Today's Insight

2026/9/17 12:15作成

米国:FOMCレビュー

■ インフレの伸びが明確かつ十分な速度で目標に向かっていないと判断し、利上げを決定
■ インフレ抑制で後手に回る懸念が抑制され、ウォーシュFRB議長への市場の信認はつながれた

 15、16日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標を3.50-3.75%から0.25%引き上げ、3.75-4.00%にすることが全会一致で決定された。声明文では不確実性が高いなかでも経済活動は堅調に拡大しているとの認識が示され、2%の物価目標に素早く戻すために利上げを決定したと記された。また、前回のFOMC(7月28、29日開催分)声明文では高水準のインフレはエネルギーなどの供給ショックを一部反映しているとの認識が示されていたが、今回の声明文では削除され、インフレ率は物価目標に対し依然として高い水準にあるとのみ記された。更新された経済見通し概要(SEP)では、ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長を除く18名の参加者の政策金利見通し(中央値)は2026年末、2027年末ともに4.00-4.25%となり、2027年に利下げを見込む参加者は4名となった。

 ウォーシュFRB議長は夏場に公表されたインフレ指標をみると根本的に状況が改善されたと思えないとの認識を示し、「基調的なインフレ率が明確かつ十分な速度で目標へ向かっているという確信を持つ必要がある」と改めて述べたうえで、「この基準が満たされていないと判断した」と利上げ決定の背景を示した。また、広範な金融環境が引き締まっていると判断するのは難しいと指摘し、今回の利上げは金融環境の緩和的な部分を取り除く措置であると説明した。今回のFOMCを受けて市場の利上げ観測は一段と高まった。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループのFedウォッチによれば、年内1回の利上げは8割強、2027年前半に2回の利上げが織り込まれ、政策金利は4.50-4.75%に引き上げられると見込まれている。

 FOMCを受けて、16日の米国債利回りは2年が市場の利上げ観測の高まりを反映して前日比7bps上昇した一方、10年が同2bpsの上昇にとどまり、10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は同5bps低下した。金融市場の初期反応では金融政策が後手に回りFRBが物価を抑制できなくなるとの懸念を抑えることに成功した。トランプ米大統領の度重なる利下げ要求があるなかでFRBが利上げを決定したことで、ウォーシュFRB議長に対する市場の信認はつながれたとみられる。


投資調査部長
山口 真弘

プレスティア インサイトについて

マーケット情報