Today's Insight

2019/2/8 11:30作成

RBAも金融引き締め政策に慎重な姿勢を示したか

■ 物価の伸びはRBAの目標値を下回る状況が続く
■ ロウRBA総裁が次の金利の動きは利上げ、利下げどちらもあり得るとの見解を表明

 2月5日、豪州準備銀行(RBA)は市場予想通り政策金利を1.5%に据え置くことを決定。経済成長率の見通しを2019年:3.0%、2020年:2.75%、基調インフレ上昇率は2019年:2.0%、2020年:2.25%とした。6日にロウRBA総裁は講演で「過去1年、次の政策変更が利上げとなる可能性が高かったが、現時点では利上げ、利下げのいずれかの可能性はより均衡している」と発言。利上げの可能性が高いとしていた従来のスタンスを修正し、中立姿勢への転換を示した。また、8日に公表されたRBA四半期報告書では高い家計債務のなか、最近の住宅市場の下落が消費の先行きに不透明感をもたらしていると指摘し、同様の姿勢が改めて示された。

 RBAは2009年10月から2010年11月にかけて、段階的に政策金利を3.0%から4.75%に引き上げた。当時のRBAが重視する基調インフレ上昇率は、2009年7-9月期は前年比3.5%、2010年10-12月期は前年比2.4%だった。一方、2018年10-12月期の基調インフレ率は前年比1.75%と、RBAの目標値(2.0%-3.0%)を下回る水準での推移が続いており、今後も物価の伸びが加速しなければRBAが利上げを急ぐ必要はないように思われる。

 豪ドルはロウRBA総裁の発言、RBA四半期報告書を受けて、対米ドルでは0.72米ドル台半ばから0.70米ドル台後半、対円では79円台後半から一時77円台前半まで値を崩した。利下げ観測がくすぶれば、目先の豪ドルは弱含みの展開か。豪ドル米ドルの下値メドは、1月4日安値0.6991米ドル付近、豪ドル円は1月3日安値73円07銭から2月5日高値79円83銭の上げ幅の半値押し76円45銭辺りを想定。ただ、ロウ総裁の6日の講演資料によれば、2021年にかけて失業率は低下基調、賃金とインフレは上昇基調と予想されており、豪州経済が緩やかに持ち直していくとの見方に変化はない。中立姿勢への転換は主に海外情勢がもたらすリスクに配慮したものと判断すべきであろう。豪ドルが下落トレンドに向かうとの見方は行き過ぎと思われる。

投資調査部
マーケットアナリスト
池田 崇明