Today's Insight
2026/5/20 12:00作成
国債利回り上昇と円相場へのインプリケーション
■ 日本を除く主要国の国債イールドカーブはベア・フラット化が進み、利上げ観測の強まりが主導
■ 日本はベア・スティープ化が進行、財政支出拡大への警戒が強く、今後円安が意識される可能性
世界的に国債利回りが上昇している。米国債利回りは節目として意識されていた、2年国債の4%、10年国債の4.5%、30年国債の5%を上回ってきた。日本国債利回りでも、2年国債は1995年5月以来、10年国債は1997年5月以来、20年国債は1996年8月以来の高水準を、それぞれ付けている。また、それ以外の主要先進国では30年国債利回りが、ドイツ(独)で2011年7月以来、英国で1998年3月以来の高水準を付けるなど、超長期国債利回りの水準も注目されるようになってきた。
国債イールドカーブの形状変化を踏まえると、現時点で日本を除く主要先進国では、エネルギー価格高騰などを踏まえた物価上昇に伴う利上げ観測の強まりが、財政支出拡大への警戒を上回っていると整理しておきたい。米独英の3カ国について昨年末時点と直近(5月19日終値)時点で比較すると、10年国債と30年国債の利回り差は、米(0.67%から0.51%)、独(0.62%から0.50%)、英(0.72%から0.66%)、いずれも縮小している。同様に2年国債と30年国債の利回り差では、米(1.37%から1.06%)、独(1.35%から0.94%)、英(1.47%から1.28%)へ縮小している。政権交代の可能性から財政支出拡大への警戒が強い英国を含め、国債利回り上昇とイールドカーブの平たん化(ベア・フラットニング)の進行が確認できる。
対して、日本は米英独と異なる状況がみられる。10年国債と30年国債の利回り差は、昨年末時点(1.33%)を下回り推移してきたが、5月14日に高市政権の補正予算検討の報道が伝わると拡大へ転じ、直近で1.37%を付けた。この間、2年国債と30年国債の利回り差は2.22%から2.72%へ拡大し、国債利回り上昇のなかでイールドカーブは傾斜化(ベア・スティープニング)が進行し、米英独よりも長期、超長期国債でリスクプレミアムが拡大している印象がある。
以上より、昨年末からの主要先進国の国債イールドカーブの形状変化を踏まえると、日本では財政支出拡大への警戒が強く、円安を意識させる材料となりそうだ。特に超長期国債利回りの上昇に伴う円安への思惑は、補正予算案とその財源の詳細が伝わるにつれて、今後強まってくる恐れもある。赤字国債発行の調整(金額、発行年限など)、実弾介入を含めた円安抑制の方針、日銀との連携など、高市政権による政策の舵取りが一段と注目されよう。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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