Today's Insight

2025/4/28 14:45作成

ドル高回帰をドルインデックスに求めると

■ 今週公表される米経済指標が景気減速を裏付ける証左となれば、ドル安への警戒感は続こう
■ 欧州中銀(ECB)の6月利下げ観測が浮上するなか、ドルインデックスが上昇基調に戻るか

 4月28日から始まる週は、注目度の高い米経済指標が目白押しである。29日発表の4月の消費者信頼感指数速報値は87.0へ低下(92.9)、3月の求人件数は750万件へ小幅に減少(757万件)、30日の1-3月期実質GDP速報値は前期比年率0.4%増へ伸びが鈍化(同2.4%増)、3月の個人消費支出(PCE)デフレーターのうち振れの激しい食品とエネルギーを除くコア指数上昇率は前年比2.6%へ低下(同2.8%)、4月のISM製造業景況感指数は48.0へ低下(49.0)、雇用統計では失業率は4.2%、平均賃金は前月比0.3%増といずれも前月並みの水準だが、非農業部門雇用者数は前月比13.5万人増へ伸びが鈍化する見込み(同22.8万人増)。いずれも28日時点の市場予想だが(カッコ内は前回実績値)、概してみれば米国の景気減速が強まる予想である。ファンダメンタルズの弱さからドル安への警戒感は続くだろう。

 先週末の日米財務相会談を受けて、「円安是正」への懸念は後退しているが、米政府は「強くて安いドル」を目指していると伝えられている。先週、ドルインデックスは3年ぶりの安値となる97台で下げ止まると5週間ぶりに上昇に転じ99台を回復。ドルインデックスの50%超を占めるユーロは対ドルで1.15ドル台後半へ急伸後に1.13ドル台後半まで押し戻された。欧州中銀(ECB)理事会メンバーでタカ派として知られるオーストリア中銀のホルツマン総裁が、新たな経済・インフレ予測には不確実性が伴うとして政策判断の言及を避けた。6月の利下げ観測が浮上したこともドルを押し上げた一因である。今週、ユーロ圏で公表される経済・物価指標にも目配りし、ドルインデックスの下げが一時的であるかどうか、右肩上がりの200週移動平均線102.675(25日時点)に戻るか注目している。

 
投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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