Today's Insight

2025/6/26 12:45作成

NZドル:7月の展望

■ 中東情勢を巡るリスク選好度につれNZドルは高下したが、7月は自立反発の機会をうかがう
■ 物価安定と景気回復に鑑み、7月のNZドルは対米ドル、対円ともに6月高値を超える展開を予想

 イスラエルとイランの停戦合意にいささかの不安は残るものの、トランプ米大統領の停戦表明により市場のリスクセンチメントの悪化に歯止めが掛かった。為替市場では「有事の米ドル買い」が一巡し、ドルインデックスは23日に付けた99.421をピークに再び下げに転じる動き。今朝のアジア時間には97.456まで下げを広げ2022年3月以来の米ドル安水準を付けている。

 オセアニア通貨に目を移せば、足元の中東情勢に左右されるなか市場のリスク選好度につれて高下。23日、ニュージーランド(NZ)ドルは0.58米ドル台後半、対円では86円台後半で下げ止まるとそれぞれ0.60米ドル台後半、87円台後半まで値を戻す展開となっている。引き続き、中東情勢や米関税政策にかかるリスクセンチメントの悪化には注意が必要だが、足元の景気と物価に鑑み、NZドルは7月に向けて自律反発の機会をうかがうと予想する。

 昨年8月以降、NZ中銀(RBNZ)は6会合連続で利下げし政策金利は5.50%から3.25%へ引き下げられた。5月28日開催の金融政策委員会の声明では、「インフレは目標範囲内にあり、中期的な物価安定を維持するため、国内外の動向に対応する姿勢が整っている」との認識が示された。1-3月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.5%と中銀目標(1-3%)に3四半期連続で収まった。また、19日に公表された1-3月期実質GDPは前期比0.8%増と下方改定された前期(同0.7%増→同0.5%増)から伸びが加速、個人消費や設備投資が成長を下支えRBNZの予想(同0.4%増)を上回った。米相互関税の上乗せ分の停止期限を7月9日に控えて不確実性は残るものの、NZは10%の一律税率のみ賦課されており、直接的影響は限定されよう。7月9日の金融政策委員会では政策金利据え置きの可能性が高い。金利先安観が弱まれば、NZドルは7月21日公表の4-6月期CPIに向けて6月高値(0.6069米ドル、88円01銭)を上抜け一段高が進むと予想する。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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