海外旅行用eSIMとは?メリット・デメリットや利用手順を徹底解説!
海外旅行中に欠かせないのが、安定したインターネット環境です。地図アプリで道順を確認したり、SNSで旅の記録を共有したりと、通信手段は旅の快適さを大きく左右します。
近年注目されている「海外旅行用eSIM」は、物理SIMカードの受け取りや差し替えが必要なく、オンライン手続きだけで利用できる通信サービスです。
本記事では、海外旅行用eSIMの仕組みやメリット・デメリット、購入する前に確認すべきことなどを詳しく解説します。
利用手順も紹介しているので、これから海外旅行を控えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
海外旅行用eSIMとは?
海外旅行で使うeSIMとは、スマートフォン本体にあらかじめ内蔵されたデジタルSIMのことを指します。
物理的なSIMカードのように端末へ抜き差しする必要がなく、事前にオンラインで手続きと簡単な設定をするだけですぐに現地でインターネットを利用できるのが大きな特徴です。
従来の海外旅行での通信手段と比較すると、より利便性が高いといえます。具体的には、ポケットWi-Fiレンタルのように空港で機器を受け取る手間や、ルーターと充電器で荷物が増える煩わしさがありません。
手軽に現地でインターネットが利用開始できること、また比較的安いプランが豊富なことから、eSIMはとくに海外旅行の初心者や、ヨーロッパ周遊など複数国を訪れる方に人気の選択肢となっています。
海外旅行でeSIMを使うメリット
海外旅行でeSIMを使うメリットは、以下の4つです。
- ● オンライン手続きだけですぐに利用開始できる
- ● SIMカード紛失・破損のリスクがない
- ● 海外ローミングよりも通信料金が安く済む
- ● 複数国を周遊する旅行でも1回の契約で対応できる
オンライン手続きだけですぐに利用開始できる
海外旅行でeSIMを利用する最大のメリットは、圧倒的な手軽さです。物理的なSIMカードやポケットWi-Fiとは異なり、申し込みから利用開始までの手続きがすべてオンラインで完結します。
一般的には、必要な準備はWebサイトや専用アプリから渡航先に合ったプランを購入して、メールで送られてくるQRコードをお手持ちのスマートフォンで読み込むことのみです。
最短数分程度で完了し、空港のレンタルカウンターに並んだり、機器を返却したりといった手間は一切必要ありません。
たとえば、出発前に自宅で契約を済ませ、現地に到着したら機内モードを解除して設定を切り替えるだけで、すぐにインターネットが使えます。
時間を有効に使いたい方や、効率的に旅の準備をしたいと考える方にとって、この手軽さは非常に大きな魅力といえるでしょう。
SIMカード紛失・破損のリスクがない
eSIMは、スマートフォン本体に直接データを書き込むデジタルのSIMです。物理的なカードの紛失・破損といった心配がない点は大きなメリットです。
海外旅行の際、慣れない環境でSIMピンのような小さな器具を使ってSIMカードを入れ替える作業は、想像以上に神経を使います。手元が狂ってSIMカードをどこかへ落としてしまったり、取り外した日本用のSIMカードを旅行中に失くしてしまったりするリスクも伴うでしょう。
一方eSIMであれば、物理的なSIMカードの管理や入れ替え作業そのものが不要になるため、これらの煩わしさに悩まされることもありません。
とくに海外旅行に不慣れな人にとって、SIMカードを紛失する心配から解放されるのはメリットになるでしょう。
海外ローミングよりも通信料金が安く済む
通信料金を安く抑えられることは、eSIMが海外旅行でよく利用される理由の一つです。
大手キャリアが提供する海外ローミングサービスは手軽ですが、料金が割高になる傾向があり、気づかぬうちに高額請求になるリスクもゼロではありません。
eSIMの場合、世界中のさまざまな事業者が、より手頃な価格でさまざまなプランを提供しています。
そのため滞在日数や必要なデータ容量に応じて、もっともコストパフォーマンスに優れた格安プランを選ぶことが可能です。
たとえば、アメリカのハワイへ1週間滞在する場合、通信キャリアのローミングでは7,000円近くかかることもあります。一方、eSIMであれば、同じ期間でも2,000円から3,000円程度のプランを見つけることも可能です。
このように通信費を大幅に節約できれば、浮いた予算を現地の食事や観光に充てられ、より充実した海外旅行を楽しめるでしょう。
複数国を周遊する旅行でも1回の契約で対応できる
eSIMは国境を越えても、1回の契約で利用可能です。そのためヨーロッパや東南アジアなど、一度の旅行で複数の国を訪れる周遊する時に、大きなメリットがあるでしょう。
多くのeSIMサービスでは「ヨーロッパ周遊プラン」や「アジア周遊プラン」といった、特定のエリア内の複数国で利用できるプランが提供されています。
これらは一度契約してしまえば、一般的には国境を越えてもその都度SIMカードを買い替えたり、設定を変更したりする必要がありません。スマートフォンが、自動的に渡航先の提携キャリアに接続してくれます。
たとえば、フランスからスペインへ電車で移動する際、通信が途切れることなくシームレスにGoogleマップや翻訳アプリを使い続けられます。
