Today's Insight
2026/4/30 11:20作成
日米中銀:日銀会合、FOMCレビュー
■ 日銀はインフレへの警戒姿勢を強め、市場では6月利上げの観測が強まった
■ FRB議長が交代しても、現在の政策方針が急速に変化する可能性は低いだろう
27、28日に開催された日銀金融政策決定会合では政策金利は0.75%に据え置かれた。声明文では中東情勢の緊迫化を受けた景気見通しの下振れリスク、物価見通しの上振れリスクへの警戒感が示されたが、(1)物価上昇への警戒から利上げを主張して3票の反対票が投じられたこと、(2)経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー、前年度比上昇率)の見通しが2026年度(2.2%→2.6%)、2027年度(2.1%→2.6%)ともに前回1月時点から大幅に引き上げられたこと、などを踏まえると、物価上昇への警戒感が明確に強まったと解釈される。特に、原油価格の高止まりが原材料費の上昇につながり、価格転嫁を通じて財価格を広範に押し上げる「2次的効果」のリスクを重くみた点が注目される。2026年度の実質GDP成長率見通しは0.5%と前回1月時点(1.0%)から下方修正されたが、日銀が推計する潜在成長率がゼロ%台半ばであることを踏まえれば、中東情勢の不確実性に伴う景気減速により利上げが難しくなるとの懸念は強まりにくいとみられている模様だ。次回6月会合で利上げが行われる可能性が高まったように感じられる。
米連邦準備理事会(FRB)は28、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を3.50-3.75%に据え置いた。声明文では経済活動は堅調なペースで拡大していると評価しつつ、経済見通しは中東情勢を一因として依然として極めて不確実性が高いとした。政策決定の投票では4票の反対票が投じられた。このうち1票は利下げを主張したもので、他3票は政策据え置きには賛成しつつ現時点で声明文に将来的な緩和バイアスを含めることに反対の意向が示された。パウエルFRB議長が政策金利は適切な水準にあるとの考えを示したことも相まって、市場では利下げ観測の当面の後退につながる結果と受け止められた。
なお、パウエルFRB議長は議長職の任期満了後も当面は理事職にとどまる意向を示した。FRBの独立性を揺るがす政治的圧力に対抗することが目的で、「影の議長」になるつもりはなく目立たない形で務め可能な限りウォーシュ次期FRB議長を支えると述べた。ウォーシュ次期FRB議長の上院での承認プロセスは進行しており、5月15日に議長交代となる見通しとなっている。ウォーシュ次期FRB議長は4月21日の公聴会で、人工知能(AI)による生産性向上がインフレ抑制につながるとの見解も示したが、将来的な可能性としての認識にとどまっている模様だ。FRBの独立性は不可欠と強調しつつ、低インフレこそが独立性を守る最大の武器であるとの認識を示しており、政策金利が中立金利と推計される水準にあるなかで、雇用が悪化しなければ利下げを急がないという現在の政策方針が急速に変化する可能性は低いだろう。
投資調査部長
山口 真弘



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