Today's Insight

2025/2/14 13:50作成

底入れ感を強めるポンド高の持続性

■ 足元のポンド高はドル安に押し上げられた印象が強く、米相互関税の策定が待たれる
■ 英景気の足取りは鈍く、雇用・物価指標に注目し、ポンド相場は200日移動平均線が上値メドか

 13日、英統計局が公表した昨年10-12月期の実質GDP(速報値)は前期比0.1%増と市場予想(同0.1%減)に反して増加した。内訳をみると、政府支出は同0.8%増と、行政・防衛の支出増と保険分野での活動増が反映された。だが、GDPの6割を占める個人消費は同横ばいで教育費などの減少が響いた。総固定資本形成のうち企業投資は同3.2%減、輸出は同2.5%減と燃料と機械・輸送機器の落ち込みが足かせとなり、3四半期連続で減少した。実質GDPは2四半期ぶりのプラス成長となったが、英景気は力強さを欠く。

 この日のポンド相場は、英経済指標好転よりもむしろドル安に押し上げられた印象が強い。トランプ米大統領がすべての国に相互関税を課す大統領令に署名したものの即時発動はせず、ドル高に一服感が広がったためだ。具体的な策定までは数週間から数カ月かかるとみられており、ラトニック米商務長官(候補)は4月2日までに計画は開始可能だとしている。ポンドドルは1.25ドル台後半まで上伸し1月7日以来の高値を付けたが、ポンド円は193円台前半へ上昇後、ドル円の下落につれて191円台前半へ押し下げられる場面もみられた。

 目先は英国で来週公表される雇用統計と消費者物価指数(CPI)に注目。昨年11月まで3カ月間の失業率は4.4%へ上昇したが、民間部門の平均賃金(3カ月平均)は6.0%増へ伸びが加速した。一方、同12月CPIの前年比上昇率は総合指数が2.5%、エネルギー・食品・アルコールなどを除くコアCPIが3.2%とともに鈍化した。英中銀は3月の会合では政策金利を据え置き、追加利下げは5月との見方が大勢を占めているが、来週公表される雇用・物価の結果次第で早期利下げ観測が高まれば、ポンド高の持続性は乏しくなろう。ポンドは対ドル、対円ともに200日移動平均線(1.2787ドル、195円17銭、14日現在)が上値メドになると予想する。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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