Today's Insight
2025/11/18 13:50作成
加ドル高・円安の持続性に注目
■ 10月の雇用統計では失業率低下と就業者数増加が示され労働市場の悪化に歯止めが掛かるか
■ 加中銀は利下げの必要性を見極める姿勢、加ドル円の上昇が続くか28日公表の加GDPに注目
カナダ(加)統計局が7日に公表した10月の雇用統計では失業率が6.9%と前月から0.2%ポイント低下、雇用者数は前月比6.7万人増と市場予想に反して9月(同6.0万人増)に続き増加し、7月と8月の大幅減少(同10.6万人減)を取り戻す形となった。加中銀(BOC)がインフレ動向を把握するうえで注視している、正規雇用者の平均時給は前年比4.0%増へ伸びが加速し2月以来の高水準を付けた。
BOCは12日に金融政策決定会合の議事要旨(10月29日分)を公表。政策金利の引き下げを今後の会合まで待つことで労働市場の弱さの程度や投入コストの上昇による物価押し上げ圧力、基礎的インフレの持続性などの経済情勢のほか、米国の通商・財政政策に関わる多くの情報を得られるとの考えが示された。一方、供給過剰の継続や労働市場の弱さ、下半期に見込まれる低成長、物価上昇率が中銀目標付近で推移するとの見通しを踏まえると、今会合での利下げの根拠はより説得力があるとの見解が示された。不確実性が高いなかで見通しが大きく変化した場合は政策調整の用意があるとした。
17日に公表された10月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.2%上昇と前月(同2.4%上昇)から伸びが鈍化した。ガソリンの炭素税廃止や食料品価格の伸び鈍化が物価押し下げに寄与した。短期金融市場では、BOCが12月10日の金融政策で政策金利を2.25%に据え置くとの織り込みが90%近くまで上昇している。
加ドルは対米ドルで6月に付けた1.3537加ドルを基点に下落基調が続く。11月に入ると1.4140加ドルを付けて加ドル安に一服感が広がったが戻りは鈍く、10月29日高値1.3885加ドルを抜けるまでは加ドル安への不安が残る。一方、対円は10月2日に付けた105円14銭を底に下値と上値を切り上げて11月17日には110円72銭まで上値を伸ばしている。加日金利差縮小に歯止めが掛かり加ドル高が続くかどうか、28日公表の7-9月期実質GDPにも注目したい。
投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子



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