Today's Insight

2026/7/31 11:20作成

円相場:7月30日のドル円急落を巡る状況について

■ 7月30日にドル円は約5円幅(163円⇒158円)で急落、日米韓の協調姿勢もうかがえた
■ 翌週の米経済指標発表に合わせて介入警戒はくすぶるが、ドル安・円高基調への転換は難しい

 本稿では、7月30日のドル円急落を巡る状況について現時点の情報を基に整理したい。ドル円はアジア時間夕方まで163円台後半で推移後、欧州時間にいったん162円台後半へ値を下げたが、米国時間の午前中に一時5月14日以来となる157円台後半を示現。LSEGのデータで一日の値幅が4月29日に続いて5円超だったことからも、金融市場では日本当局による実弾介入実施観測が広がった。関連報道では、翌31日に日本の大手メディアが、30日に日本当局による実弾介入とNY連銀によるレートチェックが実施されたと伝えている。また、米財務長官は米大手メディアに対して「円は著しく過小評価されている」と述べた。さらに別の報道では、韓国当局も30日にドル売り・ウォン買い介入を実施と伝えており、日米韓による協調姿勢もうかがえる状況だ。ひとまず、本日31日の夕方に日銀が公表する「当座預金増減要因(財政等要因)」で事前予想以上に下振れする結果であった場合、実弾介入実施が推定される。

 こうした報道以外でも日米の協調姿勢がうかがえる理由として、米国の注目イベント終了後だったことが挙げられる。米国では28、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、30日に4-6月期の実質GDP速報値と6月の個人消費支出(PCE)デフレーターが公表された。今般のドル円急落はこれらのイベント終了後だったうえ、いずれもドル安方向の反応が推測されたため、日本当局はこのタイミングで実弾介入に踏み切ったと考える。最近では日本当局からの口先介入が消極的であり、31日に日銀金融政策決定会合の結果発表と植田日銀総裁の記者会見を控えていたことから、市場参加者の多くにとってサプライズだったといえよう。

 日米の協調姿勢に加え、米国では8月第1週に7月のISM景況感指数(製造業、非製造業)や雇用統計などの注目指標が控えるため、追加の実弾介入への警戒がくすぶると想定する。米経済指標がドル安の反応を見込む結果となるか、注目したい。現時点で日本当局の介入姿勢は、前回4、5月の実施状況と合わせると特定水準を介入目的としないスムージング・オペレーションの一環である可能性が高い。市場参加者の一部は、30日安値(157円96銭)や5月6日安値(155円02銭)を下値メドとして、ドル買い・円売りを狙う向きも出てくるのではないか。高市政権による来年4月から2年間の食料品消費税引き下げ方針が今後の円安要因として警戒されるなか、実弾介入実施のみでのドル安・円高基調への転換は、見込みづらいだろう。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

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