Today's Insight

2026/9/9 11:30作成

グローバル:AIブームを支える東アジアの半導体供給網

■ 中国、台湾、韓国、日本では半導体関連製品を中心に輸出の大幅増加が続いている
■ 東アジアのAI関連製品の供給網の動向はブームの持続性や変調の兆候を示す指標群となろう

 8日に発表された8月の中国貿易統計では、輸出(前年比25.0%増)、輸入(同28.2%増)ともに7月に引き続き大幅増加となった。輸出、輸入ともに集積回路(IC)、コンピュータ関連機器などデータセンター建設に必要な情報技術(IT)製品の急増が続いている。中国は主に最終製品の製造や組立を担い、最終製品の輸出と部材の輸入の増加は世界的な人工知能(AI)投資需要が持続していることを反映している。

 世界的なAIブームは韓国、台湾、日本など東アジア諸国の関連製品の輸出にも表れている。先端半導体やAIサーバー(高性能コンピュータ)の受託製造・組立拠点である台湾では、情報通信機器の輸出受注(7月:前年比108.2%増)は急増が続くなか2カ月連続で増勢を強めた。画像処理装置(GPU)による高速演算に必要となるAI用の広帯域幅メモリ(HBM)など高性能半導体を供給する韓国の半導体輸出(8月:同209.1%増)も8月まで急増しており、2カ月ぶりに過去最高を更新した。これらの急増には世界的な需要拡大による製品価格高騰が含まれるものの、AI半導体需要も直接反映されている。日本は半導体生産に必要な半導体製造装置、検査装置、シリコンウエハーなどの素材や電子部品を台湾や韓国の半導体製造企業に輸出している。日本の半導体製造装置(7月:同40.7%増)、半導体など電子部品(7月:同49.1%増)の輸出の増加率は最終需要や製品価格高騰が直接反映される台湾、韓国に比べると小幅にとどまるものの、先端半導体の供給網の上流に位置しており、半導体供給の先行指標として今後も半導体需要の強さが継続することを示唆している。

 最大のAI需要元である米国ではコンピュータ、コンピュータ関連製品、半導体、通信設備を中心に資本財の輸入が大幅に増加している。価格上昇の影響が含まれるものの、現時点でブーム失速の兆候はみられない。AIブーム以前の半導体需給はシリコンサイクルと呼ばれる3-4年周期の循環が繰り返されてきたが、AIインフラ整備によって需要が供給を恒常的に上回るようになり、従前の循環を外れて半導体売上高が急増している。価格高騰を促している超過需要が解消されない限り、金額ベースで半導体輸出は高水準で推移することが見込まれ、需給均衡がいつ、どのようなペースで、どう生じるのかによりAIブーム終息が経済に及ぼす影響は変わりうる。東アジア諸国で形成される先端半導体などのAI関連製品の供給網の動向を捉えることにより、ブームの持続性や変調の兆候を早期に把握することが可能となろう。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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