Today's Insight

2020/7/3 10:00作成

米雇用統計:好結果だが、雇用情勢は着実に悪化

■ 6月の米雇用統計では、5月に引き続き労働市場の復調が示された
■ ただし、一時離職以外の失業者は4カ月連続で急増しており、雇用情勢は着実に悪化している

 6月の米雇用統計では、主要指標である非農業部門雇用者数(NFP、前月比480.0万人増)、失業率(11.1%、同2.2%ポイント低下)は、5月に引き続き労働市場の復調を示す結果となった。NFPは過去最大の増加を記録し、市場予想(同300.0万人増)も大幅に上回った。業種別では、4月の都市封鎖の際に雇用者数が大幅に減少した小売、レジャー・接客、教育・ヘルスケアの増加が目立った。ただ、5月時点より、一時解雇、一時帰休などの一時離職者が478万人余り減少した半面、恒久的失業者などの一時離職以外の失業者は75.9万人増加した。

 足元の雇用環境の趨勢を示す指標として筆者が注目するのは、後者の一時離職以外の失業者数である。一時離職以外の失業者数は2月時点の192.2万人から370.7万人まで4カ月連続で急増しており、2008年の景気後退期と同ペースでの増加が続いている。これを見る限り、労働需要の減少に歯止めが掛かったとは言うには程遠い状況である。都市封鎖による一時的な要因を除くと、雇用情勢は着実に悪化しており、労働市場の実態はNFPや失業率が示すほど堅調である訳ではないことがうかがえる。

 米国では、南西部を中心に新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にあり、6月末より経済活動再開を一時的に見合わせる州が増えている。この動きが拡大、長期化する場合、7月以降の一時離職者の復職にも影響が及ぶとみられる。昨日公表の週間新規失業保険申請件数(6月27日週分、142.7万件)をみても、6月13日週以降、減少ペースが著しく鈍っており、すでに影響が表れている可能性がある。一方、7月末には、賃金を上回る失業給付により一部産業で労働者の離職を促したと非難されている失業給付の積み増し措置が期限を迎えるため、8月以降、復職の動きが広がる可能性もある。これら特殊要因を控え、7月以降も、当面は労働市場の基調を見極めづらい状況が想定される。NFP、失業率などの主要指標以外のデータも注視し、総合的に判断することがより重要だろう。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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