Today's Insight

2018/11/8 10:00作成

米中間選挙結果とドル円の見通し

■ 米中間選挙の結果、上院は共和党、下院は民主党が過半数を占める「ねじれ」が生じた
■ インフラ投資では両党協調の模様だが、米政策運営は停滞する可能性

 6日投開票が行われた米中間選挙では、上院100議席のうち35議席が改選された。うち23議席は民主党だったため、当初から共和党が有利とみられており、早い段階で共和党の過半数維持が決まった。一方、下院では全435議席が改選となり、民主党は23議席の上積みで過半数を制す計算だったが、すでに27議席の上積みを決めている。民主党議員の多くが、選挙戦終盤にトランプ大統領への批判を控え、保険・医療制度の維持などを訴える作戦に切り替えたのが成功したとの見方もある。下院では、女性当選者が過去最多、民主党の過半数獲得は8年ぶりだが、選挙結果はほぼ事前予想通りだった。

 下院民主党のリーダーであるペロシ議員は「インフラ支出に関して民主党はトランプ大統領と共に取り組みたい」と述べ、市場では今回の選挙結果の米景気への影響について楽観的な見方も出ている。だが、今回当選した議員の任期が始まる来年1月からは上下院の「ねじれ」で政治が停滞する事態は避けられまい。特にトランプ大統領が公約に挙げていたオバマケア廃止を巡る対立が激しくなるとみられるうえ、債務上限問題が頻発する可能性もある。また、トランプ大統領の身辺を巡る諸問題、たとえば納税申告書公表、ロシア疑惑や司法妨害などの調査について、下院で過半数を制した民主党は強い権限を手に入れた。トランプ政権は対応に時間をとられ、これまでのようにスピード感をもった政策運営ができなくなる恐れがあろう。

 ドル円は中間選挙の結果を受けて上値がやや重くなっている。だが、日米の金融政策の方向性の違いは鮮明で円安ドル高の圧力は根強いと考えられる。当面のドル円の下値メドは50日移動平均線のある112円47銭辺りとなろう。仮にこれを下抜けたとしても、8月安値109円78銭から10月高値114円55銭への上昇の61.8%押しと100日移動平均線が収れんする111円台後半では下げ渋るとみられる。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
白鳥 朋子