Today's Insight

2025/11/6 14:30作成

RBNZ:11月も追加利下げの公算

■ 7-9月期の失業率は約9年ぶりの高水準へ上昇、労働市場の減速が一段と強まる
■ 消費者物価指数は中銀目標上限に達したが、10-12月期以降は鈍化とRBNZは予測

 5日、ニュージーランド(NZ)統計局は7-9月期の雇用統計を発表した。失業率は5.3%と前月から0.1%ポイント上昇し2016年10-12月期以来の低水準へ悪化、就業者数は前月比横ばい(4-6月期分は前期比0.2%減へ下方修正)となった。また、労働参加率は70.3%と前期比0.2%ポイント低下し、民間部門の労働コスト指数(残業代を除く)は前期比0.5%上昇へ伸びが鈍化。労働市場の減速は一段と強まった。

 NZ中銀(RBNZ)は10月8日の金融政策では2会合連続で政策金利を引き下げたが、利下げ幅は前回8月会合の0.25%から0.50%へ拡大した。長期にわたる余剰生産能力や低迷する国内経済活動、家計や企業の景況感悪化を踏まえ、RBNZは強力な金融緩和を推し進めてきた。7-9月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.0%へ加速し、中銀目標(1-3%)の上限に達した。だが、7-9月期の実質GDPは4-6月期(前期比0.9%減)に続きマイナス成長が見込まれており、RBNZが緩和姿勢を継続する可能性は高い。

 26日に開催される年内最後の次回会合では四半期に一度の金融政策報告(MPS)も公表されるほか、12月18日には7-9月期の実質GDPが公表される。8月MPSの見通しではCPI上昇率は7-9月期に前年比3.0%まで加速した後、10-12月期は同2.7%、2026年1-3月期には2.3%へ鈍化し中銀目標の中間値に近付くと予測した。RBNZは今年2月以降に累計1.75%の利下げを実施しており、既往の政策効果を見極めていくと判断される。なお、短期金融市場では次回会合で政策金利が0.25%引き下げられ2.25%になるとほぼ完全に織り込まれている。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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