Today's Insight
2026/1/6 12:30作成
欧州経済:製造業活動には再び弱さがみられる
■ PMI調査では、製造業の低迷とサービス業の堅調さの乖離が続く
■ 財政出動と金融引き締め効果の剥落に支えられ、2026年も緩やかな景気拡大が維持されよう
2025年最後の製造業PMIからは、ユーロ圏の製造業活動の弱さが再び示された。2日に公表された12月のユーロ圏・製造業PMIの改定値(48.8、前月比0.8ポイント低下)は、速報値から0.4ポイント下方修正された。製造業PMIは、年初から夏場にかけて活動縮小ペースが大きく鈍化し、製造業活動の復調を示していた。しかし、12月は再び好不況の境目とされる50を2カ月連続で下回り、2025年2月以来の低水準をつけた。市場予想では、本日公表のサービス業PMI・改定値は速報値(52.6、同0.9ポイント低下)から変更なしとなり、50を大きく上回る水準となる見込みだ。ユーロ圏の成長はサービス業が牽引する一方、製造業は弱さが続いており、セクター間の大きな乖離がみられている。ユーロ高、米関税の引き上げ、中国製品などとの競争の激化が、依然としてユーロ圏の製造業への重しとなっているようだ。ただし、先行きのセンチメントについては改善している。製造業の今後1年の見通しは、財政出動で防衛・インフラ支出増が見込まれることを背景に、ロシアのウクライナ侵攻が本格化する前である2022年2月以来の高水準を記録した。
調査の内訳をみると、価格指数では、投入物価が16カ月ぶりの高水準となる一方、販売価格は低下し、需要・供給両面からの圧力がみられている。金属価格の高騰など原材料コストが上昇する一方で、需要の低迷と競争激化による価格引き下げ圧力は続いており、製造業の利益圧迫が懸念される。国別をみると、依然としてドイツ(47.0、同1.2ポイント低下)の弱さが目立つ。新規受注が落ち込むなか、生産指数(48.3、同2.6ポイント低下)が11カ月ぶりの低水準となったことが下押しした。一方で、低迷が続いていたフランス(50.7、同2.9ポイント上昇)が大きく上昇して、3年半ぶりの高い水準となるなど、明るい兆しもみられる。
2025年のユーロ圏経済は、ドイツやフランスといった中核国の低迷が足を引っ張る一方、スペイン、ギリシャといった周辺国の好調さに支えられ、緩やかな景気拡大が維持された。ドイツでは長期にわたる財政制約や産業構造転換の遅れ、フランスでは財政・政局不安などが景気回復の大きな重しとなっていた。2026年以降、欧州各国の財政政策の転換が本格化する見込みだ。財政出動の規模とタイミングを特定することは難しいが、転換の初期となる2026年にも、経済再生を目指すドイツを中心に財政出動が景気を支えることが期待される。また昨年、欧州中央銀行(ECB)が中立金利水準へと政策金利を引き下げたことで、景気抑制効果がラグをもって薄れることも支えとなるだろう。2026年も緩やかな景気拡大が続くとみられる。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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