Today's Insight
2026/4/20 10:00作成
原油:世界原油需給が需要超過になるとの見方も
■ 供給見通しが大幅に下方修正され、需要超過になるとの見方が浮上
■ 期先の原油先物市場では原油高の長期化を織り込む動きがみられる
国際機関による4月時点の世界原油需給見通しが出揃った。
2026年の世界の原油需要(日量)に関して、石油輸出国機構(OPEC)は前年比138万バレル増(2025年:1億515万バレル→2026年:1億653万バレル)と前月の見通しを据え置いた。一方、米エネルギー情報局(EIA)は同59万バレル増(2025年:1億397万バレル→2026年:1億456万バレル)と前月(同123万バレル増)から下方修正した。また、国際エネルギー機関(IEA)は同8万バレル減(2025年:1億434万バレル→2026年:1億426万バレル)と前月(同70万バレル増)から下方修正し、新型コロナ禍に見舞われた2020年以来となる前年比減少に転じると見通した。IEAは原油供給の途絶と原油高により需要が破壊されると指摘した。
2026年の世界の原油供給(日量)は下方修正された。EIAは前年比203万バレル減(2025年:1億630万バレル→2026年:1億427万バレル)に前月(73万バレル増)から下方修正し、IEAも同150万バレル減(2025年:1億620万バレル→2026年:1億470万バレル)に前月(110万バレル増)から見通しを引き下げた。以上から、IEAは44万バレルの供給超過とみる一方、EIAは29万バレルの需要超過に転じるとの想定となった。IEAはホルムズ海峡の事実上の封鎖や中東各国の石油施設への攻撃に伴う減産により、3月の世界原油供給量が全体の1割に相当する日量1010万バレル減少したとの見方を示し、史上最大の供給途絶と指摘した。
IEAは原油供給が5月から徐々に再開されることを見通しの前提としたが、2月末に発生したイラン紛争以前の水準には戻らないと指摘し、原油供給見通しの下振れリスクを強調した。ビロルIEA事務局長は破壊された中東のエネルギー施設の復旧には最長で2年かかるとの見方を示している。ホルムズ海峡が開放され原油輸送が復旧しても、幅広く攻撃を受けた中東湾岸諸国の原油生産能力が早期に復元するとは想定し難く、軍事衝突が継続する限り原油高が長期化する蓋然性は高まるだろう。イラン紛争前にホルムズ海峡を通過した最後の石油タンカーが来週にかけて製油所に到達すると報じられており、今後は世界的に石油供給の減少が一段と実感されるようになるだろう。期先の原油先物価格(WTI)は和平協議に関する報道に神経質に反応する展開が続いているが、1年期先のWTIは2月末の1バレル62.77ドルから先週には74.11ドルまで上昇してきている。特に米国とイランが2週間の停戦で合意した7日以降に水準を切り上げており、原油高の長期化を織り込む動きとして注目したい。
投資調査部長
山口 真弘



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