Today's Insight

2020/7/6 11:00作成

金融相場との付き合いは保守的になり過ぎず慎重に

■ 再び景気の底が見えなくなる場合、大幅な金利上昇、などがリスクシナリオとして挙げられる
■ 過度にリスク許容度を下げる必要はないだろうが、金融相場とは慎重に付き合う必要があろう

 先週、米国の代表的な株価指数であるS&P500は4連騰し(7月3日は独立記念日の振替休日のため休場)、週間ベースでは前週の2.86%安から4.02%高と大幅に反発した。ただ、米国の1日あたりの新型コロナウイルス新規感染者数は過去最多の5万人を超え、経済活動再開を遅らせる動きがNYなど北東部の州にも波及している。発表された6月の米消費者信頼感指数やISM製造業景況感指数、雇用統計などは軒並み市場予想を上回る好結果だったが、6月後半から新型コロナ感染拡大が加速していることを踏まえれば、現時点では、来月発表される7月分のデータは再び悪化する公算が大きい。それにもかかわらず株価が反発したということは、ニュースや経済指標は「きっかけ」に過ぎず、「新型コロナ禍における景気の最悪期は脱した」という大前提の下、低金利や過剰な流動性に伴う金融相場が形成されているというのが現在の金融市場の本質といえるだろう。
  
 今後、決定的な悪材料になり得るのは、新型コロナ感染拡大に伴う経済活動の頓挫や封鎖への逆戻りであることは言うまでもないが、その他にも、米中通商第1段階合意の破棄や新興国からの資金流出が通貨危機に発展すること、なども警戒しておきたい。これらにより大前提が崩れ、再び景気の底が見えなくなることが、第1のリスクシナリオと考えられよう。また、第2のリスクシナリオとしては、大幅な金利上昇が挙げられる。いわゆる新型コロナ感染第2波への懸念が緩和し、早期の景気回復期待が再び高まるような場合は、すでに実施されている大型経済対策に伴う国債増発も相まって、主要国の長期金利に対する上昇圧力が強まるとみられる。これらのシナリオが現実となれば、株式相場が2番底を探る展開となる可能性があろう。

 主要中銀の金融緩和は過去に例を見ない規模であるため、さらに資産価格が上昇し続けるという逆パターンのシナリオも排除できない。したがって、過度に保有資産のリスク許容度を下げる必要はないとみているが、実体経済とのかい離が大きくなるだけに脆さも伴うのが金融相場である。様々なリスクシナリオを想定したうえで、慎重に付き合う必要があると考える。



投資調査部
シニアマーケットアナリスト
佐溝 将司

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