米中貿易戦争が現実味を帯びるが、ドル円は底堅い

■ 米国は制裁関税を決定したが、一部品目を対象外とするなど国内景気に配慮
■ 当面のドル円は年初来高値(113円39銭)を上抜けられるかが焦点に

 トランプ米大統領は9月17日、2000億ドル相当の中国製品に対して10%の制裁関税を課すことを発表した。24日付で発動し、2019年1月には上乗せ幅が25%に引き上げられる見込み。当初の税率が10%にとどまり米企業は代替サプライチェーンを模索するための時間を得たほか、腕時計端末など消費者向け製品が7月公表の原案から外されるなど、景気への配慮がうかがえる内容となった。一方、中国商務省は18日、600億ドル分の米国製品に5%または10%の追加関税を課すことを発表。「米国が追加関税をかけることは、双方の交渉に新たな不確実性をもたらす」とし、再開が見込まれていた閣僚級貿易協議の中止を仄めかしている。

今回の米国の中国に対する措置を受けて、21日に予定されていた日米通商交渉(FFR)は後ずれするものの、今月下旬をメドに開催される見通し。11月の米中間選挙における共和党の苦戦が伝えられるなか、8月に続き第2回となる今回のFFRでは米政権が対メキシコで導入したように自動車分野での数量規制といった成果や2国間による自由貿易協定(FTA)を求める可能性がある。貿易摩擦の長期化は世界経済の減速につながるリスクを伴う。

ただし、米国ではむしろ企業や消費者のマインドが上向いているほか、アトランタ連銀の公表するGDP Nowでは7-9月期の経済成長率が4.4%と推計されており(9月14日時点)、景気の堅調さが際立つ。対中の追加関税についてもトランプ大統領が当初25%の上乗せを主張していたことから市場では予想より穏当だったとの受け止めもあり、ドル円は19日に112円台前半と7月20日以来の高値を付けた。米政権の日本に対する姿勢が強硬になれば円高が進む場面も想定されるが、好調な米国経済を背景にドル円は底堅さを保ちそうだ。チャート上では年初来高値113円39銭(1月8日)前後が短期的な上値メドとみられるが、同水準を明確に上抜ければ2017年11月6日高値114円73銭辺りまで上値余地が広がる可能性もあるだろう。

※本資料記載のマクロ経済見通しは、当行がライセンス契約を結んでいるCiti Researchの予測を参照しています。

投資調査部
マーケットアナリスト
齊藤 聡