Today's Insight
2026/8/7 10:45作成
ユーロ圏:域内需要は底堅い
■ 7月PMI改定値では、域内の企業活動及び需要の幅広い回復が示唆される
■ ECBは9月利上げの見込み。成長加速により9月以降の利上げの可能性も高まるか
先週公表された4-6月期のユーロ圏実質GDP成長率(1次速報値)は前期比0.4%増と予想以上の堅調さをみせた。7月のPMI総合指数(52.0、前月比2.0ポイント上昇)は速報値から小幅に上方修正され、域内需要のさらなる回復を示唆している。調査期間中に中東情勢の緊張が再び高まったことで速報値から下方修正される可能性もあったが、その懸念は払しょくされた。指数は6月から大きく上昇し、好不況の境目である50を4カ月ぶりに上回った。部門別では、製造業(51.9、同0.5ポイント上昇)が6カ月連続で50を上回ったうえ、中東紛争以降低迷していたサービス業(51.7、同2.3ポイント上昇)が大きく上昇し、4カ月ぶりに50を上回った。
国別でも幅広く改善が示された。ドイツ(51.3、同1.8ポイント上昇)が上昇し、特に製造業(52.2、同1.9ポイント上昇)が上昇を牽引。S&Pグローバルやドイツ連銀のレポートでは、中東紛争による供給制約の影響がアジア諸国などの競合国により強く出たことで、ドイツの輸出が支えられたことが指摘される。また、防衛支出やデータセンター建設に関連する新規受注増もプラス要因として挙げられた。そのほか、フランス(49.4、同2.2ポイント上昇)、イタリア(52.5、同1.7ポイント上昇)、スペイン(56.5、同3.2ポイント上昇)も上昇しており、需要回復の勢いが域内で幅広く続いていることが示唆される。また、6日に公表された6月のユーロ圏小売売上高(前月比0.3%減)は2カ月ぶりに減少したが、4-6月期は増加し(前期比年率0.8%増)、個人消費の底堅さを示す。エネルギー高による購買力の棄損から家計部門が特に悪影響を受けることも懸念されたが、個人消費は緩やかな増加トレンドを維持しているといえよう。
成長の下振れリスクが後退したことで、欧州中銀(ECB)はインフレ抑制により注力することになるだろう。9月に利上げが実施される可能性は高いとみられる。その後は当面政策金利の据え置きをメインシナリオとしてみているが、成長の加速を踏まえれば、9月以降も利上げが行われるリスクは高まっているかもしれない。7月の消費者物価指数(HICP)では、エネルギー・食品・酒類・タバコを除くコアHICPが前月比0.4%上昇となった。また、不透明な状況が続く中東情勢に加えて、欧州を襲っている熱波による景気・物価への悪影響も懸念される。異常高温によりライン、ドナウ、ローヌなど主要河川の水位低下で水運の輸送能力が減少して輸送コストが上昇。さらに、水温上昇により一部の原発が冷却水を十分確保できず停止するなど、新たな供給制約に発展する恐れがあり、注意が必要だ。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



Japanese
English
