Today's Insight
2026/4/2 11:30作成
インド:中東紛争の影響を中銀はどのように評価するか
■ インドは中東紛争の悪影響が大きな国の一つで、主要新興国のなかでも株安・通貨安が進む
■ 中銀はルピー安を豊富な外貨準備高でカバー、今回は中立的な金融政策スタンスを維持と想定
インド準備銀行(RBI、中銀)は4月6日から8日に金融政策会合を開催する。市場予想では、政策金利であるレポレートは5.25%で据え置かれる見通し。インドは原油消費の8割超を輸入に頼り、特に地理的に近い中東に依存する。そのため、インドはイランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う原油価格高騰による悪影響を最も受ける国の一つと目されている。
中東紛争による悪影響などが主導する形で、インド金融市場は他の主要新興国との比較でもパフォーマンスが大幅に悪化。年始から3月末時点まででは、主要株価指数(SENSEX指数、現地通貨建て)騰落率がマイナス15.6%とインドネシア(マイナス18.5%)に次ぐ下落率となっている。加えて、インドルピー(ルピー)は同期間の対米ドル騰落率がマイナス5.5%と、通貨安が警戒される韓国ウォン(マイナス5.5%)と並ぶ。当局は今年2月までの史上最安値(1ドル=92ルピー台)を突破後に1ドル=94-95ルピー付近で大規模な為替介入を実施していると伝わるが、今後の貿易赤字拡大に伴うルピー安進行への警戒は強い。RBIが公表する外貨準備高は、2月27日時点で過去最高の約7285億米ドルまで増加後、直近(3月20日時点)で約6983億米ドルまで減少した。RBIは3月27日に国内銀行へ為替上限規制を発令するなど、外貨準備高の取り崩しをなるべく防ぎ、通貨安懸念の浮上を抑える方針とみられる。
そうした状況を踏まえて、今回の金融政策会合ではRBIによる物価見通し引き上げ幅と景気に対する評価に注目する。前回2月の金融政策会合時、RBIは半年程度の物価見通しでRBIの物価目標中央値(4%)付近までの伸び加速を見込んでいた。その後、3月12日に公表された2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は総合が前年比3.21%と目標レンジ(2-6%)の範囲内にとどまったが、原油価格高騰の影響が及ぶのは3月分以降となる。現時点ではまだ、物価上昇への対応として利上げ姿勢への転換を急ぐ必要はないだろう。景気動向については、3月の総合PMI速報値が56.5へ低下し、約3年半ぶりの低水準となった。まだ好不況の境とされる50超を維持しているものの、インド経済は原油高により抱えるスタグフレーション(景気後退と物価上昇)懸念が強まりやすく、直近の株安・通貨安はそれらを先取りする値動きとも解釈できる。現時点でRBIは、中東紛争の影響は一過性との見方を採用して中立的な金融政策スタンスは維持と想定するが、景気の急減速に対する警戒を示す可能性もある。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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