Today's Insight

2024/3/15 13:30作成

英中銀:利下げ開始は6月それとも8月か

■ 21日会合では政策金利据え置きの公算が大きいが、今後はより緩和姿勢を示唆するのか注目
■ 英雇用情勢に変化の兆しが表れるなか、2月消費者物価指数が及ぼすポンド高への影響も注視

 英統計局(ONS)が12日に公表した2023年11月-2024年1月の失業率は3.9%と市場予想に反して上昇、就業者数は前期比2.1万人減、賃金上昇率(ボーナス除く、名目ベース)は前年比6.1%増と2023年6-8月(同7.9%増)をピークに鈍化傾向が続き、2022年8-10月以来の低水準を付けた。労働需給ひっ迫が解消したと判断するには早計だが、人件費の高騰に歯止めが掛かっているとみられている。1月の英実質GDPは前月比0.2%増と前月(同0.1%減)から持ち直しているものの、景気回復の足取りは鈍い。英中銀(BOE)は21日開催の金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.25%に据え置く公算が大きく、今後のMPCでより緩和姿勢を示唆していくのか声明と議事要旨に注目。

 1月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.0%、また変動の激しい食品・エネルギー・アルコール・タバコを除くコアCPI上昇率も同5.1%と、いずれも2023年12月と同水準にとどまった。価格粘着性が高い品目の物価が高止まるなか、BOEは利下げ開始にはさらなる根拠が必要との認識を示している。2月1日のMPCでは9人の委員のうち6人が据え置き、2人が0.25%の利上げ、1人が0.25%の利下げを支持しており、MPC直前の20日に公表される2月の消費者物価指数(CPI)は注目される。短期金融市場では利下げ開始は8月との織り込みが70%強だが、雇用情勢に変化の兆しが表れて、6月開始予想が50%近くまで浮上。米利上げ開始時期の先送りが意識されるなか、BOEの政策指針が及ぼす足元のポンド高への影響も注視されよう。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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