Today's Insight

2026/8/4 11:00作成

債券:日米協調為替介入の背景にある米国債増発

■ 米財務省は市場性資金調達の増額を計画し、利付国債発行額に関するガイダンスが注目される
■ 日米協調為替介入の背景の1つには、米国債市場の需給安定を図る必要性が挙げられる

 米財務省は3日に最新の市場性資金調達計画(Marketable Borrowing Estimates)を発表した。7-9月期に7390億ドル、10-12月期に6280億ドルの市場調達を行う予定が示された。4-6月期は納税による資金流入により市場調達額は抑制されたが、7-9月期の市場調達額は増加する。前回5月時点の計画よりも現金流出入見通しが悪化したため、7-9月期の調達予定額は5月に示されていた6710億ドルから上方修正された。9月末の現金残高(9500億ドル)は6月末(9190億ドル)から増加し、12月末(8500億ドル)には取り崩しが予定されている。

 5日にはこの計画に基づいて5-7月期の国債発行計画(Quarterly Refunding Statement)が公表される。5月の前回声明では「財務省は、少なくとも今後数四半期(for at least the next several quarters)、名目利付債および変動利付債の入札規模を維持する」方針が示されており、8-10月期は同規模の利付国債の発行が見込まれている。資金需要の増加は主に短期国債の増発で賄われることが予想され、短期国債への依存度が高まることになろう。5月の米財務省借入諮問委員会(Treasury Borrowing Advisory Committee、TBAC)の資料によると、4月時点でプライマリーディーラ―は2028財政年度までの今後3年間で純市場性借入額が継続的に増加していくことを見通している。またTBAC議事要旨では、プライマリーディーラ―は、一般的に利付国債の発行額が2027年初に引き上げられ、米財務省がその数四半期前にフォワードガイダンスを修正すると予想していることが確認されている。今回の声明では、2027年の利付国債の増発を巡ってガイダンスが修正されるのかが焦点となっている。

 米国債市場では、期待インフレ率やタームプレミアムが高水準で推移するなか、10年物価連動国債利回り(実質10年国債利回り)は2023年10月末以来の水準まで上昇している。エネルギー価格高騰によるインフレ懸念、人工知能(AI)関連を中心とした設備投資の大幅増加、米連邦準備理事会(FRB)のコミュニケーション方針見直しに伴う金融政策の不確実性など、複数の利回り上昇要因が挙げられ、これらは米国債保有のコスト上昇、すなわち要求プレミアム拡大を意味する。来年にも利付国債の増発が見込まれるなか、米財務省は国債需給の安定を図る必要性が高まっており、最大の米国債保有国である日本の為替介入に協調する姿勢を示している背景の1つであると考えられる。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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