Today's Insight
2025/12/30 10:00作成
米国:利下げ休止の示唆を受けて政策金利見通しを修正
■ 12月FOMCで利下げ休止が示唆され、物価・雇用が見通しに沿っている限り利下げ見送りへ
■ ただし次期FRB議長の下で利下げが再開され、中間選挙までに中立金利水準に到達か
12月9、10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文の政策ガイダンスが「政策金利目標レンジの追加調整の程度や時期を検討するうえで、委員会は今後の情報、見通し、リスクバランスを慎重に評価する」と修正され、今後の政策調整は「程度」に加えて「時期」も検討対象とされる。2025年1月からの利下げ休止直前となる2024年12月17、18日のFOMC声明文でも同様の表現が用いられており、次回のFOMC以降での利下げ休止を示唆している。
9月以降の利下げの主な理由とされてきた「リスク管理としての利下げ」は12月で終了し、今後は声明文のガイダンスに従ってデータなどに基づき政策判断を下していくことが見込まれる。物価・雇用情勢が12月の「経済見通し概要(SEP)」に沿って推移する限り、利下げは見送られる可能性が高いだろう。ただし、SEPでは参加者の長期(Longer run)政策金利見通しの中央値は変わっておらず、引き続き中期的に3.00%まで利下げを進めていくFRBの方針を読み取ることができる。2026年の金融政策における最大の不確実性は米連邦準備理事会(FRB)議長の交代である。パウエルFRB議長は5月15日に任期満了を迎え、年明けにも米政権の意向に沿った次期FRB議長が指名される予定である。12月のFOMCで示された政策方針が次期FRB議長就任後も引き継がれる保証はなく、6月のFOMC以降は米政権の意向を反映して金融緩和的な修正が図られることが予想される。
当行はこれまで3.00%への継続的な利下げを予想してきたが、12月のFOMCでの政策ガイダンス修正などを踏まえて政策金利見通しを変更した。新たな見通しでは、パウエルFRB議長の任期中である2026年4月28、29日のFOMCまで政策金利は3.50-3.75%に据え置かれるが、FRB議長交代後の6月に利下げが再開され、9月に3.00%に到達する政策金利経路を予想する。11月の米中間選挙を控えて選挙前に政策金利を中立金利水準である3.00%まで引き下げる政治的意向が強まりやすく、次期FRB議長の下で6、7、9月に0.25%ずつの利下げが実施されることを想定している。なお、米景気の軟着陸をこの見通しの前提としており、景気後退に陥る場合は3.00%を下回るまで政策金利は引き下げられよう。ただしその兆候はみられず、現時点で蓋然性は高くない。見通しの上振れ要因には今年7月に成立した減税・歳出法(OBBBA)が挙げられる。2026年は同法に基づき一人当たり平均1000ドル超の税還付が予定され、景気過熱やインフレ再燃に向かう場合は利下げ再開時期が遅れることになろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏



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