Today's Insight

2024/7/16 11:30作成

中国:消費低迷により景気拡大ペースは鈍化

■ 中国では、4-6月期の成長ペースが鈍化し、6月単月でも消費関連項目が低迷した
■ 経済の安定の観点では、経済構造の高度化の代償となるストック調整への対応が重要に

 15日までに発表された主要経済指標から中国経済の動向を確認する。4‐6月期の実質GDP成長率(前年比4.7%、前期比0.7%)は低下し、前期比でも年率で政府目標の5%を大幅に下回った。また、一定規模以上の鉱工業設備稼働率(74.9%)は2四半期ぶりに上昇したものの、趨勢的には水準を切り下げており、不稼働設備が増加傾向にあることを示している。

 6月の月次指標では、輸出(前年比8.6%増)が増勢を強めたものの、鉱工業生産(同5.3%増)、小売売上高(同2.0%増)、固定資産投資(農村部除く、年初来同3.9%増)、サービス業生産指数(同4.7%上昇)の増加・上昇ペースは鈍化した。小売売上高(前月比0.12%減)が前月比で11カ月ぶりに減少し、消費者物価指数(前年比0.2%上昇)が依然として非常に低い上昇にとどまるなど、複数の指標が消費低迷を示唆している。また、PMI(政府公表値)は製造業(49.5)が2カ月連続で活動縮小を示す50未満で推移し、非製造業(50.5)は6カ月ぶりの低水準となった。ハイテク製造業の生産(前年比8.8%増)など一部の項目で大幅増加が続いているものの、その他産業の生産活動や消費、投資は伸び悩んでおり、政策支援の恩恵を受ける一部の産業が主導する歪な成長が続いている。

 6月の不動産関連指標では、不動産開発投資(年初来前年比10.1%減)、不動産販売(床面積ベース、年初来同19.0%減)の減少率拡大の流れが一服した。5月17日に発表された住宅支援策(地方政府による住宅在庫の買い取り、3000億元の保障性住宅購入向け低利融資基金創設、住宅ローン規制の緩和など)による一定の効果がうかがえる。ただし、主要70都市の住宅価格(ロイター算出)は新築(同4.5%下落)、中古(同8.0%下落)ともに下落率は拡大しており、価格調整には底入れの兆しはみられていない。

 15日から18日までの日程で第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が開催されており、現指導部での経済政策運営の指針が示される。「新質生産力」の発展を掲げ、経済構造の高度化や不動産、地方政府の債務削減などのリストラ策を打ち出すことが想定される。経済構造転換の過程ではストック調整、雇用調整、それに伴う需要低迷など、経済活動への負の波及が見込まれ、新産業育成に比べて政策支援が手薄であるこれらの経済課題に対して中国政府がどのような対応を検討しているのかが、経済の安定の観点では重要となる。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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