Today's Insight
2026/1/21 12:50作成
日本国債市場:現時点では需給不均衡が背景と整理
■ 日本国債市場の不安定な状況は当面続く見込みだが、過度な警戒は避けて冷静に見極めたい
■ 当面はCDSの動向、イールドカーブ全般の反応、信用格付けを巡る話題、などを確認する
日本国債市場で不安定感が増している。1月20日、20年と30年国債利回りが一日で約19.5bps、40年国債利回りは約26.0bps、それぞれ上昇した。19日に高市首相が2月の衆議院選挙実施の方針を示し、それを受けて与野党とも選挙公約に消費減税を盛り込み、その実現性が高まった。特に自民党が時限的とはいえ食料品への消費税ゼロを検討と踏み込んだが具体的な財源は示されず、財政収支悪化が進むとの見方が広がったとみられる。加えて、20日に実施された20年国債入札で応札倍率の低下、テール(落札価格の最低と平均の差)の拡大から投資家需要が低調との見方が強まり、超長期国債利回りの大幅な上昇を招いた。
昨年春以降、日本では折に触れて財政状況悪化への懸念から国債利回りが変動し、その都度、2022年に英国で起きた金融市場の混乱(トラス・ショック)への連想が意識されてきた。ただし、本稿執筆時点では日本売りではないと解釈する。背景は大きく3点と考える。(1)日本のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、5年物)は、少なくとも昨年4月末時点(69.870)を下回る水準にある。欧州債務危機時のギリシャに代表される値動きを踏まえると、一国の財政への懸念が生じるとCDSは上昇する傾向にある。(2)20日は超長期国債の利回り大幅上昇に対して、2年、5年といった短中期ゾーンは日中の利回り変動幅が4.0bps以内にとどまった。2年国債利回りは1996年7月以来の高水準を付け、5年国債利回りは2007年7月に付けた過去最高水準(1.61%)を更新しているものの、利回り上昇圧力は国債利回り曲線(イールドカーブ)全体に一様にかかっているわけではない。(3)主要格付機関が信用格付け引き下げ等の措置に踏み込んでいない。格下げ措置が実施された場合、国債の担保価値の低下から投資家の売りが誘発される可能性が高く、チェック項目の一つとなる。
日本国債市場の変動率は2023年3月以来の高水準だが、現時点では投資家層が限られる超長期国債主導で、需給の不均衡が市場の不安定感を高めている段階と推測する。1月28日の40年国債、2月5日の30年国債の入札を控え、当面は国債市場の不安定感が続く可能性は高い。一方で、日銀は本日(21日)実施した定例の国債買入オペとは別に、必要に応じて臨時の国債買入オペを実施する方針を維持している。23日の植田日銀総裁記者会見では、足元の国債市場の評価や臨時国債買入オペを巡る質疑応答に注目が集まる見込み。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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