Today's Insight
2026/9/2 12:00作成
日本経済:企業はエネルギーショックへの耐性を維持
■ AI需要に支えられ設備投資と経常利益は歴史的高水準を記録。
■ 企業はエネルギーショックへの耐性を維持。内需の底堅さは日銀の早期利上げを後押ししよう。
4-6月期の法人企業統計調査では、設備投資(ソフトウェア含む、前期比1.5%増、前年比1.6%増)は2四半期ぶりに増加した。前期比では、製造業(前期比0.4%増、前年比3.7%減)、非製造業(前期比2.0%増、前年比4.7%増)ともに増加。設備投資は人工知能(AI)関連の需要や省力化投資が継続しているとみられ、高い水準を維持している。同調査は4-6月期実質GDPの設備投資や民間在庫変動の基礎資料となる。GDP1次速報値では設備投資が前期比1.2%減の低調な数字となったが、同調査の結果を踏まえれば2次速報値で上方修正される可能性があるだろう。売上高(前期比2.7%増、前年比5.9%増)や経常利益(前期比11.0%増、前年比24.6%増)が高い伸びとなったことも注目に値する。業種別では、化学、金属製品、電気機械、情報通信機械など、AI関連やデータセンター向けの需要拡大の恩恵を受けた部門の利益の伸びが顕著なようだ。
生産関連統計からもAI需要の継続的な強さがうかがえる。7月の鉱工業生産(速報値、前月比0.1%増)は、4カ月連続で増加。生産用機械、化学、電子部品・デバイスが上昇をけん引した。生産予測指数(8月:同6.4%上昇、9月:4.2%低下)の過去の予測誤差を踏まえて経済産業省が試算した補正値(8月:同3.1%上昇)では、8月も増産が続く見込みだ。9月の生産予測指数は低下の予想となっているが、7-9月期全体でみれば増産基調が維持されよう。また、7月の鉱工業在庫(同0.5%上昇)は2カ月連続で上昇。同指数は、中東情勢の悪化を受けて3月以降急低下し、一時コロナ禍以来の低水準をつけていた。しかし、年初からの在庫減の要因だった化学工業の回復が支えとなり、5月に底打ちしている。在庫指数は依然として低い水準にあることから、企業の在庫蓄積の進展も先行きの生産増につながる可能性があるだろう。生産活動の先行指標となる製造業PMI(8月55.1、前月比0.6ポイント上昇)が4月以降大きく改善していることからも、製造業活動の底堅さが示唆される。
上記の点を踏まえれば、中東情勢悪化に伴うコスト上昇が懸念されたなかでも、企業はエネルギーショックを吸収するだけの耐性を維持していることが示唆される。歴史的な高水準にある企業利益も、先行きの設備投資や景気を下支えするだろう。こうしたデータは内需が依然として底堅さを維持しているとの見方を補強し、9月の日銀金融政策決定会合における利上げを後押しすることになるだろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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