金(ゴールド)底入れが示唆するドルの基調変化

■ 金(ゴールド)底入れはドル高一服を示唆、ただし、新興国通貨安は継続している模様
■ 日本円、ユーロなど主要通貨が主な受け皿と推測され、クロス円、先進国資産が選好されやすい

 ドルインデックスの基調に変化の兆候が見え始めた。ドルインデックスの上昇は4月中旬より始まったが、8月中旬のトルコショック後にピークをつけ、ここ1カ月ほどはドル高が一服している。チャート上、4月後半以降の下値支持線となってきた50日移動平均線や一目均衡表上の雲を9月に入り明確に下回る一方、100日移動平均線では下支えされ、下げ渋っている。水準をみると、6月以降、94ポイント台後半を中心とした高下が続いており、ドル安への転換ではなく、レンジ相場に戻ったと解釈するほうが自然だろう。これを補強するのが金(ゴールド)の値動きである。4月から8月のドル高局面で約4カ月間、下落基調が続いてきたが、8月のトルコショック以降、逆相関の強いドルインデックスに歩調を合わせてボトムアウトし、1オンス1200ドル前後で底入れの兆しがみられつつある。一方で、新興国通貨の下落基調に歯止めがかかったとは言い難い。新興国通貨全体の値動きを示すJPモルガン新興国市場通貨指数をみると、4月以降、下落基調が続き、8月にトルコショックが発生し下落に拍車がかかった。先週以降、やや持ち直しつつあるものの、ドル高一服にも関わらず、低迷が続く。

 以上をまとめると、ドル高は一服したものの、新興国通貨安は継続している様子がうかがえる。ドルが伸び悩むなか、その受け皿となっているのは、新興国通貨ではなく、主に日本円、ユーロなどの主要通貨と推測される。ユーロ円、ポンド円などのクロス円がトルコショック以降、ドル円以上に底堅く推移していることは、これを裏付ける動きといえる。足元の金(ゴールド)の底入れは、ドルの先高観が弱まっているシグナルとも読め、今後の推移はドルの基調にも手掛かりを与えてくれるだろう。ドルの先安観が強まってくれば、新興国にも恩恵が広がってくることが期待されるが、足元の金(ゴールド)の動きが示しているように、ドルのレンジ推移が続く現状では、新興国よりも日本、欧州など先進国の方が選好されやすいだろう。

※本資料記載のマクロ経済見通しは、当行がライセンス契約を結んでいるCiti Researchの予測を参照しています。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