Today's Insight

2024/4/25 11:30作成

4月日銀金融政策決定会合プレビュー

■ (1)展望レポートでの物価見通し、(2)国債買い入れ額修正の有無、の2点に注目する
■ (1)、(2)ともに修正されても小幅と予想、円相場が一時的に荒れる可能性には注意したい

 4月25、26日に開催の日銀金融政策決定会合(以下、政策会合)は、マイナス金利政策解除後、初の政策会合となる。政策金利は据え置かれる公算が大きく、市場予想もこの点で概ね一致している。今回は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表される政策会合のため、その内容を含めて日本国債の利回り上昇につながるかに注目したい。足元では、日本国債利回りの動向が為替市場(円相場)へ及ぼす影響も大きいと考えるためだ。植田日銀総裁の記者会見以外での具体的な注目点は、(1)展望レポートで示される消費者物価指数(CPI)上昇率の見通し、(2)国債買い入れ額修正の有無、と考えている。

 (1)は、生鮮食品を除くコアCPIとエネルギー・生鮮食品を除くコアコアCPIの2026年(今回初公表)の予想中央値がともに「前年比2%台」で示された場合、追加利上げへの地均しと解釈されよう。背景は、4月19日に植田日銀総裁は「基調的なインフレ率が上昇し続ければ、金利を引き上げる可能性が非常に高い」、「円安による輸入物価の上昇が基調的なインフレ率に無視できない大きさの影響が発生した場合、金融政策の変更もあり得る」と述べているためだ。なお、2025年は「前年比2%台」への上方修正がすでに市場に織り込まれているとみる。今年1月時点での2025年見通しでは、前者が同1.8%、後者が同1.9%だった。

 (2)は、月間の国債買い入れ額減額が声明で明確に公表されれば、円安進行へのけん制を日銀が意図と解釈されよう。昨年12月以降、日銀は月間6兆円前後の買い入れ額を維持(3月は5兆9289億円)。また、3月19日に日銀が公表した「長期国債買い入れの四半期予定(2024年4-6月)」で利付国債の月間買い入れ額は、下限が4兆7500億円、上限が6兆9500億円とされている。現時点ではこのレンジ内であれば、日銀・金融市場局の裁量とされている。

 筆者は(1)、(2)ともに大幅な修正は加えられないと予想。そのため、植田日銀総裁の記者会見の時間帯を含めて、円相場が一時的に荒れる可能性には注意したい。(1)は、4月23日に日銀が公表した3月の「基調的なインフレ率を補足するための指標」で、「刈込平均値」、「加重平均値」、「最頻値」いずれも鈍化傾向の継続が確認されたためだ。(2)は、マイナス金利政策解除からまだ日が浅いうえ、中東情勢の緊迫化への懸念など市場の不安定要因が残っているためだ。日銀が緩和的な金融環境を維持との市場の見方は変わらないのではないか。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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