Today's Insight
2026/1/29 13:00作成
トランプ米政権下におけるドル安の正念場
■ トランプ米政権の政策不確実性はドルの重しとなるが、米財務長官は強いドル政策を標榜
■ DXYは第1次トランプ米政権の2018年2月安値を意識しつつ、ドル安の正念場を迎えることに
第1次トランプ米政権の中間選挙にあたる2018年は混乱と分断を深めたといわれる。同大統領は通商政策で対外強硬姿勢を強め、通貨政策では米連邦準備理事会(FRB)を批判しドル高をけん制。ムニューシン米財務長官(当時)もドル安を容認した。年明け早々に始まった政府機関の一部閉鎖は暫定予算が成立し3日間にとどまったが、米国の民主政治が機能不全に陥るとの懸念からドル安が加速。日銀は金融緩和の出口を模索し、欧州中銀は政策正常化を前進させるとの見方が広がり円高・ユーロ高も進行。ドル円は堅調な米経済を支えに113円台前半へ上昇する場面もみられたが、3月には104円台後半まで反落した。
その後、FRBは3カ月に1度のペースで利上げを継続したが、日銀は金融緩和姿勢を堅持。ドル円は日米金利差拡大を意識し104円台後半で底入れすると反転上昇、10月には114円台半ばの戻り高値を付けた。11月6日の米中間選挙では上下両院で多数派が異なる「ねじれ」となり、下院は野党民主党が過半数の議席を獲得した。移民・国境問題などを巡る与野党の対立が深まり、政府機関は12月22日から翌年1月25日まで一部閉鎖に再び追い込まれた。米国の内政停滞への懸念が残るなか世界経済は減速、FRBは2018年12月の会合で利上げ休止を示唆すると、ドル円は109円台後半まで押し戻され、この年の取引を終えた。
第2次トランプ米政権が始まった2025年以降、米関税政策に端を発した貿易戦争によるコスト増大は世界的な不況を招き、金融市場の混乱を来たすとの懸念がくすぶった。2026年に入り米国のトリプル安や日本国債の暴落に見舞われるなか、米国の新たな関税賦課やFRBの独立性などを巡り、ドル離れが再燃。ドルインデックス(DXY)は95台まで急落し、2022年2月以来の低水準を付けた。トランプ米政権の政策不確実性はドルの重しとなるが、ベッセント米財務長官は為替介入を否定し強いドル政策を標榜する。DXYは第1次トランプ米政権の2018年2月安値88.253を意識しつつ、11月3日の米中間選挙に向けてドル安の正念場を迎えることとなろう。
投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子



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