Today's Insight
2026/6/3 10:30作成
日本株:AIインフラ構築の恩恵が広がる
■ 原油高が長期化するにつれ、交易条件の悪化に伴う内需企業の業績悪化懸念が強まるおそれ
■ 世界的なAIインフラ構築の動きが本邦企業業績に及ぼす恩恵は裾野が広がる見込み
1日に公表された1-3月期の法人企業統計では、全産業(金融・保険業除く)の売上高は前年比1.1%増と前期(同0.7%増)とほぼ変わらず、伸びがほぼ止まっている。一方、経常利益は前年比14.6%増と前四半期(同4.7%増)から伸びが加速し、売上高経常利益率は8.0%と前期(7.5%)から改善した。本邦企業は売上高が伸びないなかでも利益を確保できる態勢にあり、収益性に対する懸念は小さいと判断される。経常利益について、人工知能(AI)やデータセンター向け需要拡大を受けた情報通信機械や電気機械、石油関連商品の価格上昇の転嫁が進んだ化学などがけん引し、製造業は前年比42.9%増となった。資源価格の高騰で卸売業は伸びたものの、建設業やサービス業が減益となり、非製造業は同1.4%増にとどまった。
金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計によれば、TOPIXの2026年度予想一株当たり利益(EPS)成長率は10.4%と4月下旬(13.1%)から下方修正されているものの相応の伸びが見込まれ、新年度の利益見通しが慎重に示されるとの懸念は遠のいた。33業種別の寄与度をみると、電気機器(3.1%増)、輸送用機器(3.1%)、銀行業(1.3%)、化学工業(1.1%)などがけん引役となると見込まれている。
核開発を自国の権利と主張するイランと、同国の核保有国への移行を阻止したい米国の間で着地点を見出し難いとみられ、市場では和平協議を巡る楽観と悲観が交錯する状況は続くだろう。ホルムズ海峡はイランにとって重要な交渉カードであり、同海峡の航行量が急回復することは想定し難いほか、これまでの軍事衝突によりエネルギー生産・輸送施設が棄損し供給量の回復には時間がかかるとみられ、原油価格は高止まりするだろう。緊迫化した中東情勢が緩和に向かい原油高が解消されるとの市場の思惑が後退するにつれ、交易条件の悪化に伴う内需企業の業績悪化懸念が強まるおそれがある。TOPIXの年内の上値メドを4400ポイント、年末予想値を4000ポイントと想定する。
米国で大規模クラウド業者(ハイパースケーラー)の巨額の設備投資によりAI需要の拡大が見込まれるなか、AIインフラ構築の動きが強まりつつある。アプリケーションなどのソフト面だけでなく、データセンター建設や半導体などハード面にも需要が広がることが期待される。本邦企業業績に対する恩恵はこれまでより裾野が広がるとみられ、日経平均が相対的に強く押し上げられるとみて、年内の上値メドを7万円と予想する。ただし、すでに業績拡大期待を先行して織り込む形で上昇しており、決算発表などを通じて業績拡大期待の妥当性を見極める展開になるとみて、年末予想値は6万4000円と想定している。
投資調査部長
山口 真弘



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