Today's Insight

2020/5/22 12:00作成

4月の国内投資家はリバランス主導での動きと推測

■ 4月の国内投資家は「リスク資産買い、安全資産売り」の中でも、リバランス主導の動きと推測
■ 「期待」と「実態」が乖離する環境は続き、投資家は「投資哲学」の純度を高める必要があろう

 本稿では、4月の国内投信市場動向から国内投資家の投資姿勢を確認する。前提として4月の金融市場を振り返ると、欧米を中心に新型コロナウイルスの感染者増加ペースの鈍化が好感され、リスク資産の価格が反発に転じていた。特に、政府と米連邦準備理事会(FRB)による景気支援策が矢継ぎ早に策定された米国に注目が高まり、4月単月の実績で米国株(S&P500)が12.7%上昇、米国REIT(FTSE/NAREIT指数)が8.3%上昇など、米国資産の反発が目立った。一方で、4月公表分の経済指標は「統計開始以来の悪化」と説明される結果の指標が多かったものの、市場の反応は限定的にとどまった。

 そうしたなか、4月の国内投信市場は約1000億円の流入超と、前月(約2600億円)に比べて金額は減少するも、4カ月連続の資金流入超となった。流入が顕著だったのは2、3月に続き海外株式へ投資するファンドに対してであり、約1900億円の流入超に。また、国内外のREITへ投資するファンドに対しても合計で約800億円の流入超と、リスク資産の価格が反発した金融市場の動きと整合的だった。一方で、資金流出超となったのは国内外の債券へ投資するファンドとバランス型ファンドに対してであり、合計で約1600億円の流出超となった。4月の国内投信市場は、全体で見ると「リスク資産買い、安全資産売り」という構図が確認された。

 ただし、個別ファンドの動向からは違う見方ができると認識している。4月の国内投資家はリバランス主導で動いた可能性が高いと推測する。過去の動向を振り返ると、4月のような「リスク資産買い、安全資産売り」の傾向が明確だった場合、資金流入上位ファンドは株式やREITへ投資するファンドに偏っていた。ところが、今回は債券、株式、REITへ投資するファンドが偏りなく上位に位置し、投資家による特定資産への強い選好は見えなかった。国内投資家は株価の反発とともに、少しずつリスク回避へ投資姿勢をシフトしているのではないか。

 再びリスク資産への選好度を強めるには、先行きの景気見通しや企業業績見通しが回復基調に復帰することが求められよう。ただし、経済活動再開や政府、中央銀行による景気支援策に対する投資家の「期待」と、下方修正の続く企業業績見通しなどの「実態」が乖離する環境は当面続くことが見込まれる。投資家は自身の「投資哲学」の純度を高める必要があろう。



投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

ご登録はこちら