Today's Insight
2026/4/24 10:00作成
中国:エネルギー価格高騰でも景気支援策には慎重姿勢
■ 1-3月期はハイテク産業を中心に成長ペースが加速したが、3月は景気拡大ペースが鈍化した
■ 供給網混乱の解消具合、米中首脳会談を踏まえて景気下支えなどの対応を検討か
中国では17日に1-3月期および3月分の主な経済指標が公表され、3月までの経済状況が確認できる。1-3月期の実質GDP成長率(前年比5.0%、前期比1.3%)は成長ペースが加速し、前年比で今年の政府目標(4.5-5.0%)の上限相当、前期比で年率5.0%をやや上回る成長となった。前年比の産業別内訳では、建設業、不動産業はマイナス成長だったが、二桁成長となった情報通信・ソフトウェア・情報技術(IT)サービス業、リース・ビジネスサービス業を中心に第三次産業(前年比5.2%)が成長をけん引した。製造業や金融業も全体を大幅に上回るペースで成長した。不動産市場の調整をハイテクおよび周辺産業の成長で補完する構図で、中国政府が目指す経済構造改革および「質の高い経済発展」の進展がうかがえる。
ただし中東情勢の緊迫化やエネルギー供給の停滞により、3月は景気拡大ペースが鈍化した。主要指標では、鉱工業生産(前年比5.7%増)、小売売上高(同1.7%増)、固定資産投資(農村部除く、年初来同1.7%増)、サービス業生産指数(同5.0%上昇)の増加・上昇ペースがいずれも鈍化した。貿易統計では、銅鉱石、集積回路(IC)を中心に輸入(同27.8%増)が大幅増加となり、輸出(同2.5%増)の増勢は弱まった。供給項目である鉱工業生産、サービス業生産は相対的に高い増加が続いているものの、需要項目である小売売上高、固定資産投資は政府目標を大幅に下回るペースの増加にとどまっている。また、消費、投資などの内需が低迷するなか、石油関連製品を中心とした世界的な供給網の停滞によって外需項目である輸出も3月に勢いは明確に鈍化した。生産者物価指数(同0.5%上昇)が2022年以来の上昇に転じ、経済全体でデフレ圧力は和らぎつつあることが示されているが、総供給に比べて総需要の成長が鈍い状況は変わっておらず、先進国に比べるとエネルギー価格高騰に伴う物価上昇の波及は関連製品を除けば緩やかにとどまると考えられる。
中東情勢やエネルギー調達の不確実性が高まり成長ペース鈍化が見込まれるなかでも、中国政府は全国人民代表大会(全人代)で予告していた消費振興策以外には景気支援策を打ち出していない。1-3月期に巡航速度以上の成長を実現し、直ちに対策が求められる状況にないため、供給網混乱の解消具合や5月14、15日の米中首脳会談を踏まえて対応が検討されることになるだろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏



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