Today's Insight

2026/2/12 13:20作成

衆議院選挙後のドル円高下を巡る考察

■ 日本の衆議院選挙後、円安進行が警戒されていたが、直近はそれに反する展開となっている
■ 日本の財政悪化懸念後退やドル安要因などを受けた、投機筋のポジション解消が主因と推測

 2月9日発行のPRESTIA Insight*1で確認の通り、日本の衆議院選挙(8日投開票)で自民党が単独で316議席を獲得し、衆院選後の外国為替市場では一段の円安進行が警戒された。しかしながら、ドル円は9日高値157円70銭から急落し、当初の警戒に反した展開となっている。この間、11日公表の1月米雇用統計の結果を受けてドル円は152円台半ばから154円台後半まで反発後、12日に一時152円台前半へ一段安となるなど、荒い値動きが続く。本稿では、投機筋の動向に絞って衆議院選挙後のドル円相場を考えてみたい。

 具体的には、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータのなかでも投機筋が多くを占めると推察される「レバレッジドファンド」のポジション動向を参照したい。同ポジションは昨年7月15日終了時点以降から対ドルで円売りを積み増していたが、今年1月13日終了時点(ドル円終値:157円89銭)の約9.8万枚で直近のピークを付けた後、2月3日終了時点(ドル円終値:154円78銭)には約5.4万枚へ減少した。ただし、衆院選直前の2月6日にかけてドル円は157円台前半まで上昇していたことから、衆院選での自民党勝利とそれに伴う財政悪化懸念を見越して、投機筋は2月3日以降に改めて円売りポジションを増やしていた可能性もあろう。

 衆院選後の主な材料では、1月下旬から日本の財政悪化懸念を示すとして注目された日本の超長期国債利回りが、本稿執筆時点で衆院選直前を下回る水準で推移している。ひとまず高市政権による財政悪化懸念は和らいだと判断できよう。また、2月10日に公表の1月米小売売上高の結果を受けて、米国GDPの約7割を占めるとされる個人消費の弱さが意識された。こうした円安一服とドル安方向の材料を確認し、衆院選後の今週9日以降の投機筋は、先週までに積み上げたと推察される円売りポジション解消に動いているとの見立てになる。

 上記CFTCデータとドル円の過去の傾向を踏まえると、ドル円は不安定な相場環境のなかで一時的に200日移動平均線(150円50銭)や週足一目均衡表・雲上限(149円22銭)などのチャートポイントが集まる水準まで一時的に下落する可能性はあると想定する。一方で、日本の相対的な実質政策金利の低さなどは変わらず、円を積極的に買いづらい状況は続くとみる。今後も日米発の材料を消化するなかで、冷静な状況判断を心がけたい。

*1: PRESTIA Insight 2026.02.09 「日本経済:自民党が歴史的圧勝」をご参照


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

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