国ごとに物理SIMカードを購入する手間とコストを考えるとeSIMの周遊プランがより効率的で経済的なことがわかります。
海外旅行でeSIMを使うデメリット
海外旅行でのeSIMの利用にはメリットが多くありますが、デメリットもあります。
以下4つのデメリットも把握しておきましょう。
- ● 非対応機種では利用できない
- ● データ通信専用で電話番号が使えない場合がある
- ● プランによってはテザリングができない
- ● 一度設定すると他端末へ移行できない
非対応機種では利用できない
eSIMは比較的新しい技術のため、利用するには本体に専用のチップが内蔵されている必要があります。
そのため、古いモデルのスマートフォンなど物理的なSIMカードしか搭載していない機種では、利用することはできません。
iPhoneであれば、iPhone XSやXR以降、Google PixelであればPixel 4以降のモデルがeSIMに対応しています(ただしアメリカなど海外で購入したPixel 3aはeSIMに対応している場合があります)。
海外旅行に向けてeSIMプランの購入を検討する際は、まずご自身の端末が対応機種か確認しましょう。
データ通信専用で電話番号が使えない場合がある
海外旅行向けに販売されているeSIMプランの多くは、料金を安く抑えるためにインターネット接続に特化した「データ通信専用」となっています。
こうしたプランは通常、現地の電話番号が付与されないため、通常の電話回線を使った音声通話や、SMS(ショートメッセージ)の送受信ができない仕様になっています。
そのため現地のレストランに電話で予約をしたり、Webサービスの本人確認でSMS認証が必要になったりする場面では、対応できません(*1)。
eSIMの多くはデータ通信が中心となることを理解し、必要に応じて代替手段を準備しておきましょう。
(*1)SMSの受信だけであれば、日本で使っているSIMをオンにしておくことで対応できる場合もあります。
プランによってはテザリングができない
eSIMを利用して、パソコン・タブレット・同行者のスマートフォンなど、複数の機器をインターネットに接続したい場合もあるでしょう。
しかし、契約するeSIMのサービスや料金プランによっては「テザリング(インターネット共有)」機能が利用できない、あるいはデータ容量に上限が設けられている場合があります。
これはeSIMを提供する事業者のポリシーや、現地の通信キャリアのネットワーク上の制限によるものです。とくに「データ無制限」をうたう格安プランでは、テザリングが許可されていないケースが多くあります。
友人や家族とデータを共有する予定がある、または出張先でパソコン作業が必要といった場合は、eSIMの購入前にテザリングの可否を確認しましょう。
一度設定すると他端末へ移行できない
物理的なSIMカードであれば、スマートフォンが故障してもカードを抜き出して別の端末に差し替えれば、すぐに利用を再開できます。
しかし、eSIMは一度特定のスマートフォンにインストールすると、その端末固有の識別情報と紐づけられるため、原則、他の端末に移行できません。
そのため旅行中に万が一スマホが故障して、予備の端末で通信を確保しようとしても、eSIMの移し替えはできなくなります。
事業者によってはサポートへ連絡することで再発行が可能な場合もありますが、基本的には「一つの端末に一つの契約」と認識しておく必要があります。
海外旅行用eSIMを購入する前に確認すべきこと
海外旅行用eSIMを購入する際には、事前に以下3点を確認しておく必要があります。
- ● 自分のスマホがeSIM対応機種か
- ● 自分のスマホがSIMロック解除されているか
- ● 自分が必要なデータ容量の目安はどれくらいか
自分のスマホがeSIM対応機種か
eSIMを利用するときには、まず自身のスマートフォンがeSIMに対応しているかどうかを確認します。
ご自身のスマートフォンが対応していることがわかれば、安心して次のステップに進めるため、まずはこの簡単なチェックから始めましょう。
自分のスマホがSIMロック解除されているか
大手キャリアで購入したスマートフォンの場合、「SIMロック」がかかり他社のSIMが使えない可能性があります。このロックが解除されているかどうかの確認が必要です。
なお、Apple StoreやGoogle Storeなどで直接購入した「SIMフリー版」のスマートフォンであれば、この確認は不要です。
自分が必要なデータ容量の目安はどれくらいか
必要なデータ容量は、旅行先でのスマートフォンの使い方によって大きく変わります。
地図アプリの利用が中心なら1日あたり0.5GB~1GB、SNSへの写真・動画投稿や動画視聴もするなら1日1GB~3GBを目安に、旅行日数と掛け合わせてプランを選びましょう。
データ容量が少なすぎると、現地でデータを使い切ってしまい、割高な追加チャージが必要になる可能性があります。逆に多すぎても無駄な出費になってしまうため、ご自身の旅行スタイルに合わせて、最適な容量を見極めるのがおすすめです。
初めてでどれくらい使うかわからない場合や、テザリングで複数人と共有する可能性がある場合は、少し余裕を持ったプランを選んでおくと安心です。
