Today's Insight

2023/11/27 10:00作成

米国株:半導体大手の決算が重要な意味を持つか

■ 半導体大手の決算は市場予想を上回ったものの、市場はさえない反応
■ ハイテク企業の業績見通し悪化を回避する手掛かりとなる可能性

 22日に公表された半導体大手の決算は、四半期決算と業績見通しがいずれも市場予想を上回る良好な内容だった。市場では先端半導体を巡る米中輸出規制の強化が警戒され、株価はさえない反応となったものの、米国の主要なハイテク株で構成されるナスダック100指数の先行きにとっては重要な意味を持つ可能性のある決算だったと思われる。

 金融情報会社LSEG I/B/E/Sによる17日時点の集計によれば、ナスダック100の一株当たり利益(EPS)成長率は、今年が9.3%、来年が15.4%と伸びが加速すると見込まれている。また、予想株価収益率(PER)は24倍程度で、2018年以降の平均(23.9倍)並みの水準にあり、割高とは言い難い。こうしたなか、向こう1年予想EPSに関するリビジョン・インデックス(RI、アナリストが過去1カ月の間に上方修正した割合から下方修正した割合を差し引いて算出)は8月下旬(33.0%)から低下基調をたどり、11月上旬にはマイナス13.0%を付けた。市場の企業業績見通しは下方修正が優勢となっていたことが示唆される。その後、17日時点ではゼロ%まで持ち直すなかで、半導体大手の決算を迎えることとなった。

 2018年以降、RIのマイナス幅が深まる、もしくはマイナス圏での推移が長期化する局面では、向こう1年予想EPSが下方修正される傾向が顕著であった。半導体大手の四半期決算や業績見通しが市場の期待に届かなかった場合には、予想EPSの下方修正が主導する形でナスダック100が大幅下落に至ったかもしれない。今回の半導体大手の好決算は、ナスダック100のRIが再びマイナス圏に落ち込むことを回避する手掛かりとなり、米ハイテク株の先行き不透明感を和らげる重要な意味を持つ可能性があると評価される。


投資調査部長
山口 真弘

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