Today's Insight

2026/4/22 11:30作成

日銀の利上げ判断は6月へ持ち越しか

■ 中東情勢の混乱が続くなか、日銀による4月の利上げは見送られ、判断は6月へ持ち越しか
■ 6月会合に向けては、原油高対策を続ける政府との対話や国債買い入れ減額の行方も焦点に

 4月27、28日開催予定の日銀金融政策決定会合では、利上げが見送られる見込みだ。多くのメディアで報じられた通り、中東情勢の混乱が続くなか、影響の見極めには時間を要することから、利上げの判断は6月15、16日開催予定の会合に持ち越されることになろう。そうしたなか4月会合では植田日銀総裁の記者会見でのメッセージに注目したい。政策金利は据え置きとなるなかでも、タカ派的(金融引き締めに積極的)な発言がみられる可能性がある。

 足元の国内経済と物価情勢については、追加利上げに整合的な状況だ。日銀が新たに公表した需給ギャップは16四半期連続でのプラスとなり、日本経済は緩やかな景気拡大が続く。設備投資の先行指標であるコア機械受注(2月:前月比13.6%増)が強い伸びとなるなど、企業活動は堅調さを維持する。年初の個人消費はやや足踏み(2月の実質消費活動指数・旅行収支調整済、同0.4%低下)もみられるが、足元の原油高の影響は政府よる手厚いガソリン補助金により相殺されており、当面は家計の実質所得への下押し圧力は限定的にとどまろう。また、構造的な労働需給のひっ迫を受けて、現金給与総額(2月:前年比3.3%増)は堅調な伸びとなっており、賃金上昇圧力は強い。日銀が示す特殊要因(政府の価格抑制策など)を除いた消費者物価(CPI)のコア指標(2月の生鮮食品除くコア:同2.2%上昇)も、基調的なインフレ率が2%に近い伸びであることを示唆する。これまで日銀は、インフレが2%の目標に達する頃までに、中立金利水準の推計レンジである「+1.1%程度から+2.5%程度」のどこかまで政策金利の調整を進めるとしてきた。現状の0.75%はまだ緩和的な水準であり、追加利上げは不可欠となる。懸念されるのはマインド関連指標の軟化だ。4月のロイター短観調査(製造業・業況判断DI:7、前月比7ポイント低下)など、足元の企業や消費者センチメントは軒並み低下しており、次回会合に向けて実体経済への影響を点検していくことになろう。

 6月会合に向けては、中東情勢に加え、政府との対話も再び焦点となる。政府はガソリン補助金などの原油高対策を実施しているが、ホルムズ海峡の混乱が続けば、年度中に対策予算が枯渇するだろう。補正予算の編成案も浮上しているとされ、政府が追加利上げを望まない可能性もある。また、6月会合では国債買い入れ減額の「中間評価」が予定されている。長期金利の上昇圧力が強いなか、日銀による国債買い入れ減額の縮小が決定される可能性もあるだろう。この点は、5月21、22日に債券市場参加者会合の開催が予定され、日銀が銀行や証券会社などの実務担当者との意見交換を行うことから、議論の方向性にも注目したい。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加

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