多くのeSIMはアプリで残量を確認できるため、それを参考にしつつ、Wi-Fiも活用しながら賢くデータを節約しましょう。
海外旅行用eSIMの購入から利用までの手順
海外旅行用eSIMを利用するまでの手順は、以下3つです。
それぞれ詳しく確認しましょう。
- ● 渡航1週間前までに日本でプランを契約する
- ● QRコードでeSIMをインストールする
- ● 現地到着後に回線を切り替える
渡航1週間前までに日本でプランを契約する
海外旅行の準備として、出発の数日から1週間前までには、eSIMのプランをオンラインで購入しておきましょう。
eSIMの契約手続きや設定情報の受信には、安定したインターネット接続が必要なため、Wi-Fi環境が整った自宅等で行うのが最適です。
利用したいeSIMサービスの公式サイトやアプリから、渡航先・利用日数・必要なデータ容量を選んで購入します。決済が完了すると、登録したメールアドレスに設定用のQRコードが届きます。
渡航前日でもプランの契約は可能ですが、万が一の決済トラブルや、設定方法について日本語サポートに問い合わせる時間を考え、余裕を持って手続きを済ませておくと安心です。
QRコードでeSIMをインストールする
eSIMプランの購入後に受け取ったQRコードは、必ず日本にいる間に、スマートフォンに読み込ませておきましょう。
この作業はeSIMの情報を端末に追加する「インストール」の工程で、インターネット接続が必要です。現地到着後に慌ててWi-Fiスポットを探すことを避けるため、出発前に済ませておくと安心です。
後でわかりやすいように、回線の名称を「ハワイ旅行用」などに変更し、データ通信に利用する回線は日本のSIMのまま、追加したeSIMは「オフ」の状態にしておくとよいでしょう。
現地到着後に回線を切り替える
渡航先の空港に着陸したら、eSIMを有効化します。多くのeSIMプランでは、現地でデータ通信が開始された時点から利用期間のカウントが始まるため、このタイミングで切り替えるといいでしょう。
まず、スマートフォンの機内モードを解除します。
次に、以下の操作を行います。
スマートフォンが現地の通信事業者のネットワークを掴み、アンテナ表示が4Gや5Gに変われば設定完了です。
現地で起こりやすいトラブルとその解決方法
海外では、以下3つのようなトラブルが発生することがあります。それぞれ解決方法まで解説するので、渡航前にチェックしておきましょう。
- ● 通信がつながらない
- ● 通信速度が遅い
- ● 誤ってeSIMを削除してしまった
通信がつながらない
現地に到着後、eSIMに切り替えても「圏外」のままインターネットにつながらない場合があります。慌てずに基本的な操作を試しましょう。
最初に「機内モード」を一度オンにし、10秒ほど待ってからオフに戻します。これは端末に現地の電波を再検索させるもっとも簡単な方法です。それでも改善しない場合は、スマートフォン本体を再起動してみてください。
これらの方法で解決しない場合、ほとんどの原因は「データローミング設定」の見落としです。海外eSIMは現地の回線を借りて通信する仕組みのため、この設定がオフだと通信できません。基本的な確認で9割方の接続トラブルは解決するため、順番に試してみましょう。
通信速度が遅い
eSIMでの通信速度が急に遅くなった場合、考えられる原因は主に2つです。
1つ目は「データ無制限」プラン利用時に、1日の高速データ通信の上限を超えて速度制限がかかった可能性があります。2つ目は、単純に今いる場所の電波状況が悪いことです。
無制限プランの多くは、公平な通信を保つため、大容量通信を行うと速度が低速に制限される「フェアユースポリシー」を採用しています。まずはeSIMの専用アプリでデータ使用量を確認しましょう。上限に達していた場合は、日付が変わるのを待つか追加データを購入する必要があります。
もしデータ使用量に問題がなければ、電波状況が原因の可能性が高いです。地下や建物の中から窓際や屋外へ移動するだけで速度が改善することも多いため、場所を変えて試してみてください。
誤ってeSIMを削除してしまった
通信がつながらない時に焦ってやりがちなのが、スマートフォンの設定からeSIMのプロファイルを削除する操作です。一度削除したeSIMは、物理的なSIMカードを紛失したのとほぼ同じ状態で、原則として再インストールしての利用はできません。
eSIMの設定に使うQRコードはセキュリティ上、一度しか使えないワンタイム仕様のものがほとんどのためです。もし誤って削除してしまった場合の対応は、事業者によって異なり、再購入が必要な場合もあれば、サポートに連絡すれば再発行してくれる場合もあります。
いずれにしても、eSIMの削除はトラブル解決の手段ではなく、状況を悪化させてしまいます。サポート担当者からの指示がない限り自分では削除せず、まずは他の解決方法を試しましょう。
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万が一、身に覚えのない利用があっても即座に把握でき、会員専用のウェブサイトからカードを一時停止することも可能なため、被害を最小限に抑えられます。
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