Today's Insight

2022/5/16 14:00作成

豪総選挙 混戦状態が続くが豪ドルへの影響は短期的

■ 5月21日の豪選挙、最大野党・労働党は9年ぶりの政権交代に向けて攻勢を仕掛ける
■ 豪州の対中政策は見直しを迫られる可能性もあるが、選挙結果の豪ドルへの影響は短期的に

 5月21日、豪州で連邦議会下院選(総選挙)が行われる。モリソン首相率いる与党保守連合(自由党・国民党)は対中強硬姿勢を貫いたが、米英との安全保障の新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設は政権浮揚につながっていない。一方、新型コロナウイルスワクチン接種の遅延が災いし都市封鎖は長期化した。豪有権者の反発を招くなか、中国政府は4月19日、南太平洋のソロモン諸島と安全保障協定を正式に締結したと発表。同諸島政府は中国軍基地の建設を容認しない姿勢だが、豪州から2000kmに満たない距離で中国の船舶の寄港や物資補給だけでなく、軍事活動の拠点になれば脅威となり得る。野党・労働党は「豪州の外交政策で第二次世界大戦以降最大の失策」だと批判し、9年ぶりの政権交代に向けて攻勢を仕掛けている。

 複数の最新世論調査では、労働党が与党保守連合(自由党・国民党)を小差でリードしている。アルバニージ労働党党首については、経済情勢・政策について上手く説明できず失態が続き、「好ましい首相」としてはモリソン現首相が優位に立っているが、医療システムの強化、雇用創出や労働条件改善、などを公約に掲げる労働党への期待は残る。経済政策や気候変動問題が主要争点になる事は多いが、豪企業は対中関係の悪化で打撃を受けており、政権交代による政策期待は高まる。南太平洋地域で中国の存在感が高まれば、豪州の対中政策は見直しを迫られる可能性もある。ただ、いずれの政党も早急な対応や抜本的な改革を見込みづらく、選挙結果が及ぼす豪ドルへの影響は短期的にとどまるとみている。

投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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