Today's Insight

2019/2/7 10:30作成

「適温相場2019」の賞味期限は長くはないだろう

■ ユーロ安に伴い、FRBがハト派に急転換した割にはドル安が進んでいない
■ 「適温相場」と称された2017年のような株高が再来するとは考え難い

 1月4日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はアトランタで開催された経済学会で金融政策の見直しについて言及し、同29、30日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げやバランスシート縮小の早期打ち止めが示唆された。昨年まで、FRBは頑なともいえるほど金融政策正常化の継続姿勢を維持していたが、わずか1カ月あまりで180度スタンスが変わった印象で、株式市場でこれを好感する流れが続いていることに違和感はない。

 ただ、為替市場では、筆者の想定以上にドルが底堅さを保っている。FFレート先物から市場が織り込む2019年の追加利上げ回数(1度の利上げは25bpsと想定)を算出すると、2月6日時点でわずかにゼロを割り込んでおり、市場ではすでに利上げ打ち止めを見込んでいることがわかる。ならばドル相場が急落してもおかしくないが、複数の通貨に対するドルの総合的な強さを示すドルインデックスは、2018年12月14日の高値97.711に対して足元では96台で推移しており、過去と比較すれば依然としてドル高といえよう。その要因はユーロ安にあると考えられ、ユーロ圏の景気減速が続くなか、ユーロ売りがドル相場を下支えとなっている。

 ドル高は、中国をはじめとする新興国からの資本流出を招く。加えて、米国では輸出企業が不利になるうえ、海外売上の減少というデメリットがあり、トランプ米大統領は「ドル高は米国にとって不利益」という発言をしてきた。よって、FRBのハト派への急転換を受けてドル安が進めば、それは世界経済に安定をもたらす効果が見込まれたわけだが、足元ではユーロ安がその効果を削いでしまっているといえよう。2017年の株高は、堅調な景気と低金利が共存する「適温相場」という言葉で称され、その再来との見方が足元の投資家心理を前向きにさせている。しかし、2017年は年間でドルインデックスが10%近く下落しており、この点において当時と現在では大きな違いがある。したがって、ユーロ圏の景気減速に歯止めがかかり、ユーロ相場が持ち直す展開とならなければ、「適温相場2019」の賞味期限は長くはないだろう。


投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司