Today's Insight

2026/7/10 11:30作成

カナダ:中銀の金融政策姿勢は加ドル安を後押しか

■ 加中銀は6会合連続で政策金利を2.25%で据え置く見通し、利上げは物価動向がポイントとなる
■ 投機筋の加ドル安見通しは根強いが、米加金利差を巡る思惑や原油価格の動向に注目したい

 カナダ(加)中銀(BOC)は、15日(現地時間)に理事会の結果を発表する予定だ。市場予想では6会合連続で政策金利が2.25%で据え置かれる見通しである。当面の間、政策金利はBOCの中立金利推計レンジ(2.25-3.25%)の下限で維持される公算が大きいとみている。

 前回6月理事会の議事要旨からは、BOCが柔軟性を確保しつつも金融政策姿勢を大きく動かさない見通しが示唆されていた。景気動向では、「経済データを総合的に判断すると、4月時点の状況に大きな変化はない」とのメンバー内の認識で一致と指摘。1-3月期実質GDP(速報値)は前期比年率0.1%減とBOCの4月時点の予想値(同1.5%増)から大きく下振れたものの、想定外の政府支出減少の寄与が大きく、4-6月期以降の景気回復に対する期待感は保っていた。また、「エネルギー価格上昇が及ぼす短期的な影響は一時的なものとして許容する」姿勢を示し、利上げへのシグナルとしては「インフレ圧力の裾野の広がりや持続化を示すデータ」と、物価動向との関連を印象付ける結果だったといえる。

 現時点では、年内の政策金利据え置きとの想定を維持したい。6月22日に公表された5月消費者物価指数(CPI)上昇率では、総合が前年比3.2%とBOCの物価目標レンジ(1-3%)から上振れたが、コア指標の一つであるトリム値は同2.0%で前月から横ばいだった。また、原油先物価格(WTI)が一時1バレル70ドル割れまで急落したことで、今後、総合CPIの上昇圧力緩和が見込まれる。6月下旬にマックレムBOC総裁はインフレリスク後退を認めていた。

 そうしたなか、投機筋の加ドル安見通しは根強い。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータのうち、投機筋の多くを含むとされるレバレッジド・ファンドでは最新の6月30日終了時点で加ドルのネットポジション(加ドルの売買枚数)は約8.8万枚のショートまで売り越しが拡大。これは、2025年のトランプ政権発足直後以来の高水準だ。BOCが当面の間の政策金利据え置きを示唆すれば米加金利差拡大が想起され、加ドル安につながる見込み。一方で、BOCの金融政策姿勢と加ドル動向を見通すなかで、中東の和平協議と原油価格の行方には留意したい。従来から原油価格と加ドルは連動性が高いうえ、原油価格の先高観が強まれば物価押し上げも意識され、投機筋を中心に加ドルの買い戻しが進む可能性も無視できないだろう。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

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