Today's Insight

2019/8/19 9:30作成

7月の国内投資家はミドルリスクを選好

■ 7月の国内投信市場では、国内投資家がミドルリスクを選好する傾向を確認
■ 直近の市場動向からも、国内投資家は「キャピタルからインカムへ」の姿勢継続が見込まれる

 7月は、米中協議が再開したことや月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えた金融緩和観測が、リスク資産の価格を下支えする展開となった。こうした前提で国内投信市場の動向を確認すると、投資家のミドルリスクを選好する傾向が明確になったと解釈している。具体的に、国内投信市場全体では7月の資金流出入は約300億円の流出超となったが、「バランス型」と国内外のREITへ投資するファンドには合計で約1600億円の流入超となった。一方で、国内外の株式へ投資するファンドには合計で約1200億円の流出超。7月23日に公表された国際通貨基金(IMF)の最新世界経済見通しで確認されたように、2019年は既に景気減速局面に入ったとみられる。そして、投信市場動向から国内投資家にもその認識が広く浸透していることがうかがえる。ただ、市場の動きは主要中央銀行の金融緩和傾向が依然年初来の「株高・債券高」基調を支えていることから、国内投資家は「新興国株式のような過度なリスクは敬遠したいが、適度なリスクの元でリターンを追いたい」という姿勢を維持しているようだ。

 また、ファンド別の結果を見ても、上記と同様の国内投資家の傾向が見て取れる。資金流出上位10ファンドのうち7つが次世代の技術などのテーマ型株式ファンドであり、国内投資家は6月初旬以降の株価上昇局面を捉えてリスクが高いポジションの解消を図っているとみられる。他方で資金流入動向では、上位10ファンドのうち半分以上をバランス型ファンドやREITへ投資するファンドが占めている。これらの動向から、引き続きポートフォリオのリスクを抑えつつリターンを狙いたいとする国内投資家の意図を感じることができよう。

 8月初旬、米中対立の激化などを受けて金融市場はリスクオフの流れに覆われた。この局面では、株価下落が目立つなかでREIT指数の下落は限定的にとどまっている。この8月に限らず、国内投資家は今年に入り冷静な運用姿勢を保っていることが功を奏し、今のところリスク許容度に余裕がある層が多数派だとみられる。一方で、世界的な景気減速懸念の高まりや、米中通商問題は緊張と緩和が繰り返される状況にあるなど、市場環境の急速な好転は見込みにくい。そのため、国内投資家は今後も「キャピタルからインカムへ」の姿勢を継続し、「ミドルリスク」から「ローリスク」の間でポートフォリオのリスク調整を進める傾向が強まるだろう。



投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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