アメリカの大学留学を目指す方へ:特徴や費用、必要な準備を解説

アメリカの大学へ留学することは、日本の学生にとって夢であり大きな挑戦の一つでしょう。
多様性に富んだ環境での学びは自分の視野を広げるチャンスである一方、準備には多くの時間と手間、そしてコストがかかります。
この記事では、アメリカの大学に留学するために必要な費用、手続き、生活面での注意点などを総合的に解説します。
アメリカの大学へ留学するための条件

留学準備は、一般的には出願の1〜2年前から進めるのが理想的です。
ここでは、アメリカの大学留学に必要な条件を解説します。
学歴
基本的には、アメリカの大学へ出願するためには日本の高校を卒業していることが前提です。全日制だけでなく、定時制や通信制の高校卒業も対象です。
また、高校卒業後に数年のブランクがあっても問題はありません。アメリカでは社会経験を積んでから大学へ進学する人も多く、年齢や空白期間が不利になることはありません。
ただし、高卒認定での出願可否は大学によって異なるため、希望する大学の要件を事前に確認しましょう。
高校の成績も重要です。アメリカでは、全科目の成績平均値をGPA(Grade Point Average)と呼び、満点は4.0です。アメリカの大学へ出願する際には、日本の成績もGPAに換算されます。
一般的に、GPAが2.0以上あれば多くの大学へ出願できます。
もし成績がそれ以下であっても、まずはコミュニティカレッジ(2年制大学)に入学し、そこから4年制大学に編入するという道もあります。
英語力の証明
アメリカの大学で授業内容を十分に理解するための、十分な英語力があることを証明する必要があります。
アメリカの大学が広く認めている主な英語の能力試験は以下のとおりです。
TOEFL iBT
アメリカの大学で最も広く認められている試験です。
一般的に4年制大学では80点以上、名門校では100点以上が求められることもあります。
IELTS Academic
世界最大級の受験者数を誇る試験です。スコアは6.0〜7.0が目安です。
Duolingo English Test(DET)
オンライン受験が可能で、費用も比較的安いことから、近年採用する大学が増えています。
スコアは2年制大学では90以上、4年制大学では目安として100以上が必要です。
この他、英検も一部の大学で認められていますが、限定的です。
またSATやACTなどのアメリカの共通テストは必須でない大学も多いので、出願先の大学の要件を確認しましょう。
エッセイ(Personal Statement)
エッセイは成績やスコアだけでは伝えきれない、個人の価値観や目標、人間性をアピールするための重要な書類です。
大学が提示したテーマに沿って、自身の経験や意見を英語で表現します。
「導入(Introduction)、本論(Body)、結論(Conclusion)」の3部構成が基本です。
導入では興味を引く書き出しを心がけ、本論では具体的なエピソードを交えながら自己を表現し、結論では自身のビジョンを明確にし、強い印象を残すことが大切です。
スペルや文法のミスがないよう、丁寧に仕上げましょう。
推薦書
推薦書は、出願者の人柄や学力、リーダーシップなどを第三者の視点から伝える文書です。
学校の先生や、課外活動の指導者など、自分をよく理解してくれている人に依頼することをおすすめします。
大学によって異なりますが、一般的に1〜3通の推薦書が必要となります。
課外活動・実績
アメリカの大学は、学業成績だけでなく、課外活動やこれまでの実績を通じて出願者の総合的な人物像を評価します。
特に専攻と関係が深い活動は、良い評価が得られやすい傾向にあります。
活動内容を証明できる書類や表彰状などがあれば、提出することで説得力が増します。
アメリカの大学の種類は?日本との違いは?

