Today's Insight

2019/1/11 11:30作成

ドル円は正念場を迎えているか

■ FRBの金融政策引き締め観測が後退
■ 目先のドル円は、反発余地に乏しい展開か

 1月9日(日本時間10日午前4時頃)に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月18、19日開催分)では利上げに慎重な姿勢が確認された。今年のFOMCで投票権を持つボストン連銀ローゼングレン総裁は、金融政策は緩和的で経済が底堅く推移していることが明確となれば「年内2回の利上げを実施することはおそらく適切になる」との認識を示したものの、利上げを待つことは可能とした。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日に改めて金融政策について、利上げは既定路線ではないと強調。「われわれは忍耐強くなれるし、根気よく注意して見守ることが可能だ」と述べ、4日の講演に続き、利上げに慎重な姿勢を維持した。FF(フェデラル・ファンド)金利先物から算出される3月19、20日に開催されるFOMCでの利上げ確率(10日時点)は5.3%と市場では政策金利の据え置きが見込まれている。一方、FRBのバランスシートについて、同議長は金利の道筋とは別に、現状より縮小する取り組みを継続する考えを示した。

 世界的な景気減速懸念や米長期金利の低下を背景に、ドル円は3日の日本時間早朝に一時104円台後半と2018年3月以来の安値を付けた。円急騰は、市場参加者が少なかったことが一因で、株式市場が反発すると、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ109円台前半まで持ち直した。その後、FRB当局者の一段の金融引き締めに慎重な姿勢を受けてドル円は107円台後半まで再び値を崩したが、米長期金利の低下が一服したほか、10日のパウエル議長の講演を受けて、足元は108円台前半へ値を戻している。

 FRBは今年の利上げを排除したわけではない。また、バランスシートの縮小についても取り組んでいくとみられるが、昨年11月の米個人消費支出(PCE)デフレーター上昇率は前年比1.8%へ鈍化しているほか、市場予想では本日発表される昨年12月の米消費者物価指数上昇率は前年比1.9%と前月(同2.2%)から伸びが鈍化する見通し。インフレは抑制されており、FRBは利上げを急がず忍耐強く判断してくことになろう。米国経済の底堅さが経済指標で確認され、市場の利上げ観測が高まらなければ、目先のドル円は反発余地に乏しい展開を予想。日足一目均衡表基準線109円29銭辺りでいったん上値の抵抗を受けるとみている。一方、1月4日安値107円52銭や節目の107円ちょうど辺りで下げ渋れるか注目したい。

投資調査部
マーケットアナリスト
池田 崇明