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Today's Insight

2019/1/15 10:30作成

国内投資家はリスク回避へシフトか

■ 国内投資家は国内株式への投資を継続も、その中身は一年前と大きく変化
■ 2019年は難しい市場環境が予想されるため、「長期分散投資」の意識が重要になる

 昨年12月は、株式をはじめとしたリスク性資産が下落し、金融市場に広くリスク回避ムードが広がった。一方で、国内投信市場では国内株式に対する資金流入が観測されている。資産別では、「国内株式型」が約900億円の資金流入超となった。他には、「バランス型」が約480億円の資金流入と、リスクを抑えながら収益を追及したい投資家も、一定割合観測された。

 ただし、国内株式への資金流入が継続しているものの、それが国内投資家のリスク選好を示している訳ではなさそうだ。具体的に、「国内株式型」で資金流入上位にランクインしている投資信託のカテゴリーや12月の新規設定ファンドの中身を、一年前の2017年12月データと比較し、今の国内投信市場の傾向を確認してみたい。

 まず前者においては、昨年12月の「国内株式型」資金流入上位15ファンドのうち、10ファンドがパッシブファンドとなっている点が特徴と言える。対照的に、株価上昇を背景に投資家のリスク許容度が高かった2017年12月は、上位15ファンド全てがアクティブファンドだった。この上位ファンドの傾向変化は、投資家のリスク許容度低下を受けて、ポートフォリオ運用の一環として安定的に買い付けられているファンドが目立ってきたことが背景にあると筆者は考える。また、いわば消極的な買いによるものであるため、手数料が相対的に安いパッシブファンドに投資家の人気が集中した可能性もある。

 加えて、後者の新規設定ファンドでも、国内投信市場の傾向変化は顕著だ。単月の設定額では、2017年12月が業界全体で約1,200億円に対して、昨年12月は約250億円と急減。また、設定ファンドのカテゴリーでも、2017年12月は「国際株式型」が人気だった一方で、昨年12月は社債や仕組債などへの投資を通じて、満期時の元本確保と運用収益獲得を狙うファンドの人気が高かった。

 2019年は世界的な景気減速懸念が高まり、英国のEU離脱や米中通商問題など政治イベントが多く控えている。ただし、昨年12月の国内投信市場動向を振り返ると、国内投資家の一部は既にリスク回避へシフトしていることがうかがえた。今年は難しい市場環境が予想されるが、ポートフォリオ運用をベースとする「長期分散投資」の意識が重要になると筆者は考える。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

注目のチャート

2019/1/11 12:30

逆資産効果への懸念は杞憂であろう

逆資産効果への懸念は杞憂であろう

 米国では個人消費がGDPのおよそ7割を占めるうえ、製造業や住宅など一部の経済指標の悪化が目立ちつつあるなかでも堅調さを維持しており、まさに米国経済の屋台骨といってよいだろう。しかし、米国を代表する株価指数であるS&P500は昨年10月の高値から年末にかけて20%超下落する場面がみられ、米国株は弱気相場入りしたとされている。こうしたなか、逆資産効果(家計や企業が保有する資産価値が下落し、消費や投資が冷え込むこと)による米個人消費の鈍化を警戒する見方も増えつつあり、仮に米株価の低迷が長引くようだと、一段とこうした見方が強まることで米国経済の減速懸念が増長される場面も想定されよう。

 しかし、そうした懸念は杞憂であると筆者はみている。例えば、90年代末のITバブル期にかけては、株価上昇に伴い家計の貯蓄率がはっきりと低下している。当時の消費や株高は資産効果に支えられていたとみられ、よって、逆資産効果も強く出やすいと考えられる。しかし、金融危機以降は、全く異なる動きであることはチャートからも明らかである。これは、これまでの個人消費拡大が所得増に伴うものであり、資産効果への依存度が低いことを示唆していよう。したがって、逆資産効果もそれほど強くはならないのではないか。足元でも米家計は高い貯蓄率を維持しており、これは株価下落に対する耐性の強さとみることができる。引き続き米個人消費は底堅さを保ち、米景気全体を下支えする公算が大きい。
 

投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司