アメリカには多種多様な大学があり、専攻、在学年数、学習環境などによって幅広い選択肢があります。主な大学の種類は、次の3つです。
公立大学(Public University)
各州が運営する4年制大学で、一般的に規模が大きく、研究施設や設備が充実している傾向にあります。
学費はその州に住む学生(州内居住者)にとっては安く設定されていますが、州外の学生や留学生はやや高くなります。
しかし多くの場合、私立大学よりは低額な傾向にあります。
私立大学(Private University)
独立した機関が運営する大学で、ハーバード大学やスタンフォード大学といった有名な名門校も含まれます。
学費は比較的高めですが、その分、奨学金制度が充実している大学もあるのが特徴です。
コミュニティカレッジ(2年制大学)
地域密着型の2年制公立大学です。比較的学費が安く、入学に必要な英語力の要件も低めに設定されているため、多くの学生が学びやすい環境です。
卒業後、4年制大学への編入を目指す学生も多く在籍しています。
日本との違い
日本の大学との主な違いは、入学時期と授業スタイルです。
日本は4月入学が一般的ですが、アメリカでは8〜9月に新学期が始まります。
また、アメリカの大学の授業は、ディスカッションやグループワークが多いことが特徴です。学生同士が積極的に意見を交わし、活発な議論をおこなうスタイルが重視されます。
加えて、教授に対しても遠慮せずに質問をしたり、場合によっては成績の交渉をしたりします。
「成績が納得できないから再評価してほしい」や「提出期限までに課題を出せないから延期してほしい」といった要望も、日常的におこなわれることがあります。
さらに、アメリカの大学にはアドバイザー制度があり、学生の学業や進路、履修科目の相談、キャリア形成などを個別にサポートしてくれます。
特に留学生にとっては頼れる存在と言えるでしょう。
アメリカの大学へ留学するためにかかる費用

アメリカの大学へ留学するには、さまざまな費用がかかります。ここでは、代表的な費用の項目とその目安を紹介します。
例えば、4年制公立大学に通い、年1回一時帰国する場合、1年間で約767万円〜が必要です。
1年間の費用の内訳は下記のとおりです。
- ● 学費・授業料 約460万円
- ● 航空券 約12万円~
- ● 保険(大学指定) 約43万円~
- ● 生活費 約252万円~
- ● 学生ビザ 約8.1万円~(1年目のみ)
学費・授業料
大学の種類などにより大きく異なります。
2024-25年度の年間平均学費は以下のとおりです。(1ドル=150円換算 2025年7月31日時点)
私立大学(4年制) | $43,350(約649万円) |
公立大学(4年制・留学生向け) | $30,780(約460万円) |
コミュニティカレッジ(2年制) | $4,050(約61万円) |
航空券
アメリカと日本を往復する際の航空券も、無視できない出費の一つです。費用は時期によって変動します。
目安の時期別費用は以下のとおりです。
ハイシーズン | 往復$1,300〜2,000(約20〜30万円) |
オフシーズン | 往復$800〜1,200(約12〜18万円) |
長期休暇に一時帰国を考えている場合、年1〜2回の渡航費用を想定しておくとよいでしょう。
学生ビザの申請費用
留学するうえで最も一般的な学生ビザ(F-1)の申請費用は、以下のとおりです。
このほか、ビザ申請に必要な健康診断の費用などの諸費用が別途発生する場合もあります。
保険
医療費が非常に高額なアメリカでは、保険への加入は必須です。
多くの大学で指定保険への加入が義務付けられていますが、条件を満たす保険に個人で加入している場合は、指定保険の加入が免除されることもあります。
生活費
アメリカでの生活費は、滞在する都市、住居、ライフスタイルなどによって大きく変わります。
ニューヨークやロサンゼルスといった都市部は生活費が高く、地方都市は比較的安価です。
以下は、平均的な月額の生活費の目安です。
項目 | 目安(月額) |
---|---|
住居 | $800~1,500(約12~22万円) |
食費 | $300~600(約4.5~9万円) |
通信 | $50~100(約0.75~1.5万円) |
交通費 | $50~150(約0.75~2.2万円) |
日用品・雑費 | $100~300(約1.5~4.5万円) |
娯楽・交際費 | $100~300(約1.5~4.5万円) |
アメリカの大学へ留学をするために必要な準備

