Today's Insight

2019/7/12 9:00作成

利下げに注目が集まる一方で、米企業業績は減益に

■ 来週から米企業の決算発表が本格化し、市場の関心は企業業績に移るだろう
■ 米企業業績の減益転換が現実味を帯びており、株価反落を警戒すべき

 パウエル米連邦準備理事会(FRB)による上下両院での半期に一度の議会証言(10、11日)では、特段、市場の利下げ観測を後退させるような発言はみられなかった。むしろ、パウエルFRB議長は「6月の米雇用統計はFRBの見通しに変化を与えなかった」と述べるなど、5日に発表された同統計を受けた市場の利下げ織り込み後退の流れを断ち切った印象である。利下げ姿勢が明確に示されため、今後発表される経済指標がよほど好転しない限り、今月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて市場の利下げ織り込みが大きく後退することはないだろう。
 
 他方、米国では来週以降、主要企業の第2四半期決算発表が本格化する。ピークを迎えるのは再来週以降となるが、市場の関心はいったん金融政策から企業業績に移るとみられる。調査会社リフィニティブによると、S&P500株価指数構成企業の利益成長率予想は、2019年初時点の前年比6.5%から足元では同横ばいまで低下している。第3四半期についても、年初の同5.1%から同0.7%まで引き下がっており、早晩、減益に転じる可能性が強く意識される状況にあるといえよう。仮に減益となれば2016年第2四半期以来、3年ぶりのこととなる。
 
 このところの米国株上昇の背景にあるのは米利下げ観測であることは明らかだが、現時点で、利下げ観測を理由に企業業績の見通しが上方修正されるとは想定しづらい。それどころか、先行き不透明感が拭えない米中貿易摩擦の悪影響を懸念し、下方修正されるリスクを警戒すべきであろう。今秋以降は、昨年の大型減税の効果が剥落するなどして米景気の減速感が強まるとみており、投資家の目も企業業績の悪化に向く公算が大きい。それでもなお株高が継続するとは想定しづらい。



投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司

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