Today's Insight
2026/10/5 11:30作成
金融環境は緩和的状態が続き、日銀は利上げを継続
■ 日銀短観9月調査では、景況感の底堅さと企業の金融環境が引き続き緩和的なことが示された
■ 日銀は利上げ継続を支持も過度に急ぐ姿勢はみられず、引き続き12月会合での利上げを見込む
日銀短観9月調査では、企業の景況感の堅調さが確認された。大企業・製造業の業況判断DI(最近24、前回比2ポイント上昇;先行き21、最近比3ポイント低下)は最近が上昇し、企業活動の勢いを示した。大企業・非製造業(最近35、同2ポイント低下;先行き30、同5ポイント低下)は低下したものの高水準を維持する。設備投資計画(全規模全産業・2026年度計画:前年度比7.6%)も引き続き強く、人工知能(AI)関連や省力化需要が下支えするなか、企業の投資意欲に陰りはみられない。累積的な日銀の利上げの影響を測るうえでは企業金融面が注目されるが、資金繰り判断DI(全規模全産業:13、前回比変わらず)や金融機関の貸出態度DI(13、同変わらず)は、規模別の中小企業においても特に大きな悪化はみられていない。引き続き金融環境は緩和的な状況が続いていると判断される。
一方、先週公表された実体経済のデータは、一時的な要因による短期的な経済活動の下振れリスクを示している。8月鉱工業生産(前月比1.7%減)は、台風や地震の影響で自動車関連の生産が一時停止したことが下押しし、2カ月連続で減少した。8月小売行販売額(同1.2%減)も幅広い財で減少しており、悪天候が個人消費の重しとなった可能性が示唆される。
ただし、こうした一時的な下振れが日銀の政策判断に与える影響は小さいだろう。9月17、18日開催の日銀金融政策決定会合における主な意見では、経済物価情勢が概ね見通し通りに推移していること、金融環境が緩和的な状態にあること、物価の上振れリスクに留意する必要があることなどを踏まえ、継続的な利上げ方針が示された。一方で、委員会内の多数派と政権に近い委員の見解の相違も浮き彫りとなっている。利上げに反対票を投じた浅田・佐藤委員によるものとみられる2つの意見には、公表されているインフレ率が2%を下回っていること、経済が必ずしも強いとはいえないとの評価から利上げの必要性を否定していた。
利上げ継続を支持する多数派のなかでも特にタカ派的(利上げに積極的)な意見としては、「物価上振れを防ぐ意志を市場に示し、為替市場を通じた影響にも配慮する必要」性を挙げたもの、将来の政策の柔軟性確保のため、「政策金利を早めにおおよそのゴールに近づけて、上下双方向に機動的に動けるような状況にしておくことが望ましい」とするもの、「海外動向によっては、中立金利が事前の推計値や市場の見込む水準から上振れる可能性」を指摘するものなどがみられた。ただし、利上げを過度に急ぐものではなく、上記を踏まえ、当行は引き続き12月の利上げを見込んでいる。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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