Today's Insight

2025/12/5 12:50作成

豪金融政策の転換を示唆するか、RBA理事会に注目

■ 10月の家計支出指数はほぼ2年ぶりの高水準を付けるなど、個人消費の底堅さが示唆された
■ RBA総裁は景気は潜在成長率の上限に達しているとの認識、金融政策の次の一手は利上げか

 豪統計局(ABS)が3日に公表した7-9月期実質GDPは前期比0.4%増と在庫減少で押し下げられ、前期(同0.7%増、改定値)から伸びは鈍化したものの、個人消費は増勢を維持したほか設備投資が高い伸びとなりプラス成長を維持した。家計貯蓄率は6.4%と前期(6.0%)から上昇し、家計の購買力が十分にあることが示された。4日に公表された10月の家計支出指数(MHSI)は前月比1.3%上昇(784億豪ドル)となり、2024年1月以来の高い伸びとなった。セールにより衣料品・履物、家具、電子機器などへの支出増が要因。支出はモノが同1.7%上昇、サービスが同0.8%上昇となった。11月10日公表の11月消費者信頼感指数は103.8と3年9か月ぶりに楽観論が悲観論を上回る100を超え、経済見通しの大幅な改善が示されており、MHSIはそれを裏付けたと言えよう。11月の豪中銀(RBA)理事会議事要旨(11月3、4日開催分)を踏まえると、内需の底堅さが豪成長を支えており、市場の利下げ見通しは後退したと判断される。

 ブロックRBA総裁は3日、すでに豪経済は潜在成長率の上限に達している可能性が高いとして、インフレ圧力が予想以上に長期化すれば金利の道筋に影響が出るとの見方を示した。MHSIを受けて、豪3年債利回りは4%台に乗せて1月以来の高水準を付けた。RBAは来週8,9日開催の理事会で政策金利を3.6%に据え置くことが確実視され、短期金融市場では来年6月の利上げ確率が50%に急上昇している。RBAがインフレ抑制に向けて政策転換を図るのか、来年以降の政策運営を巡り新たな見解が示されるか、声明や同総裁の発言は注目される。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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