Today's Insight
2026/10/9 10:20作成
ブラジル:大統領・議会選挙は右派優勢へ
■ 10月25日の大統領選挙・決選投票を残すが、議会と合わせての右派優勢が金融市場で好感
■ もしボルソナロ候補が次期大統領となれば、南米での「ブルータイド」の流れが固まる可能性も
本稿ではブラジルの大統領・議会選挙を巡る現時点の情勢を整理する。大統領選挙は10月4日の第一回投票の結果、フラビオ・ボルソナロ上院議員(右派、以下ボルソナロ候補)と現職のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(左派、以下ルーラ候補)が10月25日の決選投票へ進出した。ボルソナロ候補は、前大統領のジャイル・ボルソナロ氏の長男。ブラジル高等選挙裁判所(TSE)の発表では、得票率はボルソナロ候補が47.04%、ルーラ候補が45.15%でともに過半数を獲得できず、得票順位は主要な世論調査に反する結果だった。
同時に実施された議会選挙でも右派が優勢となっている。今回は下院全体(513議席)と上院(81議席)の3分の2の議席が改選されたが、ボルソナロ候補の所属する自由党(PL、右派)が上下両院で比較第一党になる公算が高まった。自由党単独での議席数自体は上院が121議席、下院が28議席にとどまるとみられるものの、他の中道から右派の政党や連合と合わせれば、右派勢力は上下院で過半数を超える見込みと伝わる。もし、このままボルソナロ候補が次期大統領に当選した場合、当面のブラジル政治における安定感は増すと解釈されよう。
ブラジルの金融市場では両選挙の結果を好感し、株高・金利低下・通貨高が進んでいる。主要株価指数(ボベスパ指数)は10月5日に一時209600ポイントに達し、過去最高値を更新した。10年国債利回りは昨年11月下旬以来となる12.7%台まで低下したうえ、レアルは対米ドルで今年5月高値(4.8848レアル)、対円は今年7月以来となる32円台をうかがう。右派が上下両院で政権を奪還した場合、財政拡張路線を採用してきた左派からの方針転換が見込まれる。加えて、米政権との関係修復に対する期待感も、金融市場の期待を支える。トランプ氏と前大統領の関係は深く、米政権が設定した関税率引き下げが見込まれる。また、南米では昨年末からチリ、コスタリカ、コロンビア、ペルーなどで右派政権が誕生しており、米政権との親和性の高い「ブルータイド(右派政権)」の流れが固まる可能性も意識される。
現職のルーラ候補も巻き返しに懸命であることから、大統領選挙・決選投票に対する注目度は一段と高まっている。仮にボルソナロ次期大統領が誕生となれば、地政学リスクが意識される現状において、金融市場では来年にかけて南米全体への注目度が増すとみておきたい。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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