Today's Insight
2026/10/15 10:30作成
外国為替市場:「キャリートレード」を巡る変化
■ 外国為替市場では8月末を境に「キャリートレード」が後退、「質への逃避」が意識される場面も
■ 世界的な金利上昇などが要因と推測、10月FOMCや米中間選挙も相まって不安定な状況が続く
外国為替市場では、「キャリートレード」からの転換が意識される。一般的に「キャリートレード」は、高金利通貨を買って低金利通貨を売る、金利差に着目するトレード手法とされる。金融市場で投資家のリスク選好度が高まる環境下で選好されるケースが多く、2026年は少なくとも8月末にかけては注目度の高い時期が多かったと推測する。8月末時点までで対米ドルの主要通貨騰落率をみると、豪ドル(プラス7.4%)、メキシコペソ(プラス5.7%)、ブラジルレアル(プラス5.4%)などの高金利通貨が堅調に推移。対して、スイスフラン(マイナス2.0%)、日本円(マイナス2.0%)、ユーロ(マイナス1.1%)といった相対的に金利の低い主要先進国通貨が軟調だった。対して、9月以降の騰落率(10月14日時点)では、メキシコペソ(マイナス8.8%)、豪ドル(マイナス2.7%)など、8月末まで堅調だった複数の高金利通貨が軟調へ転じている。堅調さを維持するブラジルレアル(プラス3.0%)は同国で実施されている大統領・議会選挙の結果が背景とみられ、選挙直前までは他の高金利通貨と同じく軟調に推移していた。
こうした変化の要因として、世界的な国債利回り上昇が挙げられよう。米・英・日など主要国の10年国債利回りは9月以降に大幅上昇となり、軒並み数十年ぶりの高水準圏へ到達している。特にユーロ圏では、フランス(仏)政府による10月1日の2027年度予算案提出以降、仏ドイツの10年国債利回り差が2011年の欧州債務危機時と同水準まで拡大している。そのため、「質への逃避」への思惑からユーロ安・ドル高が進むなど、外国為替市場にも影響が出ている。また、米国債市場のボラティリティ指数(MOVE指数)が、中東情勢の緊迫化が進んだ今年3月以来となる高水準を付けた点も米ドルの「安全通貨」の側面を意識させ、「キャリートレード」選好からの変化を後押ししている。加えて、代表的な調達通貨だった日本円の環境変化もある。9月の日米首脳会談で米大統領が円安へ懸念を表明したと伝わるなど日米当局からの円安抑制への強い姿勢が意識され、投機筋の円売り意欲は削がれている。
直近にかけては8月末までの「キャリートレード」選好に伴う投資家のポジション調整が主導している面もあり、本格的な情勢の転換には至っていない。「質への逃避」への思惑がくすぶるなか、10月27日、28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)や11月3日に投票の米中間選挙などの注目イベントも相まって、当面の外国為替市場では不安定な状況に備えたい。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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