Today's Insight
2026/10/30 11:30作成
原油:イスラエル総選挙と米中間選挙で不確実性高まる
■ 世界原油需給のひっ迫懸念が再び高まり、WTIには上昇圧力がかかりやすい
■ イスラエルの政権樹立に向けた動きや中間選挙後の米国の対中東戦略の変化を注視
国際機関による10月時点の世界原油需給見通しが出揃った。2026年の世界原油需要(日量)について、石油輸出国機構(OPEC、前年比38万バレル増→18万バレル増)、国際エネルギー機関(IEA、同250万バレル減→260万バレル減)、米エネルギー情報局(EIA、同169バレル減→197万バレル減)いずれも下方修正となった。原油供給(日量)について、EIA(同562万バレル減→520万バレル減)は上方修正、IEA(同570万バレル減→580万バレル減)は下方修正した。以上から、EIAは134万バレル、IEAは170万バレルの需要超過との想定となった。IEAは産油国からの原油輸出量が米イラン軍事衝突前の75%程度まで回復したとの見解を示した一方、供給回復は依然として脆弱な状態にあると指摘した。2027年の世界原油需要(日量)に関して、OPEC(前年比235万バレル増→256万バレル増)は上方修正した一方、EIA(同239万バレル増→221万バレル増)、IEA(同312万バレル増→200万バレル増)はそれぞれ下方修正した。原油供給(日量)について、EIA(同926万バレル増→846万バレル増)、IEA(同800万バレル増→770万バレル増)ともに下方修正となった。EIAは491万バレル、IEAは400万バレルの大幅な供給超過に転じる想定となっているが、中東情勢の先行き不安定感を踏まえれば見通しの不確実性は高い。IEAは軽油に関して、年末にかけて製油所のメンテナンスや暖房需要により在庫減少に拍車がかかり、2027年に入り供給が復調しても在庫復元に時間がかかり需給がひっ迫した状態は続くとの見方を示した。
世界的な軽油不足に対応するため、IEA加盟国は15日に3月に決定した4億バレルの協調放出の未実行分7000万バレル(軽油2000万バレル超を含む)の放出加速を決定した。主要7カ国(G7)は10月3日に最大1億バレルの石油備蓄の協調放出を4カ月で実施すると決定した。これらの需給緩和要因が原油先物価格(WTI)の上昇を抑制している間に中東情勢の不確実性が解消に向かうか注目される。27日投票のイスラエル総選挙は開票作業が終了し、ネタニヤフ現首相が率いるリクードが第1党となったものの、現与党陣営では過半数となる61議席を獲得できなかった。政権樹立に向けた連立交渉が続く間はネタニヤフ暫定政権が継続し、政権樹立できなければ再選挙が実施されることとなり、中東情勢の不確実性は継続するとみられる。こうしたなか、イランに対して米中央軍(CENTCOM)は追加的な軍事攻撃の選択肢を準備していると報じられた一方、バンス副大統領は戦闘終結に向けた協議再開に関する書簡を送付したとも伝わる。中間選挙後の米国の対中東戦略を慎重に見極めたい。
投資調査部長
山口 真弘



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