Today's Insight
2023/11/28 13:25作成
トルコ中銀:利上げサイクルは12月に終了か
■ 中銀は政策金利を40.0%と過去最高水準に引き上げ、利上げサイクル終了の可能性を示唆
■ インフレ率低下を受けて実質金利がマイナス圏から抜け出すまでは、リラの下値警戒感は根強い
トルコ中銀(CBRT)は23日の金融政策委決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを5.0%引き上げて40.0%とした。エルカン総裁が新総裁に就任した6月以降、利上げは6会合連続で利上げ幅は累計26.5%となった。声明では「現在の金融引き締めの水準は、インフレ抑制に必要な水準にかなり近づいていることを評価している」と指摘。「それに伴って、金融引き締めペースは鈍化し、そのサイクルは間もなく終了する」「金融引き締めは持続的な物価安定を確保するために必要な限り維持される」との見解が示された。
10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比61.36%となり、リラ安による輸入インフレや最低賃金の引き上げなどで中銀目標(5%)を大幅に超える状況が続いている。ただ、夏のリラ急落や選挙後の増税の影響が緩和し4カ月ぶりに鈍化した。2日公表のインフレ報告では2023、2024年末のCPI見通しを65%、36%と8月時点から引き上げたが、2024年下半期には着実に低下すると予測、2025年末を14%と8月時点(15%)から下方修正した。利上げ打ち止め感が広がりつつあるなかで、CBRTは12月4日公表の11月CPIを踏まえ12月21日開催の金融政策決定会合で2.5%の追加利上げを決定し、利上げサイクル終了に言及するか注目。
CBRTは、トルコリラ預金の割合を増やすための追加措置を講じたうえで、量的金融引き締め措置も継続している。リラ下落に一定の歯止めを掛けているとみられるが、実質金利はマイナス圏にとどまり、トルコリラ(リラ)は11月に入っても対ドルや対円で史上最安値を更新中だ。目先は30日に公表される7-9月期の実質GDPに注目。4-6月期は堅調な個人消費を支えに前期比年率3.5%増と2021年7-9月期以来の高い伸びとなったが、7-9月期の経済指標は減速を示唆しており、市場予想では同1.0%増へ伸びが鈍化する見通し。政策金利は過去最高水準に引き上げられたが、インフレ率低下を受けて実質金利がマイナス圏から抜け出し、プラス圏を見通せるようになるまでは、リラの下値警戒感は根強く残るだろう。
投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子