パスポートの期限が切れたらどうなる?有効期限と残存有効期限の違いや更新手続きについて解説


海外渡航の際に必要となるパスポートには、有効期限が設けられています。有効期限、あるいは残存有効期間によっては、出国・入国が認められません。出国する直前になって慌てることのないように、有効期限や残存有効期間を事前に確認しておきましょう。
この記事では、パスポートの有効期限と残存有効期間との違い、更新の流れや方法、更新するべきタイミングなどについて解説します。またあわせて、渡航前にパスポートの期限と共に確認すべきことについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
パスポートの期限が切れるとどうなる?

パスポートには有効期限があり、日本では成年者の場合は発行日から5年または10年のどちらかを選択可能で、未成年者は5年と定められています。有効期限が切れるとパスポートは失効し、海外渡航ができない、入国が拒否されるなどの可能性があります。
これはそもそもパスポートが、所持者の国籍、氏名、生年月日などの身分を発行国政府が証明する公文書だからです。万が一渡航先でトラブルが発生し、その人の身元を確認する必要が生じたときには、例えば日本人の場合、日本政府による証明書であるパスポートが必要になります。
海外へ渡航する予定がある場合には、まずはパスポートの有効期限が切れていないか、確認しましょう。パスポートの有効期限は、顔写真や氏名などが記載されているページに明記されています。
既に有効期限が切れてパスポートが失効している場合には、あらためて新規発行の手続きが必要です。また戸籍上の氏名が変わった場合等、失効する前であっても更新(新しいパスポートへの切替)手続きが必要になる場合があるため、注意が必要です。
パスポートの有効期限と残存有効期間の違いとは?
確認が必要となるパスポートの期限には「有効期限」と「残存有効期間」の2つがあります。有効期限と残存有効期間は似ているようで異なります。それぞれの違いを確認していきましょう。
[パスポートの有効期限と残存有効期間の違い]

有効期限
有効期限とは、効力を維持している期間のことを指します。日本の場合は発行日から5年または10年後の同じ日までがパスポートの有効期限で、この最終日のことを有効期間満了日といいます。
残存有効期間
残存有効期間は、有効期間満了日までに残っている期間のことです。例えば、あるパスポートの有効期間満了日が2025年3月1日であれば、そのパスポートの2025年1月1日の時点での残存有効期間は2ヵ月です。
海外へ渡航する際は、どれだけ残存有効期間が残っているかも非常に大切です。なぜなら、国や地域によっては一定の残存有効期間がないと入国させてもらえない国があるからです。
先の例のように、2025年1月1日時点の残存有効期間が2ヵ月で、2025年1月1日に日本を出発し、2週間後に日本に戻るとしましょう。渡航期間はパスポートの有効期限内に収まっているため、パスポートそのものの有効性には問題ありません。しかし、例えば、渡航先の国が3ヵ月の残存有効期間があることを求めている場合、残存有効期間が2ヵ月のパスポートでは入国できません。
必要とされる残存有効期間は入国する国・地域および渡航者の国籍によって異なります。
例えば日本人(日本国籍者)の場合、主な国々で必要とされる残存有効期間は、以下の通りです。
米国 | 帰国時まで |
---|---|
カナダ | カナダ出国予定日+1日以上 |
シンガポール | 入国時6ヵ月以上 |
イギリス | 帰国時まで |
オーストラリア | 帰国時まで |
フランス・イタリア・ドイツなど | シェンゲン協定加盟国(※)出国時3ヵ月以上 |
(※):1週間前後の観光旅行の場合
各国の情勢や国際情勢などによって必要とされる残存有効期間が見直されることもあるため、必ず事前に渡航する国の最新情報を確認するようにしましょう。なお、最新情報は渡航予定の国の大使館や総領事館のウェブサイトなどで確認できます。
日本語での説明がなく不安な場合には、旅行会社や航空会社に問合せてみましょう。また、乗り継ぎなどでほかの国を経由し入国審査を受ける場合には、経由する国で求められる残存有効期間の条件も満たす必要がありますので注意しましょう。
パスポートの更新はオンラインでもできる

