Today's Insight

2026/9/29 10:30作成

日本:海外投資家の国債・株式売買動向

■ 海外投資家は長期・超長期債を買い越す一方、中期債を3カ月連続で売り越した
■ 日本株投資は年初来では高水準の買い越しが保たれるなか、8月以降に物色が変化

 海外投資家の国債売買動向を、24日に更新された公社債店頭取引売買高をもとに確認する。8月の海外投資家の利付債売買高(一般売買)は10年超が9.9兆円、10年が13.2兆円と、7月(10年超が13.3兆円、10年が18.5兆円)から減少した。市場の利上げ観測の高まりや人工知能(AI)関連企業の起債による需給ひっ迫などを受けて、10年国債利回りがそれまで上昇に歯止めがかかっていた2.8%付近を上抜ける動きとなり(7月末 2.79%→8月末 2.94%)、海外投資家は積極的な売買を手控えた様子がうかがえる。売り買いの差し引きでは、10年超が5454億円の買い越し、10年が6539億円の買い越しとなった。一方、中期債は1兆454億円の売り越しとなり、利回り曲線(イールドカーブ)の形状変化を見越した取引が主導したとみられる。海外投資家は2025年1月から2026年3月にかけて10年超や中期の国債を安定的に買い越してきたが、4月以降は10年超を売り越す月もみられるほか、6月以降は中期を3カ月連続で売り越している。財政拡張や日銀の追加利上げペースの加速による金利先高観が意識されている面もあるだろう。2027年度予算の折衝状況や日銀の利上げに向けた思惑をにらみつつ、海外投資家は引き続き柔軟に売買していく姿勢が見込まれ、超長期国債利回りが上昇した場合の歯止めとなるか注目される。

 次に海外投資家の日本株売買動向を確認する。東京証券取引所がまとめた2市場(東京証券取引所、名古屋証券取引所)投資部門別売買状況によると、海外投資家は8月第1週(8月3日-7日)から9月第2週(9月7-11日)に現物株を累計で3533億円売り越しとなったが、7月中旬以降は買い越しと売り越しが交錯している。世界的な半導体株の調整は一巡したものの、海外投資家の売買も方向感が定まらなかった模様だ。9月第2週までの年初来累計(現物のみ)では9.7兆円の買い越しとなっており、6月中旬のピーク(10.9兆円)を下回るものの10兆円前後での推移が継続している。先物*¹では、8月第1週以降に累計で約1.8兆円買い越しており投資家のリスク選好は保たれているが、TOPIX先物は約1.7兆円、日経平均先物は4462億円と指数間で買い越し額に差がみられ、投資先の選別を進めている。世界的な国債利回りの上昇や、AI関連需要の持続性を巡る思惑などが選別の手掛かりとなろう。

 *¹ 日経平均先物・TOPIX先物のラージ・ミニ、JPX日経400先物、グロース250指数先物の合計


投資調査部長
山口 真弘

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