Today's Insight

2026/5/21 11:00作成

原油:2026年は大幅な需要超過見通しに

■ 供給見通しが大きく下方修正され、2026年は大幅な需要超過になると見通される
■ 原油の供給制約がアジアなど一部の国で経済活動の足かせとなりつつある

 国際機関による5月時点の世界原油需給見通しが出揃った。

 2026年の世界の原油需要(日量)に関して、石油輸出国機構(OPEC)は前年比117万バレル増(2025年:1億516万バレル→2026年:1億633万バレル)と前月(同137万バレル増)から下方修正した。同様に、米エネルギー情報局(EIA)は同18万バレル増(2025年:1億397万バレル→2026年:1億415万バレル)、国際エネルギー機関(IEA)は同34万バレル減(2025年:1億434万バレル→2026年:1億400万バレル)と、それぞれ前月(同59万バレル増、同8万バレル減)から下方修正した。IEAは減少幅が拡大すると見通し、原油供給の途絶と原油高により需要が破壊されるとの認識を維持した。

 2026年の世界の原油供給(日量)も下方修正された。EIAは前年比475万バレル減(2025年:1億635万バレル→2026年:1億160万バレル)に前月(208万バレル減)から下方修正し、IEAも同390万バレル減(2025年:1億610万バレル→2026年:1億220万バレル)に前月(150万バレル減)から見通しを引き下げた。以上から、IEAは180万バレル、EIAは255万バレルの需要超過に転じるとの想定となった。IEAは米国やブラジルの生産量は過去最大となっているものの、湾岸産油国の生産減を補い切れていないと指摘している。OPECプラス有志国は6月の増産継続で合意したが、3月の生産量は生産枠上限の約8割にとどまるなど、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続くなかで増産決定が即座に生産拡大にはつながらないとみられる。アラブ首長国連邦(UAE)の離脱により世界原油供給に占める割合は45%程度となり、2016年の創設以降で最低となるなかで、OPECプラスが引き続き原油供給への影響力を保持していることを示す意図があったとみられる。

 IEAは中東での軍事衝突が6月初旬までに終結し、年後半に原油の需要と供給が徐々に回復すると見越すが、見通しには大きな不確実性があるとしている。こうしたなかで、世界の石油備蓄は記録的なペースで減少していると警鐘を鳴らしている。石油供給不足の影響はすでにアジアの一部の国に及び、節電や在宅勤務の推奨、計画停電など経済活動の停滞を引き起こしつつある。一方で、日本の石油備蓄は16日時点で205日分と、ホルムズ海峡を通過しない原油への代替調達が進み減少ペースが鈍化している。日本や欧米など先進国では経済活動の停滞につながる動きは目立っていないものの、核開発を巡り米国とイランが妥協点を見いだせないなか、遅れて景気減速懸念が強まるリスクへの警戒姿勢は緩められない。

投資調査部長
山口 真弘

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