Today's Insight

2026/5/11 9:15作成

米国:米銀はNDFI向け融資基準を厳格化

■ 融資需要は回復ペースが鈍化し、融資基準は厳格化度合いが強まった
■ NDFI向けの融資基準が厳格化し、信用力の低い債務者向けのクレジットが悪化しないか注視

 連邦準備理事会(FRB)は4日に、最新のシニア・ローン・オフィサー・オピニオン・サーベイ(SLOOS)を公表した。これはFRBが米金融機関の融資担当者に対して3カ月前と比較した融資基準や資金需要などの変化について四半期ごとに聞き取り調査を行うもので、調査対象となる金融機関は昨年3月23日に調査票を受け取り、4月3日までに回答した。

 大・中企業(年間売上高5千万ドル以上)向け商工業ローンの融資需要DI(全回答に占める需要増加の割合-需要減少の割合)はプラス4.8と前回の1月調査(プラス16.1)からプラス幅が縮小し、融資需要の増加ペースが鈍化した。個別行の回答内容をみると需要が強まったとの回答数の減少が目立ち、設備投資や企業の買収・合併(M&A)への意欲がやや後退した模様である。また、融資基準DI(全回答に占める厳格化の割合-緩和の割合)はプラス8.1と前回調査(プラス5.3)から上昇し、2022年7-9月期から厳格化が続いている。前四半期比で厳格化した理由として経済見通しの不透明感が挙げられ、中東情勢の悪化に伴う不確実性の高まりが意識されている模様だ。一方、融資基準を緩和したと回答した理由については引き続き他の金融機関やノンバンクとの競争の激しさが指摘されている。

 家計向けの融資需要DIに関しては、クレジットカード(マイナス4.5→マイナス6.0)、自動車ローン(マイナス22.9→マイナス9.8)ともに融資需要の減少を示した。雇用・所得環境が悪化するなかで消費意欲は減退しつつあるとみられる。融資基準DIでは、クレジットカード(ゼロ→プラス2)では再び厳格化領域に入る一方、自動車ローン(マイナス6.1→マイナス2.0)では緩和方向が継続するなど、方向性はまちまちとなっている。

 今回のSLOOSではノンバンク金融機関(NDFI、Non-Depository Financial Institutions)向け融資について追加でヒアリングされた。全体として1年前より融資需要は前年より強まっており、個人・事業向け信用仲介よりプライベートエクイティ(PE)向けの増加が目立った。一方、融資基準は厳格化しており、PEより個人・事業向け信用仲介向けが厳格化している。厳格化した理由として経済見通しの不透明感が挙げられ、米金融機関のリスク許容度の低下や債務者の債務不履行リスクの高まりを指摘する声も聞かれた。また、経済見通しの不透明感や他の金融機関との競争が和らいだとしても、融資基準を緩和しないとの回答が一定数みられた。米金融機関は信用仲介向け融資のリスクに対して警戒感を高めつつあると解釈され、信用力の低い債務者向けのクレジットが悪化しないか注視すべきであろう。


投資調査部長
山口 真弘

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