Today's Insight

2026/10/13 11:15作成

米国株:7-9月期決算プレビュー

■ AI関連企業の好業績が想定され、需要拡大期待が保たれるとの見方が強い
■ 国債利回りの上昇が企業業績に及ぼす影響もあわせて精査したい

 13日の金融大手を皮切りに、米主要企業の7-9月期決算発表が本格化する。10月第2週(12-16日)は各種金融のほか、オランダの半導体製造装置大手や台湾の半導体受託生産大手が決算発表を行う。11月第1週(2-6日)にいったん山場を迎えるが、その後も小売や半導体大手が続き、11月17日の米半導体最大手に至るまで、米国株式市場は決算発表を手掛かりに個別銘柄やセクターを物色する動きとなることが見込まれる。

 金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計(9日時点)によれば、S&P500構成企業の7-9月期予想一株あたり利益(EPS)成長率は前年比30.6%と、前期(同53.7%)から低下するものの高水準が保たれる見通しとなっている。セクター別ではエネルギー(同123.0%)や情報技術(IT、同66.5%)、コミュニケーション・サービス(CS、同47.8%)の高い伸びが目立ち、寄与度をみるとITが16.9%ポイント、エネルギーが5.3%ポイント、CSが4.3%ポイントとこれら3セクターで大勢を占める。なかでもIT、CSセクターの決算内容と業績見通しが注目される。市場には人工知能(AI)関連需要の強さが企業業績につながるとの見方がすでに織り込まれており、想定に沿った結果となれば買い安心感が広がるだろう。大規模クラウド業者(ハイパースケーラー)の決算で巨額の設備投資計画が継続するか、設備投資の収益化や企業財務の悪化に対する懸念が和らぐか、などが引き続き今四半期決算発表で最大の注目点となろう。向こう1年予想株価収益率(PER)は18.7倍と、EPS見通しの上方修正に伴い株価が上昇するなか5月末(21.0倍)から低下している。ITセクターも20.1倍と2025年10月末(31.8倍)から大きく低下している。投資家はAI関連の収益拡大期待を慎重に織り込んでいることが示唆され、株価には割安感がある。AIインフラ構築に向けた需要拡大に対する期待が保たれ、S&P500は上下動を伴いつつ緩やかな上昇基調をたどるとみる。

 また、今回の決算発表では米国債利回りの上昇が企業業績に及ぼす影響を精査したい。米10年国債利回りは8月まで4.8%で上昇の歯止めがかかっていたが、7日には一時5.36%台まで水準を切り上げている。同期間に実質金利(米10年国債利回り-米10年ブレークイーブンインフレ率)は2.4%台から2.9%台に上昇しており、業績拡大期待が高いAI関連企業以外の株価には下押し圧力がかかっている。実質賃金(名目賃金-消費者物価指数)が減少し小売企業の業績に影響が及んでいるか、金利上昇により資金調達や設備投資計画が修正されるかなど、7-9月期の実績とあわせて経営陣が示す業績見通しにも注目したい。


投資調査部長
山口 真弘

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