PRESTIA Insight

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Today's Insight

2019/9/17 13:30作成

豪ドルは徐々に底入れ感を強めよう

■ RBAは労働・住宅市場に目配りし、既往の利下げ効果を見極める姿勢に
■ 目先は豪ドル高の調整が進もうが、対円は大底を付けており、対米ドルもつれて底入れへ

 9月14日、サウジアラビアでの石油施設空爆を受けて、米国とイランの間で緊張感が高まり、投資家の不安心理を表すとされるVIX指数は14台後半と先週末から小幅に上昇した。ただ、石油輸出国機構(OPEC)は加盟国による原油備蓄の協調放出を検討、トランプ米大統領が戦略石油備蓄の放出を承認し非常事態に備えたためか、平時の20を下回る状況。今のところ、市場参加者は中東情勢を冷静に受け止めている模様だが、為替市場では逃避需要の米ドル高が進行、豪ドルは0.69米ドル付近、豪ドル円は74円台半ばで上伸を阻まれた。

 豪中銀(RBA)は17日、9月3日開催の理事会議事要旨を公表した。政策金利は8月に続き2会合連続で1.0%に据え置かれたが、政策決定に影響を与えた雇用情勢・住宅市場について考察。失業率は5.2%で高止まり、賃金の伸びも弱く物価下押し圧力がかかるなど、労働市場には余剰能力が残るとした。一方、住宅市場は販売戸数が低調である反面、ローン承認件数が増加するなど持ち直しの兆しもあると指摘。こうしたなか、2-3%のインフレ目標達成と持続可能な成長を支援するため、必要に応じて一段の緩和措置を検討するとした。

 議事要旨では追加利下げの可能性が示唆され、豪ドル米ドルは0.68米ドル台前半、豪ドル円は73円台後半へ軟化。金利先物市場での利下げ織り込み度は16日時点で10月1日が23.8%、11月5日は61.5%だったが、議事要旨を受け上昇。10月中下旬に公表される、9月の雇用統計や7-9月期の消費者物価指数の内容を見極めて、11月の理事会で政策金利が0.75%に引き下げられるとの見方である。中国では政府による景気対策が内需を喚起し、景気減速の度合いはこれ以上大きくならないとみられる。目先は8月以降の豪ドル高に対する調整が進みそうだが、豪ドル円は8月26日安値69円97銭で大底を付けたとみている。10月の米中閣僚級協議に備えて、今週予定されている次官級協議で双方が歩み寄れば、投資家のリスク選好の動きが円安につながろう。豪ドル円は週足一目均衡表の転換線73円07銭付近で底堅さが確認されれば心理的節目となる75円を意識し、豪ドル米ドルもつれて0.66米ドル台後半で底入れ感を強めると予想する。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

注目のチャート

2019/9/13 11:00

投資家はリスクの上昇に備えるべき

投資家はリスクの上昇に備えるべき

 上記は米国債と米国株の代表的なボラティリティ指数の推移を示した。オプション市場で算出されるレートを基にした指標で、一般的に数値が大きければ各市場のリスクが高いと判断される。事実、2018年2月と12月の株価急落局面で、VIX指数(米国株-点線)は急上昇した。VIX指数は別名「恐怖指数」とも言われ、株式市場のリスク環境を確認する重要指標とされる。市場参加者に馴染みがあるのはVIX指数だろうが、米国債市場にも同種の指標がある。それが今回紹介するMOVE指数(米国債-実線)である。なお、VIX指数上昇の際は株価下落、MOVE指数上昇の際は国債利回り低下で反応する傾向がある。2018年の株価急落局面では米国債利回り上昇が株価下落の引き金となったため、MOVE指数の上昇は限定的だったとみている。

 直近ではVIX指数の上昇が抑えられる一方、MOVE指数は高値圏で推移している(赤枠内)。MOVE指数を確認すると、今年は5月から6月中旬にかけてと8月初旬から下旬にかけて、2回急上昇する局面があった。いずれも、米中通商問題を巡る懸念が投資家心理の悪化を招いた時期と一致する。一方で、VIX指数は2018年の高値と比べると落ち着いた値動きに見える。ここから、米国株式市場では十分にリスクが織り込めていない可能性を指摘したい。主要中央銀行の金融緩和姿勢を受けた「株高・債券高」基調が続く一方で、投資家はリスクの上昇に対して備えておく必要があるのではないだろうか。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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