Today's Insight

2019/9/13 11:30作成

ECB理事会レビュー

■ 包括的な追加緩和を実施
■ ECBの追加緩和策の余地は縮小した

 9月12日に欧州中銀(ECB)理事会が開催され、利下げの他に量的緩和などの金融緩和策が合わせて打ち出されるかが焦点となったが、幅広い政策変更が行われた。フォワードガイダンスは、政策金利を現在もしくはそれよりも低い水準とする期間を「少なくとも2020年上期まで」としていたが、期間を設けず、「インフレ見通しが2%を下回るがその近辺に収れんし、基調的なインフレに反映するまで続くと予想する」に変更。預金ファシリティ金利の0.10%の引き下げ(マイナス0.40%から同0.50%)も決定された。また、資産購入プログラム(APP)は11月から再開し、月額200億ユーロの資産買い入れを必要なだけ長く続け、政策金利の引き上げ直前に終了するとした。加えて、銀行の準備預金に対する2階層システムを導入し一部の資金についてはマイナス金利を免除すること、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTROⅢ)の条件の緩和も決定された。また、ユーロ圏の経済成長率、インフレ率見通しは下方修正された。

 ドラギECB総裁は記者会見で、長期にわたり緩和スタンスを取る必要があると改めて表明し、あらゆる政策手段を適切に調整する用意があると述べた。一方、財政政策が責任を果たすべき時期にきているとの認識も示した。政策決定に関しては、フォワードガイダンス、利下げ、TLTROⅢは広範な見解の一致があったと説明。APP再開については、国債買入れ限度額の見直しについて話し合わなかったと述べたが、結果的に広い認識が得られたとした。ただ、ドイツ(独)、フランス、オランダの各国中銀総裁らが、最終手段として温存すべきだと強く主張したと報じられている。政策決定を受けて、ECBの緩和余地が狭まったとの見方などから、独国債利回りは1、2年債を中心に急上昇した。市場の連続利下げ期待は修正されており、当面、同国債利回りの低下には歯止めがかかりそうだ。一方、ユーロ圏の景気減速や銀行の収益圧迫が一段と進めば、TLTROⅢの条件緩和やAPPの増額などが検討される可能性はあるだろう。

投資調査部
マーケットアナリスト
池田 崇明

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