Today's Insight

2019/5/15 10:00作成

4月の国内投信市場では大規模な資金流出が観測された

■ 4月の国内投信市場では、株式へ投資するファンド群から大規模な資金流出が観測された
■ 先行きの景気減速懸念と大型連休が関係したとみられるが、国内投資家は冷静さを維持

 4月は、中国でみられた景気持ち直しの兆しが投資家心理の改善を促したことや、金融緩和環境の継続がポイントとなり、株式をはじめリスク資産の価格が堅調な推移となった。一方で、こうしたリスクオンに近い市場環境にも関わらず、国内投信市場では、国内投資家が一段とポートフォリオのリスク削減を進めた様子が示されている。国内投信市場における3月の資金流出入は約6100億円の資金流出超と、3カ月連続の資金流出超となった。また、4月の資金流出金額は、単月ベースで2014年以来の水準まで膨らんだ。加えて、資産カテゴリーごとの資金流出額では、株式型だけで約5200億円が集中するなど特筆すべき結果だった。

 4月の特色は、堅調な株価動向にも関わらず、国内外の株式へ投資するファンドから巨額の資金流出が起こったことに尽きる。実際、ファンド別の資金流出上位を並べると、上位20個のファンドのうち、17個は株式へ投資するファンドだった。また、内訳ではテクノロジー関連の銘柄へ投資するようなテーマ型から、新興国のみへ投資するタイプやインデックス型まで多岐にわたり、株式へ投資するファンドカテゴリー全般で、概ね資金流出に見舞われた。

 背景は、先行きの景気減速懸念に加えて、4月下旬からの大型連休が関係したと推測する。今回の大型連休中は、米連邦公開市場委員会(FOMC)や、欧米で複数の重要経済指標の公表が予定されていた。この間、国内投資家は投信の売買ができなくなることから大型連休前にポートフォリオの一部売却を急ぎ、4月の国内投信市場での大規模な資金流出につながったのではないだろうか。また、4月中旬に公表された中国の経済指標こそ景気持ち直しの兆しがみられたものの、欧米などそれ以外の主要国では、まだ景気減速懸念の完全な払拭に至っていない。総じて、国内投資家の投資行動は冷静さを維持していると言えよう。

 過去数か月の動向を振り返ってみると、国内投資家は2月に「リスク資産から安全資産」へ、3月には「海外の資産から国内の資産」へ、それぞれ資金を動かす傾向が確認されていた。また、4月の大規模なリスク資産からの資金流出や5月に入り再燃した米中対立の長期化懸念を考えると、国内投資家が本格的にリスク選好へ傾くには時間がかかる可能性がある。当行の見通しでも、ポートフォリオのリスク削減を進める局面との判断を継続している。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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