Today's Insight

2020/10/19 12:00作成

バイデン候補の増税プランに変化

■ バイデン候補が掲げる増税プランは選挙戦の進展とともに変化
■ 増税の影響より追加経済対策の効果が先行し、株高要因となる公算

 バイデン米大統領候補が掲げる増税プランは、選挙戦の進展とともに変化してきている。超党派のシンクタンクであるタックス・ポリシー・センターは増税の影響に関して、2月時点のデータをもとにした推計を3月に発表していたが、9月時点のデータをもとに改めて推計した結果を10月15日に発表した。これによれば、増税プランの修正や経済・雇用情勢の悪化を背景に低所得層を主な対象とする給付付き税額控除などが追加されたことなどにより、向こう10年間の個人所得増税の影響は3月時点の1.9兆ドルから約0.76兆ドルまで圧縮された。所得帯別の税引き後所得をみると、全体では1.8%減と3月時点の推計(3.1%減)から影響が弱まっている。3月の推計では全所得帯で税引き後所得が減少する見込みであったが、10月の推計では上位20%の所得帯は5.0%減と影響を色濃く受ける一方で、その他80%の所得帯では増加するとされ、バイデン候補が主張している格差是正に資するプランとなっている。

 法人税に関しても、国内製造業への投資に対する10%の税額控除や環境対策のための税軽減措置が追加され、2.1兆ドルから1.38兆ドルに影響が弱まった。贈与税・遺産税(0.22兆ドル)のように増税が追加されたものもあるが、総額4兆ドルと言われ株価の重しとなっていたバイデン候補の増税プランは、約2.35兆ドルまで影響が軽減される模様だ。また、こうした増税措置の影響は2022年以降に顕在化し2024年以降に最大になる見込みで、目先は追加経済対策の効果が先行して現れる公算が大きい。大統領選でバイデン氏が勝利し、上下両院で民主党が多数派を占める「トリプルブルー」となれば、政策の実現可能性が高まり、追加経済対策の資金が株式市場に流入するとの思惑から株高要因と認識されそうだ。むしろ接戦により大統領就任を巡る不透明感が強まる展開とならないか警戒したい。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
山口 真弘

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