Today's Insight

2026/1/7 11:00作成

2025年新興国通貨:「米ドル安」、「高金利」がポイント

■ 2025年の新興国通貨は、米ドル安を背景に大半がプラスのパフォーマンスを記録した
■ 高金利通貨が選好されて東アジア通貨は低調も、半導体需要などで支えられるとの期待は残る

 本稿では、2025年の主要新興国通貨の状況を整理する。アジア(中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア、インド)、中南米(ブラジル、メキシコ)、東欧(ハンガリー、チェコ)、その他主要国(南アフリカ、トルコ)の12カ国で確認する(データは2025年末時点)。このうち、トルコリラ、インドネシアルピア、インドルピーを除く9通貨が上昇した。対米ドルの上昇率では、ハンガリーフォリント(17.7%)、チェココルナ(15.5%)を筆頭に、メキシコペソ(13.5%)、南アフリカランド(12.1%)、ブラジルレアル(11.4%)と続いた。

 2025年の新興国通貨市場では、「米ドル安」と「高金利」がポイントだったと考える。2025年は世界的に景気が底堅く推移したことに加えて、米ドル安進行に伴い新興国では自国通貨ベースでの対外債務減少などが意識された。そうしたなかで、新興国では政情不安が確認された国を除いて通貨や株式が堅調に推移した。特に米政権による関税賦課への過度な懸念が和らいだ年後半には、米国での連続利下げ実施も相まって「米ドル売り・新興国通貨買い」の「ドルキャリー取引」が広がったとみる。リスク回避が和らぐなかで高い実質金利を維持したメキシコ、南アフリカ、ブラジルなどの通貨が選好された。また、米ドル安の受け皿としてユーロを含む欧州通貨が堅調となった影響で、ハンガリーやチェコなどの東欧通貨も選好された。

 対して、韓国ウォン(2.2%)、台湾ドル(4.2%)、中国人民元(4.3%)、と、東アジア通貨は政策金利の低さなどから「ドルキャリー取引」の恩恵を受けられず、比較的低調だった。また、中国、台湾、韓国はいずれも巨額の対米貿易黒字を抱え、対米輸出品に対する高関税への懸念が解消されづらかった点も背景とみる。ただし、韓国と台湾の主要株価指数は昨年末時点で過去最高値圏へ浮上しており、旺盛な半導体需要が今後資金流入を招くとの期待は残る。また、中国当局は緩やかな人民元高を志向し、対米ドルで6元台へ上昇している。

 結局、2025年を通じて対米ドルで下落したのは、トルコリラ(マイナス21.5%)、インドルピー(マイナス5.0%)、インドネシアルピア(マイナス3.7%)など、政情不安や貿易収支悪化が進んだ国の通貨に限られた。これらの国では通貨防衛のために金融当局が自国通貨買いの為替介入を度々実施したものの、パフォーマンスの好転には至らなかった。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

プレスティア インサイトについて

マーケット情報