Today's Insight

2026/3/6 12:00作成

新興国通貨:1-2月は実質金利高と良好な景気がポイント

■ 1-2月はドル安一服のもと、新興国通貨は高金利通貨を中心に底堅く推移したと整理
■ 金利面の優位性と景気動向がポイントも、中東情勢の長期化は状況を一変させるおそれがある

 1-2月期の主要新興国通貨動向を、アジア(中国、韓国、台湾、タイ、インドネシア)、中南米(ブラジル、メキシコ)、東欧(ハンガリー、チェコ)、その他主要国(南アフリカ、トルコ)の11カ国で確認する(データは対米ドル騰落率、2月末時点)。1-2月の騰落率は、トルコリラ(マイナス2.1%)、インドネシアルピア(マイナス0.6%)、韓国ウォン(0.0%)を除く9通貨がプラスだった。なお、1-2月のドルインデックスはプラス0.7%と、昨年みられたドル安基調は一服していた。

 1-2月期の騰落率における上位3通貨は、ブラジルレアル(プラス6.4%)、メキシコペソ(プラス4.3%)、南アフリカランド(プラス3.8%)だった。「名目政策金利」から「消費者物価指数の前年比上昇率」を差し引いた「実質政策金利」で確認すると、これら3カ国は2月末時点でブラジル(10.56%)、南ア(3.25%)、メキシコ(3.21%)と主要新興国の中でも高いうえ、米国(1.35%)より高水準を維持している。そのため、この期間は実質金利の高さが新興国通貨の動向を左右したポイントだったと整理しておきたい。

 また、世界的に新型コロナ禍後の2022年にかけて物価は大きく上昇したが、国際通貨基金(IMF)が昨年10月時点の世界経済見通し(WEO)のなかで、2024年以降に新興国の物価は大半の地域で伸び鈍化が見通され、利下げによる景気下支えが期待された。そうしたなか、昨年7月から今年1月にかけての複数回のWEOでは、米政権の関税政策に対する不確実性が徐々に後退したことも相まって、実質GDP成長率の上方修正が続いている。結果として、良好な景気が維持された下で米国資産離れが意識される市場環境では、一部のリスク選好度の高い市場参加者は金利面での優位性に着目するとのシナリオが、金融市場で幅広く意識されていたと推測する。

 3月2日以降の金融市場に広がる中東情勢を巡る不透明感は、こうした新興国を巡る景気・物価動向を一変させる可能性がある材料として警戒する必要があろう。仮にホルムズ海峡封鎖に伴うエネルギー価格高騰が長期化した場合、特に従来からの実質政策金利の相対的な低さとエネルギー輸入に対する依存度への相対的な高さから、アジア新興国にとって悪影響が次第に大きくなるとみておきたい。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

プレスティア インサイトについて

マーケット情報