Today's Insight

2026/2/3 12:00作成

日銀は市場圧力の高まりを警戒

■ 日銀「主な意見」は、物価上振れや円安・長期金利上昇への日銀の警戒感の高まりを示す
■ 利上げのタイミングを巡っては、8月投開票の衆院選後の市場動向を注視

 1月29、30日の日銀金融政策決定会合における主な意見(以下、「主な意見」)が2日に公表された。衆院選の公示日に行われた1月の日銀金融政策決定会合では、政策金利が0.75%に据え置かれた。展望レポートでは成長・物価見通しともに上方修正され、高田委員1名が12月に続く2会合連続での利上げを主張したが、植田日銀総裁の記者会見では、データを確認しながら利上げを判断する慎重な姿勢が維持された。同総裁からの利上げペースの加速を示唆するような発言もみられず、政府との協調を引き続き重視していることがうかがえる。ただし、1月会合の「主な意見」からは、物価の上振れや、円安・長期金利の上昇といった圧力に対し日銀が警戒感を強めている様子がみられた。

 物価に関するセクションでは、冒頭の意見で、インフレのリスクバランスは「概ね上下にバランス」しているとされたものの、インフレ圧力の高さを警戒する意見が多く示された。企業の価格設定行動の変化から「為替から物価への影響を従来以上に重視」する必要性を主張するものや、輸入依存度の上昇により「為替が先行きの物価を押し上げる蓋然性」の高まりを指摘したものなど、物価の上振れリスクを警戒する意見が複数みられている。

 金融政策運営に関するセクションの冒頭の意見では、「昨年12月の利上げからさほど日数は経過していないが・・・政策金利引き上げ後も、わが国の金融環境は緩和した状態が続いている」とされ、12月利上げの金融面への悪影響があまり懸念されていない様子がうかがえる。利上げのタイミングについては、「数カ月に1度のペースで利上げを進めることが適切」とするものや、物価高から「利上げの影響の検証にあまり長い時間を掛け過ぎずに、次の利上げのステップにタイミングを逃さず進むことが必要」とするなど、早期の利上げの検討を促す意見もみられた。高市首相が選挙戦で消費減税を掲げ、足元の市場では財政リスクプレミアムが上昇している。この点、長期国債買い入れについては、国債市場のボラティリティが急拡大するような「例外的な状況」では「柔軟な対応」を検討するとした一方、基本方針は「これまでの考え方に沿って、減額と異例時の増額等を行うべき」との見解が示された。また、足元の円安などへの金融政策面の処方箋は、「適時適切な利上げに尽きる」との見解も示されている。以上を踏まえると、半年に1回の利上げがメインシナリオとみられるが、円安進行などの市場動向次第では、早期利上げも検討される可能性が残る。8日投開票の衆院選挙後の市場動向や日銀からの情報発信を引き続き注視したい。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加

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