Today's Insight

2018/11/7 8:40作成

米中間選挙の主な影響

■ 米中間選挙では、民主党が下院議会の過半数議席を確保する見通し
■ 選挙結果が景気に及ぼす影響は限定的だが、共和党の一部政策への巻き戻しが想定される

 本日昼ごろまでに、アメリカの中間選挙結果の大勢が判明する見通し。調査機関リアル・クリア・ポリティクスによると、民主党議席の改選が多い上院は、共和党が過半数の49議席、民主党が43議席、激戦区が8議席となる。仮に民主党が激戦区を全勝しても50議席にとどまり、法案採決が50対50となる場合、上院議長を務めるペンス副大統領が投票権を持つため、民主党が上院を支配するのは難しいとみられる。全席改選となる下院は、435議席中、共和党が過半数の194議席、民主党が203議席、激戦州が38議席となり、民主党が激戦区で15議席を確保すれば、過半数を奪取する見込み。下院選で民主党が勝利した場合、共和党が主張する追加減税法案の成立が難しくなる一方、民主党が求めるインフラ投資の規模拡大の実現性が高まる。いずれの政策も景気下支えに寄与するとみられるが、昨年末に成立した税制改革法の効果剥落の部分的な相殺にとどまるだろう。中間選挙の結果次第で、今後の景気の方向性が変わる可能性は低いと考えられる。ただし、両政策ともに、悪化傾向にある財政赤字を一段と拡大させる方向に作用するため、将来的には長期金利上昇につながり得る。すでに中立金利水準よりも高い米長期金利が、さらに上昇に向かう場合は、民間投資が阻害され(クラウディングアウト)、結果的に、想定される政策効果が得られないかもしれない。

 また、民主党が下院を支配すると、いわゆる議会の「ねじれ」現象が生じ、法案審議が滞ることが想定される。「オバマケア」の廃止など、議会の承認を必要とする政策については、実現が難しくなる。このほか、マーケットに影響を及ぼす可能性があるのが、民主党人事である。金融サービス委員長への就任が見込まれるマキシン・ウォーターズ氏は、党内左派で、反ウォール街的な政治的信念を持つ。これまでの金融規制の緩和路線が大幅に見直される可能性があり、金融機関および株式市場にとっても逆風になるとみられる。


投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