アメリカの大学での留学生活をスムーズにスタートさせるためには、出願手続きからビザ取得、そして住居の確保まで、計画的な準備が大切です。
ここでは、留学前に押さえておくべき主要なポイントを解説します。
書類・証明書の準備
出願時期は大学によって異なりますが、多くは希望する入学年度の前年11月〜2月頃までに書類を提出する必要があります。
大学や専攻によっては必要な書類が異なることもありますので、必ず出願先の大学のウェブサイトなどで最新の要件を確認しましょう。
基本的な必要書類は以下のとおりです。
書類 | 説明 |
---|---|
成績証明書 | 高校の成績を証明する書類で、英語での提出が求められます。 |
卒業証明書 | 高校を卒業したことを証明するもので、こちらも英語版が必要です。 |
英語力証明書 | TOEFLやIELTS等で、大学の指定スコアをクリアする必要があります。 |
エッセイ | テーマに沿って、自分をアピールする文章を作成します。 |
推薦状 | 教師などからの推薦書が1〜3通必要です。 |
学生ビザの取得
大学に合格し、入学が許可されると、学生ビザ(F-1)の申請に不可欠な「I-20」と呼ばれる入学許可証が大学から送付されます。
このI-20を受取ったら、以下の手順でビザの申請を進めます。
- 1. I-20の情報をもとにSEVIS費用を支払う
- 2. アメリカ国務省の公式サイトでビザ申請書「DS-160」をオンラインで入力する
- 3. アメリカ大使館または領事館で面接を予約する
- 4. 面接を実施する
- 5. ビザが貼られたパスポートが後日郵送される
面接当日は、パスポート、DS-160確認ページ(印刷)、I-20フォーム、SEVIS支払い証明書、証明写真、財政証明書、合格通知書を持参します。
面接は英語または日本語で受けられ、志望理由、専攻、卒業後の進路、留学費用の支払い方法などについて質問されます。
この面接に合格すると、ビザが貼られたパスポートが後日郵送されるといった手順でビザが取得できます。
大学の入学手続き
ビザ申請と並行して、大学への入学手続きも進めましょう。
合格通知を受取ったら、大学に「入学の意思表明」をオンラインもしくは書面で伝え、入学保証金を支払います。
金額は大学によって異なりますが、$100〜200(約1.5〜3万円)程度が目安です。
この支払いをもって、正式な入学手続きが完了します。
学生ビザが下りたら、いよいよ渡米です。
学生ビザでは授業開始の30日前から入国できるため、留学生活をスムーズに始めるために、授業開始の1〜2週間前には渡米し、生活の準備期間を設けることがおすすめです。
住居の確保
住居は早めに確保するとよいでしょう。
おすすめは、キャンパス内の寮です。家賃が比較的安く安全ですが、人気のため短期間で満室になってしまいます。合格が決まったらすぐに申込むようにしましょう。
アパートを探す場合は、大学の留学支援センターかハウジングオフィスに相談すると、治安や契約面でも安心です。
アメリカの大学留学中に生活する際のお金事情

アメリカではカード払いが一般的です。しかし渡米直後にクレジットカードを作るのは審査が厳しく、難しいのが現状です。
そのため、日本の銀行が発行する国際型キャッシュカードが留学生に人気です。クレジットカードと同じような感覚で使用でき、ATMから現金も引き出せます。
国際型キャッシュカードを作成していない場合は、現地の銀行口座を開き、デビットカードを発行してもらうのも一つの方法です。
いずれにしてもカードを持っておけば現金を持ち歩く必要が減り、安心して生活できます。
以下の記事では、実際にニューヨークに留学されている方へのインタビューを掲載しています(2025年7月現在)。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
アメリカの大学へ留学する際の注意点・最新動向

ビザや制度の変更への備え
アメリカでは政権交代などにより、学生ビザ制度や留学生への対応が変更されることがあります。
2025年には、学生ビザの面接が一時停止されたり、オンライン授業のみを受講している留学生に国外退去が通告されたりするなど、大きな話題となりました。
現在は面接も再開され、国外退去通告も撤回されていますが、SNSの公開設定など新たな審査基準が導入されており、ビザ申請の手続きに時間がかかる可能性があります。
そのため、合格後はできるだけ早くビザ申請を始めましょう。
また、制度が再び変更される可能性もあるため、最新情報は必ずアメリカ大使館や領事館、公式サイトなどで確認するようにしましょう。
治安・文化・生活習慣
アメリカは広大な国であり、地域によって治安や文化、生活習慣が大きく異なります。
大学選びでは、都市の安全性や生活コスト、生活環境も事前に調べておくことが大切です。
多くの有名大学は比較的安全なエリアにありますが、家賃が極端に安い場所は治安に問題がある可能性もあるので注意が必要です。
実際にその土地で生活することを想像しながら検討しましょう。
また、アメリカでは自己主張が重要です。嫌なことや納得できない事には、はっきり「NO」と伝えるなど、自分自身を守るための態度も必要です。
文化の違いを理解し、安心して留学生活を送れるよう心構えをしておきましょう。
アメリカ留学にはデビットカード!外貨決済に強い「GLOBAL PASS」とは?

アメリカの大学での新生活。新学期までにやるべきことはたくさんありますが、「お金の準備」は、スムーズな留学生活を始めるために欠かせません。
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そんなときに役立つのが、SMBC信託銀行プレスティアのデビット機能付き国際型キャッシュカード、GLOBAL PASSです。
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(*1)外貨預金に関する注意事項についてはこちらをご参照ください。
(*2)家族カードの申込み条件についてはこちらをご参照ください。