Today's Insight

2019/3/18 11:00作成

中国経済:内需安定化も、政策調整はなお険しい

■ 1-2月の中国主要経済指標は、生産活動の低迷と同時に、内需の安定化を示唆した
■ ただ、失業率の上昇、不動産投資の急増など、政策調整の難しさもうかがえる

 先週14日に1-2月の中国主要経済指標が公表された。中国では春節休暇を挟むため、例年1、2月は単月の指標結果が公表されず、1-2月分の年初来累計値のみ公表される。鉱工業生産(前年比5.3%増)は昨年12月(同5.7%増)から伸びが鈍化、市場予想(同5.6%増)も下回るなど、生産活動の低迷が続いていることを示唆する結果だった。一方、小売売上高(同8.2%増)は昨年12月と同等の伸びを保っており、個人消費の減速に歯止めがかかりつつあることがうかがえる。また、固定資産投資(年初来同6.1%増)は、昨年8月(年初来同5.3%増)以降、徐々に持ち直している。生産活動の低迷が続く一方、内需は安定しつつある。公表元である中国国家統計局は「(2019年)最初の2カ月は安定を保っている」と総括している。

 このほか、2月の都市部調査失業率が5.3%に上昇し、2年ぶりの高水準に達した点と、1-2月の不動産投資が年初来前年比11.6%増と2014年11月以来の高い伸びを記録した点も注目される。中国政府は、全国人民代表大会(全人代)初日に発表した政府活動報告にて、2019年の都市部調査失業率の目標を5.5%に設定した。失業者の増加は社会不安を惹起し、共産党による一党統治の基盤を揺るがしかねないため、労働市場の安定は、経済成長率同様、重要な政策目標と考えられる。5.5%は政府として死守すべき水準と推察され、5.3%への急上昇は、生産低迷の悪影響が労働市場に波及し始めた可能性を示している。今後数カ月間の推移には注意が必要だろう。中国政府は、2019年の財政赤字(GDP比)目標を2.8%(前年:2.6%)に引き上げ、総額2兆元規模の減税、社会保険料引き下げなどの景気安定策を表明。一方で、「マクロレバレッジ(原文:宏觀槓桿率)」安定を基本方針に掲げ、将来的な不良債権の増大につながり得る投資主導の景気対策には慎重な姿勢も示している。不動産投資の急増は今後の対応を複雑化する。昨年後半からの政策対応が奏功しつつあるが、同時に、労働市場の安定、債務増大の抑制など、相反する政策目標を達成しつつ、経済の安定化を図るには、なお政策調整の難しい舵取りが求められる状況にあることも示した。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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