Today's Insight
2025/10/9 11:30作成
10月RBNZレビュー:利下げへ傾斜も、詳細は次回へ
■ RBNZは政策金利を2.50%へ引き下げたが、利下げ幅を50bpsとしたのはややサプライズだった
■ 迅速な景気刺激を狙ったうえ、現在のホークスビー体制下である程度利下げを進める狙いか
ニュージーランド(NZ)中銀(RBNZ)は、10月8日に金融政策委員会(以下、政策会合)の結果を公表した。事前の市場予想では25bpsの利下げ実施の公算が大きかったものの、利下げ幅は50bpsとなり政策金利は2.50%と2022年7月以来の低水準を付けた。また、これでRBNZが想定している中立ゾーン(2.5-3.5%)のレンジ下限へ到達した。
前回8月政策会合以降、9月11日にはホークスビーRBNZ総裁が改めて「RBNZの中心的な予測は年末までに政策金利が2.50%程度まで低下するというもの」と言及していたうえ、9月18日に公表された4-6月期実質GDPは前期比0.9%減となり、RBNZの利下げ観測に拍車がかかっていた。特に、今年8月時点でRBNZの示した4-6月期の経済成長率予想(同0.3%減)を上回る減少幅だったことが、金融市場では注目されていたとみられる。
10月政策会合での声明と議事要旨では、この4-6月期実質GDPの大幅な縮小を巡り、季節調整項目の規模が異例だったほか、一部の業界で特有の要因が供給を制約した可能性があると指摘した。そのうえで今回は50bpsの利下げ実施か、25bpsの利下げ実施と翌11月政策会合での利下げ予告かで議論されたものの、より迅速な景気刺激を意図したことが50bpsの利下げ実施へ踏み込んだ背景と考えている。また、RBNZは「政策金利のさらなる引き下げを引き続き検討する用意がある」と追加利下げの可能性を残す。今年12月1日からはスウェーデン中銀第一副総裁を務めていたブレマン氏のRBNZ総裁就任が決定済であり、現体制下で利下げをある程度進めておきたいとする意図もあったかもしれない。
次回11月政策会合では、金融政策報告(MPS)が注目されよう。MPSは四半期に一度更新され、より詳細な経済成長率や政策金利を巡るRBNZの見通しが示される。そのため、4-6月期のマイナス成長からの回復の行方や政策金利のターミナルレートをRBNZがどの程度へ修正するかを確認する機会となる。当面の政策会合では「利下げ」か「現状維持」の決定となる公算が大きく、10月20日に公表の7-9月期消費者物価指数で物価の伸び鈍化が確認された場合、次回11月でRBNZが連続利下げを実施するとの思惑が強まる可能性もありそうだ。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登