Today's Insight
2026/3/10 10:10作成
中国:成長減速を容認して経済構造改革を加速
■ 中国は2026年の成長率目標を「5.0%前後」から「4.5-5.0%」へ引き下げた
■ 「強大な国内市場構築」、「新成長分野の育成・強化の加速」で先端産業育成と市場創造を企図
中国では5日に全国人民代表大会(全人代)が開幕し、初日の政府活動報告にて2026年の経済目標や経済政策運営の方針が示された。経済目標では、実質GDP成長率が前年の「5.0%前後」から「4.5-5.0%」へ引き下げられ、より高い水準となるよう努めると補足された。その他主要指標では、都市部新規就業者数、消費者物価指数(CPI)上昇率などの目標は前年と変わらず、GDP1単位当たりのエネルギー消費量は前年の「3.0%程度削減」から「3.8%程度削減」へ引き上げられた。高成長よりも成長の質を重視し、緩やかな成長減速を容認することを示唆する内容となっている。
経済政策運営は、前年同様、「穏中求進(安定的な発展の追求)」の下で「より積極的」な財政政策と「適度に緩和的」な金融政策が継続される。財政政策では、一般歳出(30.97兆元、前年目標比1.27兆元増)、財政赤字(5.89兆元、同2300億元増)は増額された。ただし、財政赤字名目GDP比(4.0%)は前年と同水準に据え置かれ、インフラ投資の財源となる超長期特別国債(1兆3000億元)や地方政府専項債券(4兆4000億元)の発行枠も前年と同額にとどまった。景気減速が続くなかでも資金効率を重視した歳出が計画されている。金融政策では金利引き下げと流動性供給などの緩和策を柔軟に実施していく方針が示された。
政策重点項目(政府工作任務)の筆頭に挙がった「強大な国内市場構築」では、消費分野の内需拡大の具体策として家計所得増大、消費財の買い替え促進、レジャー・文化・娯楽分野などのサービス消費市場の開拓など従前から打ち出されていた施策が並んだが、2点目の「新成長分野の育成・強化の加速」では新産業として集積回路、航空宇宙、バイオ医薬、低空経済(ドローンなど)、未来産業として新エネルギー、量子技術、エンボディド人工知能(AI)、ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)、第6世代移動通信システム(6G)などの育成が掲げられた。例年同様、総花的な内容ながら、経済政策は需要補完や経済の安定化にとどまらず、先端産業育成のための市場創造(潜在需要の創出)を企図していると考えられる。
第15次五カ年計画の目標である「社会主義現代化」の基礎固めと全面的な推進に基づき、科学技術の自立自強に向けた重点分野の支援など供給側の改革を重視することが想定される。成長率目標の引き下げは経済構造改革を加速させるための措置と解釈すべきであろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏



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