Today's Insight

2020/7/7 11:00作成

失業保険の特例給付が相場の波乱要因となる可能性

■ 失業保険の特例給付は経済だけでなく株価も押し上げたとされる
■ 議論が進まず結論が見出し難いなか、残された時間は少ない

 今月は米国の追加経済対策の行方、特に今月末で期限を迎える週600ドルの失業保険特例給付の延長を巡る議論が金融市場の関心事となるだろう。3月から4月にかけて、新型コロナ感染拡大による経済への悪影響が顕在化し、給与などの雇用者報酬は前月比で、3月が3.4%減少、4月が7.4%減少となった。5月には2.5%増加となったが、水準はコロナ前の2月の水準を下回っている。一方、失業給付などを含む個人移転所得が4月から急増、5月も高水準にある。その結果、小売売上高は2月以降前月比減少が続いていたが、5月に17.7%の急増。余剰資金はハイテク株などに流入し、株価を押し上げたとも一部では伝えられている。

 現在の経済・雇用情勢や大統領選が控えていることに鑑みれば、失業保険の特例給付は延長されるとの見方が優勢と感じられるが、議会の情勢をみると楽観はできない。民主党は特例給付の大幅な延長を提案している一方、共和党は失業給付を基本的な保護にとどめるべきとして規模縮小を主張。多額の特例給付は勤労意欲を低下させ、景気回復を阻害すると問題視している。超党派の議会予算局は、特例給付を6カ月間延長すれば、家計購買力を高め景気を押し上げる反面、雇用情勢には悪影響をもたらし2021年には景気と雇用情勢の双方を悪化させる、との見解を示している。もともと特例給付上乗せに慎重であったトランプ大統領は、金額こそ民主党案より大きな額を支持するものの、勤労意欲を促す対策を盛り込むべきと、共和党に近い考えを示している。

 米上院は7月17日まで休会で、開会日は7/20-7/31。下院の開会日は7/7-7/10、7/21-7/31。上下両院で十分な議論ができるのは7月下旬に限られ、残された時間は少ない。議論が進んでおらず結論を見出し難いなか、7月下旬には相場の波乱要因となる可能性があることから、注目しておきたい。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
山口 真弘

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