Today's Insight

2019/5/16 12:00作成

豪ドルは下げ渋れるか

■ 4月の豪雇用統計では、失業率が2カ月連続で悪化
■ 豪政権の財政政策への期待が豪ドルの下支え要因に

 豪州で14日に発表された4月のNAB(ナショナルオーストラリア銀行)企業景況感指数はプラス3と前月(プラス7)から低下した一方、企業信頼感指数は0と前月(マイナス1)から小幅改善した。ただ、豪州準備銀行(RBA)が労働市場の状況を注視する姿勢を明確にするなか、構成項目では、雇用指数がマイナス1と前月(プラス6)から急落し、2015年8月以来の低水準となったことは気がかり。NABはこの結果をもとに、雇用者数の前月比増加ペースが1万4000人程度になるとみて、かろうじて労働市場が最近の雇用者増を維持できる結果としたものの、同指数が持ち直すか、それとも労働市場の減速を示すのか、今後の動きを慎重に見極める必要があると指摘した。こうしたなか、15日に発表の1-3月期の豪賃金コスト指数上昇率は前年比2.3%と3四半期連続で同水準にとどまっており、賃金の伸びは加速していない。さらに、本日発表された4月の豪雇用統計では、雇用者数が2万8400人増と前月(2万5700人増)から伸びが加速したものの、正規雇用者数は6300人減、失業率は5.2%と2カ月連続で悪化。RBAは失業率がさらに改善しなければ、利下げを検討することを示唆している。
 
 豪州では18日に総選挙が行われるが、モリソン首相率いる与党・保守連合(自由党と国民党)と野党・労働党は中低所得者向けに減税政策を取ることなどを公言している。財政収支は12年振りに黒字となることが見込まれており、財政健全化に伴い政策発動余地が生じる。6年振りに政権交代が起きる可能性はあるが、新政権による積極的な刺激策への期待が高まり、豪ドルを下支えるだろう。一方、ムニューシン米財務長官は米中通商協議を中国で行う計画を明らかにしたほか、トランプ米大統領が6月下旬の主要20カ国・地域首脳会議(G20)にあわせて米中首脳会談を開催する方針を表明するなど、米中貿易摩擦激化への警戒感は若干和らいでいる。こうしたことを踏まえると、目先の豪ドル米ドルは1月3日安値(0.6741米ドル)から1月31日高値(0.7295)米ドルの上げ幅の76.4%戻し0.6872米ドル辺り、豪ドル円は1月4日安値75円20銭付近では下げ渋れるのではないか。


投資調査部
マーケットアナリスト
池田 崇明

ご登録はこちら