Today's Insight

2019/4/18 9:20作成

中国経済:景気対策の効果と副作用

■ 3月の主要経済指標が大きく持ち直し、中国の景気底入れは明確となった
■ 一方、資産価格が高騰しつつあり、過剰流動性の防止が次なる課題か

 17日公表の中国の経済指標をみると、1-3月期の実質GDP成長率は前年比6.4%となり、減速予想(同6.3%)を上回り、昨年10-12月期と同等の伸びを保った。また、3月分の主要経済指標は市場予想を大幅に上回り、鉱工業生産(同8.5%増)や小売売上高(同8.7%増)は前回(1-2月)より伸びが加速した。特に鉱工業生産は1-2月(同5.3%増)から大幅な改善を示した。前月比(1.00%増)でみると、2月(同0.46%増)から大きく持ち直したことが顕著に表れる。政府の景気刺激策が奏功しつつあることに加え、米中通商協議の進展によって1月以降見送られている米国の追加制裁関税発動の可能性が低下したため、圧縮していた在庫の復元が進み始め、生産を押し上げたと想定される。前日までに公表済の経済指標から景気の底入れ観測が広がっていたが、消費、生産動向を示す主要経済指標でもこのような見方を裏付けられ、少なくとも当面の景気急減速懸念は払拭されたと考えて差し支えないだろう。

 景気刺激策により、その他の指標も幅広く改善している。3月の新規人民元建て融資(前年比13.7%増)は2016年6月以来の増加率を記録。中国人民銀行(PBOC)が昨年12月に導入したターゲット型中期貸出制度(TMLF)を通じた中小企業向け融資の促進効果が表れ始めている。また、3月の新築住宅価格は主要70都市単純平均(同11.3%上昇)で2011年以来最も高い伸びを示し、景気回復期待を背景に株価(上海総合指数:年初来30.8%上昇)も大きく上昇している。景気下支えのための緩和的な金融政策が、資産価格(住宅価格、株価)高騰という副作用を招いている構図が浮かぶ。PBOCもこれを認識していると思われ、15日公表の金融政策定例会議の声明文では、貨幣供給の「水門」をしっかり調整し、過剰流動性を防止する方針を示している。昨日満期を迎えた3665億元の中期貸出制度(MLF)に対しては、借り換えを2000億元に絞り、1600億元は7日物リバースレポでの資金供給に切り換えた。この措置を受けて市場で高まっていた追加金融緩和期待は後退している。事前の注目度の割に経済指標の好結果に対する反応が乏しかった一因には、この点が指摘できるかもしれない。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏

ご登録はこちら