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Today's Insight

2020/2/18 11:20作成

直近のNT倍率上昇が意味するもの(日本株)

■ 2月17日時点のNT倍率は終値ベースで、2000年以降最も高い水準(13.94倍)にある
■ 日本の景気見通しを踏まえると、直近のNT倍率上昇はポジティブな材料とは言えないとみる

 本稿では、NT倍率上昇の背景と日本株動向への示唆について考える。NT倍率とは、日経平均株価(N)をTOPIX(T)で割って求める数値。NT倍率の上昇は、相対的にTOPIXより日経平均株価(以下、日経平均)が上昇していることを意味し、日本株式市場の偏りを判定する数値の一つとされる。2月17日終値時点では13.94倍と、2000年以降で最も高い水準にある。

 NT倍率の動きにつながる主な要因は3点あると筆者は認識している。1点目は銘柄数の違い。日経平均は東証一部上場銘柄のうち225銘柄のみ、TOPIXは2157銘柄(1月末時点)で構成される。よって、一般的にTOPIXの方が「日本株式市場全体」を示す指数と解釈される。例えば、日本株へ投資するファンドのベンチマークは、TOPIXを採用する運用会社が多い。2点目は銘柄ごとの指数寄与度の違い。例を挙げると、ある衣料大手の株価が日経平均に対する寄与度は1銘柄で9.1%の一方、TOPIXに対するそれは僅か0.3%にすぎない。つまり、日経平均はいわゆる「値がさ株」の値動きによる影響が大きい指数とされ、そのため、「日本株式市場全体」を示すTOPIXと日経平均のパフォーマンス格差が表れる要因となる。3点目は業種別の構成比率の違い。一般的に、日経平均はグロースセクター寄り、TOPIXはバリューセクター寄りとされ、これも両指数のパフォーマンス格差の要因とされる。具体例として、情報技術セクターの構成比率は日経平均の方が大きく(日経平均:TOPIX=16.9%:11.7%)、逆にTOPIXは金融セクターの比率が大きい(同上=2.3%:10.4%)ことなどが挙げられる。

 直近のNT倍率上昇は、年明け以降の世界的な半導体サイクル好転に整合的と言えよう。ハイテク関連のセクター比率の違いから、日経平均はTOPIXより足元では底堅く推移している。ただ、直近の景気動向などを踏まえると、日経平均は一足先に年初来騰落率がマイナス圏に落ち込んだTOPIXの値動きに収れんする可能性が高いと考える。折しも、2月17日には昨年10-12月の日本の実質GDP(1次速報)が公表され、市場予想を上回る大幅なマイナス成長となった。このところ日本の内需を支えてきた設備投資の変調が確認されるなど、日本の景気見通しに不透明感が漂い始めている。加えて、中国発の新型肺炎を巡る懸念もくすぶるなかでは、直近のNT倍率上昇は日本株にとってポジティブな材料とは言えず、どちらかと言えば日本株価の上値を抑える材料と解釈すべきではないだろうか。



投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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2020/2/13 13:00

米国資産(米国株、米国債券)が選好される理由

米国資産(米国株、米国債券)が選好される理由

 上記は、Bloombergが算出する米ドルに対する為替ヘッジコスト(期間3カ月)の推移である。2018年12月にかけては米連邦準備理事会(FRB)による利上げが作用し、為替ヘッジコストは上昇した。一方で、FRBが利下げに転じた2019年は為替ヘッジコストが低下基調となり、特に昨年10月以降にはその傾向が顕著になっている。背景は、FRBによる短期国債買入れ再開だろう。短期金融市場の混乱を収めるため、FRBは昨年10月以降に市場へ潤沢な資金供給を行っている。その結果、米国内外の大手金融機関は米ドルの資金繰りに対する懸念を後退させ、為替ヘッジコスト算出の際に参照される米ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が低下している。

 米ドルに対する為替ヘッジコスト低下は、米ドル以外の通貨を保有する投資家へ為替リスクを排除した上での米国資産(米国株、米国債券)への投資を促すことにつながる。また、米ドルを保有する投資家にとっても、他通貨からのヘッジプレミアム減少から、米国資産の相対的な魅力が増すことになる。加えて、年明け以降は、より米国資産に投資家の目が向きやすい状況となっている。特に、製造業の不調や中国発の新型肺炎を巡り、欧州とアジア景気に対する懸念が根強い。一方で、米国は底堅い内需動向などを背景に、企業業績の持ち直し期待が高まっている。当面の間、米国資産が選好される環境は継続しよう。ただし、FRBによる短期国債買入れは今年4-6月期以降の継続がまだ決定されていないため、延長を巡る議論に注目が必要だろう。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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