Today's Insight

2024/3/27 11:40作成

ブラジル中銀(BCB)、トルコ中銀(CBRT)レビュー

■ BCBは市場予想通りに50bps利下げを決定、不確実性の高まりから6月の利下げ幅縮小を示唆
■ CBRTは利上げを実施、現政権とCBRTの協調姿勢は明確だが短期的なリラ復調は見込み難い

 ブラジル中銀(BCB)は3月20日に、トルコ中銀(CBRT)は3月21日に、金融政策の決定を公表した。BCBは市場予想通りに政策金利を10.75%へ50bps引き下げた。対して、CBRTは市場予想に反して政策金利(1週間物レポレート)を50%へ500bps引き上げた。また、翌日物貸出金利と同借入金利の水準を、「政策金利±3%」と従来(±1.5%)から拡大した。

 BCBの今回のポイントは、今後の利下げ幅縮小を示唆した点と考える。金融市場ではさほど意外感はなく、レアル安の反応は限定的にとどまると予想する。声明では「基本シナリオに大きな変化はない」としたうえで、次回5月金融政策会合での50bps利下げ実施予告を全会一致で決定とした。一方、従来は複数形だった「the next meetings」を「the next meeting」と修正し、次々回6月金融政策会合での利下げ幅縮小に含みを持たせた。さらに、3月26日に公表された議事要旨では、今後の利下げペース緩和を議論していたことが明らかになった。背景は、(1)政府の財政支出の動向、(2)物価上昇圧力への懸念、を巡る不確実性と推測する。(1)は、左派政権であるルラ現政権に対する財政支出拡大への警戒がある。3月22日に政府は2024年度の財政収支見通しを公表したが、従来の黒字予想から93億レアルの赤字へ修正している。(2)は、2月消費者物価指数(IPCA)上昇率が前月比ベースで0.83%と、昨年2月以来の高い伸びとなった。そのため、BCBの基準シナリオ下での物価見通し自体は維持されたものの、(1)の影響も含めた不確実性の高まりに焦点を当てたと解釈している。

 CBRTの今回のポイントは、強固なインフレ抑制方針を示した点と考える。予想外の利上げ実施が端的な証拠となるうえ、2月上旬に就任したカラハン新総裁による決定ということでエルドアン政権とCBRTの協調姿勢は今後も続く確度が高まり、金融市場には安心感が広がった。CBRTの利上げ決定を受けて、いったんトルコリラは上昇していた。3月6日にCBRTは銀行融資や外貨需要の抑制措置を導入したほか、3月11日にシムシェキ財務相はCBRTのインフレ抑制支援のため財政政策の引き締め方針を明らかにしていた。一方で、2月消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比67.07%と実質金利の大幅なマイナス傾向は是正されず、短期的なリラの復調は見込み難いだろう。リラ高への期待感は来年にかけての長丁場とみておきたい。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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