Today's Insight

2026/10/6 11:40作成

原油:供給見通しが一段と悪化

■ 世界原油需給のひっ迫懸念が再び高まり、WTIには上昇圧力がかかりやすい
■ 中東主要産油国の来年の生産方針や中間選挙後の米国の対中東戦略の変化を注視

 国際機関による9月時点の世界原油需給見通しが出揃った。2026年の世界原油需要(日量)に関して、石油輸出国機構(OPEC、前年比28万バレル増→38万バレル増)は上方修正、国際エネルギー機関(IEA、同104万バレル減→250万バレル減)と米エネルギー情報局(EIA、同125バレル減→169万バレル減)は下方修正となった。原油供給(日量)について、EIA(同530万バレル減→562万バレル減)、IEA(同430万バレル減→570万バレル減)はそれぞれ下方修正した。以上から、EIAは197万バレル、IEAは114万バレルの需要超過との想定となった。IEAは在庫が記録的なペースで取り崩され、石油精製体制も限界に達しており、深刻な供給不足に向かっていると指摘した。2027年の世界原油需要(日量)に関して、OPEC(前年比216万バレル増→235万バレル増)、EIA(同223万バレル増→239万バレル増)、IEA(同240万バレル増→312万バレル増)はそれぞれ上方修正した。原油供給(日量)について、EIA(同892万バレル増→926万バレル増)は上方修正、IEA(同830万バレル増→800万バレル増)は下方修正した。EIAは490万バレル、IEAは374万バレルの大幅な供給超過に転じる想定となっているが、中東情勢の先行き不安定感を踏まえれば見通しの不確実性は高い。

 ホルムズ海峡の封鎖に加えて、7月以降は紅海側でイエメンの親イラン武装組織フーシがタンカーへの攻撃を強め、9月にはサウジアラビアのパイプラインが攻撃を受けて稼働を停止した。需給悪化への懸念は拭えず、WTIには上昇圧力がかかりやすい地合いが継続するとみられる。一方、航行の安全を確保するため国際海事機関(IMO)によって原則義務付けられている船舶自動識別装置(AIS)を切ることで、イランの攻撃を回避する船舶が増加し、ホルムズ海峡経由の原油供給が回復してきていると報じられている。また、世界的な軽油不足に対応するため、主要7カ国(G7)が最大1億バレルの石油備蓄の協調放出を決定した。3月にIEA加盟国が4億バレルの協調放出を決定し、先週末までに3.25億バレルを放出したものの、供給不足が続いていることに対応する目的があるとみられる。これらの需給緩和要因が原油先物価格(WTI)の上昇を抑制している間に中東情勢の不確実性が解消に向かうか注目される。

 OPECプラス*¹の有志7カ国は10月4日の月次会合で、11月の原油生産枠を7カ国合計で日量3100万バレルに据え置くことを決定した。11月29日のOPEC閣僚級会合で議論される見込みの2027年の生産方針には注目したい。また、中間選挙後には米国の対中東戦略が再び強硬化する可能性があり、警戒したい。

 *¹ OPECプラス=石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する組織


投資調査部長
山口 真弘

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