Today's Insight

2026/5/12 12:25作成

ドル円のトレンド転換となるトリガー

■ 中東紛争終結が遅々として進まず、本邦当局による為替介入による円高の持続性は乏しい
■ 当面のドル円は155-158円台に落ち着くか、トレンド転換のトリガーは6月の日米金融政策に

 政府・日銀による4月30日の5兆円規模とされる為替介入は、3月下旬以降に続いたドル円の概ね158-161円のレンジ相場を切り崩すと、日本が大型連休中の5月6日に155円02銭まで急落し2月24日以来の安値を付けた。遡ること2024年4月29日、5月1日の両日には計9.7兆円規模の円買い・ドル売りの為替介入が実施され、ドル円は5月3日までの5日間にわたり160円03銭から151円85銭まで8円18銭の円高(ドル安)が進行した。介入実績は財務省が「外国為替平衡操作の実施状況」で実績額の総額を1カ月毎に、実施日などを含む詳細については四半期毎に対外公表している(4月28日-5月27日分の総額は5月29日、午後7時)。

 片山財務相や三村財務官が市場とのコミュニケーションに注力し、為替市場で適正な価格形成が機能しない状況は未然に防がれた。だが、ドル円は今朝のアジア時間に157円台後半まで反転上昇。中東紛争終結に向けた米・イランの交渉は遅々として進まず、紛争長期化への懸念から原油先物価格の高止まりを背景にドル高・円安は継続しており、介入効果の持続性には慎重な見方が少なくない。片山財務相は訪日中のベッセント米財務長官と会談し日米連携を確認したと伝えられており、円安を巡る当局の対応は足並みを揃え、米政府は本邦当局の為替介入を黙認したと判断される。

 米中首脳会談を14、15日に控えて米・イランの和平交渉が進展し、4月8日のように原油先物価格が急落すれば、「有事のドル買い」が巻き戻されドル安を促す可能性はある。一方、6月16、17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の後任に就くとされるウオーシュ次期FRB議長の政策対応を見極めたいとする市場の動向に鑑みれば、ドル相場は目先こう着感が強まりそうだ。こうしたなか、一段の円高に繋がるかは6月15、16日開催の日銀金融政策決定会合での追加利上げの有無と利上げペースなど政策内容によるところが大きい。当面のドル円は155-158円台のレンジ相場に落ち着くとみている。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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