Today's Insight
2026/2/27 10:00作成
米国:融資需要・融資基準ともに大きな変化なし
■ 融資需要は回復基調継続、米銀の融資基準は厳格化度合いがやや和らいだ
■ ノンバンクの不良債権増加による景気減速を警戒、ただ金融システム不安にはつながらないか
米連邦準備理事会(FRB)は4日に、最新のシニア・ローン・オフィサー・オピニオン・サーベイ(SLOOS)を公表した。これはFRBが米金融機関の融資担当者に対して3カ月前と比較した融資基準や資金需要などの変化について四半期ごとに聞き取り調査を行うもので、調査対象となる金融機関は昨年12月10日に調査票を受け取り、1月2日までに回答した。
大・中企業(年間売上高5千万ドル以上)向け商工業ローンの融資需要DI(全回答に占める需要増加の割合-需要減少の割合)はプラス16.1と、前回の昨年10月調査(プラス11.5)からプラス幅が拡大し、融資需要の回復基調の継続が示された。個別行の回答内容をみると、設備投資に加え企業の買収・合併(M&A)への意欲が一段と増している模様である。また、融資基準DI(全回答に占める厳格化の割合-緩和の割合)はプラス5.3と引き続き厳格化領域にあるものの、前回調査(プラス6.5)から低下した。全体として小幅な変動にとどまったが、中小金融機関の融資や中小企業向け融資で幾分厳格化度合いが増している。厳格化したと回答した金融機関は理由として、経済見通しの不透明感に加えリスク許容度の低下などを挙げた。融資基準を緩和したと回答した金融機関は理由として、他の金融機関やノンバンクとの競争の激しさを挙げた。
家計向けの融資需要DIに関しては、クレジットカード(プラス4.3→マイナス4.5)が再びマイナスに転じ、自動車ローン(マイナス19.2→マイナス22.9)はマイナス幅を拡大した。雇用・所得環境が悪化する状況で消費意欲は低下している模様で、需要拡大の動きは続かなかった。融資基準DIでは、クレジットカード(プラス4.2→ゼロ)では厳格化度合いが和らぎ、自動車ローン(マイナス5.8→マイナス6.1)では緩和度合いが一段と強まった。昨年10-12月期の新規延滞率は、クレジットカード(8.88%→8.69%)、自動車ローン(7.79→7.70%)ともに前期比低下したことと整合的な動きとなっている。
米商業銀行のノンバンク向け融資残高は11日時点で1.8兆ドルと2024年末(1.1兆ドル)から急増し、ローン・リース残高全体に占めるシェアも拡大している(9.2%→13.8%)。ノンバンクの財務悪化により米商業銀行のバランスシートにもストレスが掛かれば、景気減速圧力が強まる可能性があり警戒したい。なお、金融機関は貸倒引当金を積み増す動きを続けているほか、米連邦準備理事会(FRB)による資金供給態勢を踏まえれば、金融システム不安に発展する可能性は現段階では低いと判断される。
投資調査部長
山口 真弘



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