Today's Insight

2019/5/17 11:30作成

南アフリカの正念場

■ 5月8日の総選挙で与党アフリカ民族会議は辛勝、南アランドは反発地合いが継続
■ 第2次ラマポーザ政権の構造改革と南ア準備銀行の政策期待にランド高へ

 GW明けの金融市場は貿易戦争を背景に株安と円高でリスクオフ一色となったが、こうしたなかでも南アフリカ(南ア)・ランドの反発は目を引く。5月以降は安全資産とされる円とスイスフランを除けば全面高で、ドルよりも優勢な展開となっている。5月8日の総選挙で、与党アフリカ民族会議(ANC)が過去最低の得票率(57.5%)ながら過半数の議席を獲得した。また、物価安定を目指した政策運営に腐心している南ア準備銀行への信頼感が南ア高に作用していると思われる。南アランドは対ドルで14.58ランドの安値を付けて反発地合いを強め、14.13ランドへ上昇。対円は7.57円台前半で底入れ感を強め、7.69円台半ばの動きとなっている。

 市場予想では、来週22日発表の4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比4.6%と1月(同4.0%)を底に3カ月連続で伸びが高まる見通し。3月の金融政策委員会(MPC)では「インフレ見通しに対するリスクは概ね均衡している」との認識が示されたが、市場予想通りであれば目標(3-6%)の中間値で推移しており、23日のMPCでも政策金利は6.75%に据え置かれる見込み。同中銀が既往のランド安を背景にインフレリスクへの警戒感を強める可能性はあるが、政策金利は年内いっぱい据え置かれるとの予想が市場の大勢。

 南アにも不安要素はある。主要輸出相手国の欧州の景気減速や電力不足の深刻化、国営電力会社の政府支援による財政悪化など、ランドの下振れリスクはくすぶる。南ア経済は2018年前半がマイナス成長に陥ったが、同7-9月期に前期比年率2.6%増、同10-12月期は同1.4%増とプラス成長に戻っている。市場予想では、6月4日発表の1-3月期は減速するが、4-6月期には再び加速するとの見方が強い。第2次ラマポーザ政権が雇用創出や教育・職業訓練機会の強化など、構造改革を進めるとの期待が高まるとみている。ランドは対ドルで14ランドを明確に上抜ければ2月25日高値13.80ランド、対円は5月9日安値5.5735円辺りで底堅さが確認されれば、4月15日高値8.0535円を目指す展開となろう。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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