Today's Insight

2026/2/4 10:20作成

米国:堅調な個人消費に死角はないのか

■ 消費者マインドは景気後退初期に相当するペースで悪化し、一般世帯の苦境が表れている
■ 個人消費の基調的な拡大は主に高所得層がけん引しており、消費構造の脆弱性が指摘できる

 1月27日に発表された1月の米消費者信頼感指数(84.5、前月比9.7ポイント低下)が急低下し、2014年5月以来の低水準を記録した。現況指数(113.7、同9.9ポイント低下)、期待指数(65.1、同9.5ポイント低下)ともに大幅に低下した。現況指数の2項目(経済、雇用の現状)、期待指数の3項目(経済、雇用、所得の6カ月先の見通し)に対する回答(「良い」、「変わらず」、「悪い」)では、「良い」の回答比率が5項目すべてで低下、「悪い」の回答比率が所得の6カ月先の見通しを除く4項目で上昇し、消費者マインドが悪化していることを示唆している。

 米消費者信頼感指数の現況指数は景気循環との連動性が高く、過去の推移では景気循環にやや先行して変動している。家計の経済状況を早期に捕捉でき、かつ循環的に変動する傾向があるため、景気の早期警戒指標と考えられる。景気後退初期には現況指数の短期間での急低下が観測され、サーム・ルール景気後退指標の算出方法に従って3カ月平均値の過去1年間の最高値からの低下幅を測ると、1980年以降の景気後退ではそれに先行してピーク時点から20ポイント超の低下を記録している。1月の大幅低下により同指標はピーク時点からの低下幅が2020年の景気後退期以降初めて20ポイントを上回った。最近の消費者マインドの悪化は2007年や2020年の景気後退初期に相当するペースと評価される。

 類似調査であるミシガン大学消費者調査では1月の消費者信頼感指数(56.4、前月比3.5ポイント上昇)は上昇しており、すべての最新データが消費者マインドの急激な悪化を示している訳ではない。ただし、両調査の現況指数は2020年のコロナ禍以降著しく乖離しており、ミシガン大学の調査では現況指数がすでに2008年や2022年の最低水準圏に位置していることを踏まえると、コンファレンスボードの調査が示す消費者マインドの悪化を楽観できないだろう。両調査の調査項目の違いからミシガン大学の調査は所得や物価の影響が表れやすく、5000世帯を対象とするコンファレンスボードの調査はミシガン大学の調査(速報値:300世帯、確報値:500世帯)よりも広範な家計の状況が反映されていると考えられる。

 経済全体では個人消費は基調的に拡大しているが、多くのデータが資産価格上昇の恩恵を受ける高所得層がけん引していることを示している。一般世帯のマインド悪化や個人消費の資産価格に対する感応度が高まっていることからは足元の消費構造の脆弱性も指摘される。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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