Today's Insight
2025/10/20 10:30作成
日本株:高値圏で膠着を想定、早期解散は株高リスク
■ 高市首相が選出される可能性は高まったが、財政拡張期待による株高は一巡か
■ 高支持率を背景とした早期解散総選挙はリスク、次期財務相人事にも注目
自民党と日本維新の会の連立協議が17日に行われ、両党要人から政策協議が大きく前進したとの認識が示された。両党は21日に召集される臨時国会までに政策合意を目指し、合意できれば日本維新の会は同日に行われる首相指名選挙で高市氏に投票する方針を示した。同会は立憲民主党と国民民主党との3党で進めてきた統一候補擁立に向けた協議を打ち切ることを申し入れたほか、国民民主党と立憲民主党の協力関係も事実上決裂した。同会は20日に自民党との政策協議で合意する方向で最終調整する意向を示し、高市首相が選出される可能性が高まったと考えられる。
しかしながら、政局が安定化に向かうなかでもTOPIXは最高値を更新できておらず、上値追いの勢いは強まっていない。石破首相が退陣表明した前営業日(9月5日)を起点に先週末(17日)までに、TOPIXは2.1%上昇した。TOPIX17セクターのうち、高市自民党総裁が推進する人工知能(AI)や半導体が含まれる電機・精密セクター(12.3%上昇)、国防や原発推進が含まれる機械(10.4%上昇)や鉄鋼・非鉄(5.7%上昇)などの上昇率が突出しており、その他の14セクターはTOPIXを下回るパフォーマンスとなっている。いわゆる「高市トレード」が鮮明になっている様子がうかがえる。自民党は臨時国会を12月17日までの58日間とし、高市総裁が首相に指名された場合には所信表明演説を24日に実施することを提案している。期待先行による株高は早晩一巡し、財政政策の規模などを確認するとともに政策の実現可能性を見極める姿勢が強まるとみられ、株価は高値圏で膠着感を強める展開を想定している。
時事通信社が10-13日に行った世論調査では、高市自民党総裁が首相に選出された場合の内閣支持率は43.8%と、前月の27.7%から16.1ポイントの急上昇となった。過去の首相交代時の同社世論調査における内閣支持率は、石破首相が28.0%、岸田首相が40.3%、菅首相が46.3%となっており、高市氏の支持率の高さがうかがえる。補正予算や来年度予算の協議が不調となれば、政権運営の停滞を打破することを狙い解散総選挙に踏み切ることは無視できないリスクと言える。この場合、各党が財政拡張的な政策を打ち出す公算が大きく、株式市場には追い風となるとみられる。また、財政政策の方向性を見極める観点から、次期財務相に積極財政派と財政規律派のどちらが就任するかを注視すべきであろう。
投資調査部長
山口 真弘



Japanese
English