パスポートの残存有効期間が1年未満となった場合、更新の申請ができます。2023年3月27日からはオンラインでパスポート更新の申請ができるようになり、従来よりも便利になりました。
本来、パスポートを更新する際は、原則として住民登録している都道府県のパスポート申請窓口に必要書類を揃えて出向き、更新が完了した日以降にあらためて同じ窓口に受取りに行く必要があります。学生や単身赴任者など、住民登録と居住地の都道府県が違う場合は、居住地の都道府県でも手続きが可能ですが、居住申請が必要となるため別途、住民票の準備が必要です。
更新申請をオンラインでおこなえば、窓口に赴くのは受取時の1回のみで済みます。時期や時間帯によっては窓口が混雑し、長い待ち時間を要することもあるため、窓口に行く回数が減ると助かる人も多いでしょう。
オンラインで更新申請ができるのは次のいずれかに該当する場合です。
- ● 残存有効期間が1年未満となった
- ● 査証欄の余白が見開き3ページ以下となった
オンライン更新申請する際は、「現在有効なパスポート」「マイナンバーカード」「マイナポータル対応のスマートフォン」が必要です。
マイナンバーカードや対応するスマートフォンがない場合は、申請は窓口で行います。

こんなときどうすればいい?パスポートの更新手続きについて

ここで、いくつかのシチュエーション別にパスポートの有効期限・残存有効期間のトラブルへの対処法を見ていきましょう。
出発する当日に有効期限切れに気付いた場合
海外に出発する当日に有効期限切れに気付いた場合、その日の出国はできないため旅行のキャンセルが必要になるでしょう。旅行先でのホテルやオプショナルツアーなどの予約も早急にキャンセルしましょう。
出発するまでに時間はあるがすでに有効期限が切れている場合
有効期限がすでに切れている場合は再発行(新規発給)手続きが必要です。各都道府県のパスポートセンターにもよりますが、一般的には申請してから受取りまでに土日・祝日を除いて約1週間かかります。出発までに1週間以上ある場合でも、航空券やツアーを予約する際にパスポート情報の提出を求められることがあるため、早めに手続きするのがおすすめです。
新規発給申請は、現時点では一部の地域でしかオンライン申請ができません。都道府県のパスポート申請窓口にて発給申請をしましょう。
必要書類は以下のとおりです。
- ● 期限切れのパスポート
- ● 一般旅券発給申請書(外務省や都道府県のウェブサイトからダウンロード可能)
- ● 戸籍謄本(記載内容が最新で、発行の日から6ヵ月以内のもの):1通
- ● パスポート申請用写真(6ヵ月以内に撮影したもの:1枚
- ● 本人確認書類の原本:1~2点
- ● 住民票(申請先と住民登録の都道府県が違う場合):1通
受取り時には、申請時に渡された「旅券(パスポート)引換書」と手数料が必要です。手数料は、発行してもらった都道府県が指定する場所で購入した収入印紙および収入証紙で納めることになっています。収入印紙・収入証紙の購入はクレジットカードなどが使用できず、現金のみとなるため必要分の現金を用意しておきましょう。
金額は以下のとおりです。
- ● 10年旅券:16,000円
- ● 5年旅券(12歳以上):11,000円
- ● 5年旅券(12歳未満):6,000円
※2025年2月現在の料金
もう少しで有効期限が切れそうな場合
有効期限が切れる前や査証を押すページが少なくなった(見開き3ページ以下)場合は更新手続きをしましょう。前述したようにオンラインでの更新申請が可能です。マイナンバーカードを持っていないなどの事情でオンライン申請できず、窓口で申請する場合には、以下の書類が必要です。
- ● 現在有効なパスポート
- ● 一般旅券発給申請書(外務省や都道府県のウェブサイトからダウンロード可能)
- ● 戸籍謄本(記載内容が最新で、発行の日から6ヵ月以内のもの):1通(旅券記載事項変更の場合)
- ● パスポート申請用写真(6ヵ月以内に撮影したもの):1枚
- ● 本人確認書類の原本:1~2点
- ● 住民票(申請先と住民登録の都道府県が違う場合):1通
更新申請にかかる費用は新規発給の場合と同じです。なお、更新申請は残存有効期間が1年未満になったときからできますが、パスポートの切替に伴い以前の残存有効期間は引き継がれずに切り捨てられることには注意しましょう。
切替後のパスポートの有効期限は新たに5年または10年になります。また、旅券番号も新しく変わるため、渡航先のビザ免除プログラムなどに登録している場合はパスポート情報が変更したことによる再申請が必要となります。
海外滞在中に有効期限が切れた場合
予期しえない幅広い滞在期間が延びた場合など、海外に滞在している間に有効期限が切れる場合は現地の日本国大使館または総領事館で手続きできます。この場合も日本国内で手続きするのと同じで、有効期限が切れる前は更新、切れたあとは新規発給となります。必要書類もそれぞれ同じです。
ただし、戸籍謄本などの公的書類は現地の日本大使館または総領事館では発行できないため、日本にいる家族や役所から滞在先へ送ってもらう手配をしなければなりません。到着までにある程度の期間が必要になることも想定され、滞在期間もその分長くなってしまいますので注意が必要です。
なお、日本国大使館または総領事館でパスポートの発給を受ける際には手数料を現地通貨の現金で納付する必要があります。金額は日本の手数料額と為替レートをもとに設定されているため、日本国大使館や総領事館のウェブサイトで確認し、用意しておきましょう。
海外へ渡航する前にパスポートの期限と一緒に確認すべきこと

