Today's Insight
2026/8/17 12:15作成
日本経済:3期連続プラス成長も内需はさえない
■ 4-6月期実質GDP成長率は潜在成長率を上回る伸びも、消費・設備投資など内需はさえない
■ 物価上振れリスクはやや抑制されるも、円安加速によるインフレ上振れには警戒が必要
4-6月期の実質GDP成長率(1次速報値、前期比年率1.1%)は3四半期連続でのプラスとなったが、内需には弱さもみられた。増加の主因は純輸出(前期比年率寄与度1.8%ポイント)のプラス寄与だ。人工知能(AI)関連需要に支えられ輸出(前期比年率2.1%増)が緩やかな増加が続いたうえ、中東情勢の緊迫による供給制約もあり輸入(同6.0%減)が減少したことが影響した。一方、内需(同寄与度マイナス0.7%ポイント)はプラス予想に反し、3四半期ぶりのマイナスとなった。個人消費(同0.3%減)は9四半期ぶりに減少。耐久財消費は増加したものの、非耐久消費財の減少が下押しした。また、設備投資(同4.6%減)も2四半期連続減少の弱い結果となった。もっとも、円安や価格転嫁の進展に伴う企業利益の堅調さやAI関連・省力化関連の設備投資需要を踏まえれば、2次速報値で上方修正される可能性も残る。日本の成長率は潜在成長率を上回る伸びが続いたものの、内需がさえない内容となったことで、物価の上振れリスクはやや抑えられたといえよう。
先週の政府が日銀の早期利上げを支持するとの報道や、日銀が早ければ9月にも利上げに動くとの報道を受けて、9月の日銀金融政策決定会合における市場の利上げ織り込みは6割程度まで高まる。ただし、6月に利上げを実施したあと、経済指標の裏付けなく9月の利上げを行えば、今後、市場は四半期ごとの利上げペース加速を織り込むことになろう*。これは利上げの影響を慎重に見極めたいという日銀が想定するペースを上回っている可能性が高い。9月の利上げは日銀にとって重い決断となるはずであり、当行は10月の利上げ予想を維持している。しかし、7月末から8月始にかけて日米当局が協調して円安を抑制するとのメッセージを送ったにも関わらず、ドル円は水準を切り上げつつある。円安進行により、ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)懸念が高まり、利上げが9月に前倒しされる可能性は高まっている。
利上げタイミングへの判断材料としては、21日公表予定の7月の全国消費者物価指数(CPI)が注目される。先行指標となる7月の東京都区部CPIでは、食品価格の伸び鈍化が一服したうえ、日用品に値上げの動きがみられており、既往のコスト上昇による価格転嫁が進展し始めた可能性が示唆される。インフレの上振れがみられれば、日銀の9月利上げを後押しする材料となり得る。また、27日に予定されている氷見野副総裁の講演で早期利上げの示唆があるかにも大いに注目だ。
* 詳細は、「PRESTIA Insight 2026.08.13_日銀は物価リスクを警戒しつつ慎重さも保つ」を参照。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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