Today's Insight
2026/8/28 10:15作成
日銀の利上げは前倒しかつ当面早いペースで進む
■ 市場の利上げ織り込みが進むなか、日銀の利上げは前倒しされ、当面より速いペースで進もう
■ 日銀は最終的な政策金利の到達点を経済・物価・金融市場の反応を見ながら探ることになる
先週以降に公表された経済指標は、日本経済の成長モメンタムが足元維持されている一方、インフレ圧力が強まっていることを示唆している。4-6月期の実質GDP成長率(1次速報値、前期比年率1.1%)はエネルギー高が国内経済の重荷となったことで予想を下回ったものの、潜在成長率を上回る伸びは続いている。堅調な雇用者報酬(前期比2.0%増)の伸びが続いていることも個人消費を支えるとみられる。7月の実質輸出(前月比0.6%増)は、3カ月連続で増加。特に資本財や中間財が大きく増加しており、人工知能(AI)関連需要が日本の輸出、ひいては企業活動を支えていることが示唆される。一方、7月の生鮮食品を除くコア消費者物価指数(CPI、前年比1.8%上昇)、および生鮮食品・エネルギーを除くコアコアCPI(同1.9%上昇)はともに前月から伸びを高めた。食品価格の伸び鈍化が一服したことに加え、その他の日用品に値上げの動きがみられている。政府による価格抑制政策により表面的な物価上昇率は2%以下に抑えられているものの、これまで生産者段階でみられていた既往の原油高や円安に伴う価格上昇が消費者価格に転嫁され始めた可能性が示唆される。
インフレ上振れリスクにより政策が後手に回るとの懸念が高まるなか、日米協調の為替介入を経て、市場では日銀の早期利上げ観測が大きく高まった。利上げの影響の見極めのために日銀は段階的な正常化を志向していたとみられるが、市場の織り込みが進むなかでの利上げの遅れは市場の不安定化につながりかねない。市場に促され、日銀の利上げは前倒しかつより速いペース進むことになろう。日銀は9月、12月の会合で利上げに踏み込み、年末までに政策金利は1.5%まで引き上げられると予想する。来年以降は、政策金利上昇の波及効果の不確実性が一段と高まるもとで、追加利上げペースは鈍化すると想定し、来年の年央までに政策金利は1.75%へ引き上げられるとみている。ただし、日銀は今後、最終的な政策金利の到達点を経済・物価・金融市場の反応を見ながら探っていくことになるだろう。
本邦10年国債利回りは、日銀の早期利上げ観測から一時約30年ぶりの高水準となる2.95%台半ばをつけたが、日銀の利上げが市場に広く織り込まれたことで急激な上昇は一服するだろう。ただし、根強い財政拡張懸念による利回りの上昇基調は続くとみられる。2027年度の概算要求総額は130兆円を超える見通しと報じられる(2026年度の一般会計歳出は、概算要求段階で122.4兆円、当初予算策定時に122.3兆円)。2027年度の当初予算が実際に発表される年末まで財政懸念はくすぶり、利回りの上昇圧力となり続けよう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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