海外へ渡航する前にはパスポートの有効期限のほかにも確認するべきことがいくつかあります。渡航に関するトラブルを避けられるようしっかり確認しておきましょう。
ビザの申請
日本国籍者の場合、短期の観光旅行であればビザなしで渡航できる国は多いです。しかしそれでも渡航する国によっては、短期の観光旅行でも渡航前にビザの申請が必要なところもあります。
ビザが要るにも関わらずビザなしで出発した場合、現地の空港に到着しても入国許可が得られません。そのまま日本に引き返されてしまうためビザ要・不要の確認は必須です。
また、ビザが不要な国でも事前に出入国のオンライン申請が必要だったり、アライバルカードの記入が必要だったりする国もあるためしっかり確認しておきましょう。
パスポート表記の名前
航空券予約時に名前の綴り(スペル)がパスポート表記の名前と一致しているか、一字一字確認しましょう。航空券予約時の名前と、パスポート表記の名前のスペルが異なると飛行機に搭乗できないため、必ず旅行時に使用するパスポートの名前で予約しましょう。
また、ホテル予約も名前やスペルが違っていると別人とみなされ、宿泊させてもらえない場合があるため注意しましょう。
デビットカード・クレジットカードの有効期限
デビットカードやクレジットカードは、海外に限らず日本国内でも有効期限が切れると利用できなくなりますが、海外で利用できなくなってしまうと買物やホテル代、レストランなどでの食事代などの支払い手段がなくなってしまうことになりかねません。
海外旅行に携帯するデビットカードやクレジットカードの有効期限も、必ず出発前に確認しておきましょう。また、有効期限と合わせて、海外で利用する際の手数料も確認しておくと安心です。
海外渡航先でパスポートを紛失した場合
海外渡航先でパスポートを紛失した場合、まずは落ち着いて身の回りを探しましょう。探しても見つからない場合は、次の2つの対処が必要です。
- ● 現地の警察に届ける
- ● 現地の日本国大使館または総領事館でパスポートの失効手続きをする
パスポートは世界で通用する身分証明書のため、紛失した場合は悪用されないように失効させることが必要です。
失効手続きにはパスポートを紛失したことの証明書が必要なため、現地の警察に届け出て「紛失・盗難証明書」を発行してもらいましょう。「紛失・盗難証明書」を発行してもらったら、現地の日本国大使館または総領事館で失効手続きをします。
なお、パスポートがないままでは日本に帰国できないため、失効手続きとともに「パスポートの新規発給」または「帰国のための渡航書」の申請が必要です。「帰国のための渡航書」は、パスポートの発給を受けないで帰国するための証明書です。どちらの場合も戸籍謄本の原本が必要ですので、日本にいる家族や役所に連絡し、渡航先へ送ってもらうように手配しましょう。
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海外渡航する際はパスポートの有効期限と残存有効期間を確認しておくことが大切です。せっかく楽しみに準備していた海外旅行に行けない、帰れないということにならないように、渡航先の国の情報に基づき、必要に応じてパスポートの更新(または新規発給)手続きをしておきましょう。
万一、渡航先で有効期限が切れても現地の日本国大使館や総領事館で手続きできますが、滞在期間が延びて滞在費用が余計にかかる可能性もあります。現地での支払いに困らないように、出発前にデビットカードやクレジットカードの有効期限も合わせて確認しておきましょう。
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