20財務大臣・中銀総裁会議ではドル安が議題になると伝えられている。

 チャート分析上、ドル円は2024年10月以降に形成した切り下げ型の三尊天井(同11月高値156円74銭、1月高値158円87銭、3月高値151円21銭をトップとするヘッドアンドショルダー)が4月10日に145円台後半に推移していたネックラインを明確に下抜けたことで完成したとみている。139円台後半で底打ち感が広がる兆しは現れているが、トレンドの転換点とされるネックラインや日足一目均衡表の基準線、20日移動平均線が収れんする145円台半ばから後半を明確に上抜けるまで、ドル高・円安へ回帰したと判断するのは時期尚早と考える。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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