Today's Insight
2026/9/11 11:15作成
欧州株:4-6月期決算レビュー
■ 欧州企業の利益成長はエネルギーや素材、金融など一部セクターに偏る
■ 企業利益の成長ペースに沿った緩やかな株高を想定、中東情勢の変化を引き続き注視
欧州主要企業の4-6月期決算が概ね出揃った。金融情報会社LSEGの集計(3日時点、発表済企業は実績、未発表企業は市場予想)によれば、ストックス欧州600指数構成企業のうち、四半期売上高を発表予定の391社の売上高は前年比11.5%増と、前期(同0.9%減)までの減収から5四半期ぶりに増収に転じる見込み。全10セクターのうち、エネルギー(同21.5%増)や素材(同12.2%増)など、生活必需品(Consumer Non-Cyclicals、同0.2%減)を除く9セクターの増収が予想される。また、四半期一株当たり利益(EPS)を発表予定の338社のEPSは同23.9%増と、7月初め(同約14.5%増)の市場予想から大きく上振れし、前期(同11.8%増)に続く増益となる見込み。エネルギー(同138.6%増)や素材(同67.8%増)など、不動産(同5.4%減)を除く9セクターの増益が想定される。寄与度ではエネルギー(12.2%)と金融(5.7%)に大きく偏っており、世界的に大幅な増益となっているIT(1.2%)の存在感は薄い。
市場では、ストックス欧州600指数の2026年EPSは前年比17.9%増と7月初め(同15.9%増)から上振れすると見込まれ、前年(同0.7%減)の反動で高い伸びが期待されている。セクター別寄与度をみると、前年に米国の関税賦課により落ち込んだ一般消費財(3.9%)が高い伸びとなるものの、EPSの実額(58.3ポイント)では2024年(67.1ポイント)には遠く及ばず、前年の反動の域を出ない。原油高の長期化によるエネルギー(5.4%)、金利上昇や市場変動性の高まりなどによる金融(2.7%)、防衛・インフラ支出増加への期待による資本財(1.8%)、などがけん引する構図となろう。原油高が長期化すれば上記の構図が継続する一方、交易条件の悪化に伴う域内の低成長がEPSの足かせとなるおそれがある。同指数構成企業の利益構造を踏まえると、株価はAI関連需要の拡大に対する思惑には左右されにくく、中東情勢の行方を相対的に強く警戒すべきであろう。
ストックス欧州600指数の向こう1年予想株価収益率(PER)は2月下旬に15.6倍まで上昇していたが、中東情勢の緊迫化を受けて足元では14.4倍に低下している。2018年以降の平均水準(14.0倍)をやや上回り、14-16倍の割高ゾーンで推移している。恒久的な戦闘終結を含む米国とイランの和平協議は一進一退となり、原油高は広い値幅で高下しつつ高水準を維持するとみられる。欧州中銀(ECB)の利上げ観測が根強く、PERの上昇による株高を見通し難い。EPSの伸びに沿った緩やかな株価上昇を想定し、同指数の年末値を660ポイント、年内の上昇余地を700ポイントとの見通しを維持している。欧州連合(EU)の長期予算で財政拡張期待が高まり、欧州株が一段と押し上げられる展開となるか、注目したい。
投資調査部長
山口 真弘



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