Today's Insight

2019/9/19 10:30作成

FOMCレビュー 利下げに慎重姿勢を示す

■ FRBは利下げを決定も、反対票が出るなど内部の意見割れがうかがえた
■ 今年は残り1回の利下げ、来年は据え置きの見通しが多数派と、FRBは利下げに慎重姿勢

 9月18、19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通り2会合連続で0.25%の利下げが決定され、政策金利上限は2.0%となった。ただ、ボストン連銀とカンザスシティ連銀の両総裁が据え置きを主張、セントルイス連銀総裁が0.5%の利下げを主張して反対票を投じるなど、FOMC内の意見が分かれていることがうかがえた。今回公表された参加者の今年末の政策金利見通しは、1.75%が7人、2%が5人、2.25%が5人に割れ、多数派は年末までに利下げは残り1回、2020年も1.75%で据え置きとしている。

 米連邦準備理事会(FRB)が利下げに慎重な背景には、経済指標が果敢に利下げを進めるほど悪化していないこと、トランプ米大統領が具体的に利下げを求めていること、があろう。FRBの2つの責務「物価安定」と「最大雇用」を確認すると、直近7月のPCEデフレーターは前年比1.6%上昇と2%の目標を10カ月連続で下回るが、足元で物価上昇率が一段と鈍化しているわけではない。雇用については、8月の失業率は3.7%とほぼ半世紀ぶりの低水準だ。FRBの責務を字義通り解釈すると利下げを急ぐ理由はない。景気の下支え役としての役割を考えても、直近4-6月期の実質GDPは前期比年率2.0%増と1-3月期(同3.1%増)から伸びは鈍化したが、1%台後半とされる米潜在成長率を上回る。こうしたなか7月に続き「予防的」な利下げを実施したものの、トランプ米大統領は9月11日の「政策金利をゼロかそれ以下に引き下げるべき」との主張に続き、今回も「根性も判断力もビジョンもない」とパウエルFRB議長を強烈に批判。これを真に受けるFOMC参加者はいないと考えるが、この状況で積極的な利下げを行えば、中銀の独立性への信頼が揺らぐ懸念はある。ただ、大統領が利下げを強く求めているがゆえに、今後米経済が本格的に弱含む局面では先手を打って利下げをすることがむしろ難しくなり、指標の悪化を待たねばならなくなったのではないかと危惧している。ドル円はFRBの大幅利下げ予想が後退するなか、当面は上昇圧力が掛かりやすいものの、200日移動平均線109円35銭では上値の抵抗を受けるとみている。

投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
白鳥 朋子

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