Today's Insight

2018/12/10 9:40作成

「安全資産」について考える(1)

■ ポートフォリオのリスクを落とす際は、一般的に「債券=安全資産」への資産配分を増やす
■ 現在の環境ではリスク削減を考えた場合、債券の中でも選別投資が必要になると想定

 当行は11月末時点に示した見通しで、現在は保有ポートフォリオのリスクを落とすべき局面と判断している。背景は、今年に入り既に日本・欧州・中国などで景気減速が意識されていることに加えて、これまで好調だった米国でも来年後半以降に景気減速局面が到来する可能性が高まっているためだ。

 「ポートフォリオのリスクを落とす」代表的な方法は、「高リスクである株式への資産配分を減らし、代わりに低リスクである債券への資産配分を増やす」ことが挙げられる。背景には「リスク=価格変動幅」と「価格の連動性=相関関係」の二つの考え方がある。一般的に、債券は株式よりも価格変動幅が小さく、また、株価と債券価格は逆の動きをするケースが多いと言われている。そのため、リスク削減で真っ先に考えるのは株式から債券への組み換えとなる。なお、商品の性質上、「株式=リスク資産、債券=安全資産」と区分けされる。

 ただし、現在の市場環境を前提とすると、以上はあくまで一般論であることに注意すべきと考える。実際、2017年を振り返ると、株価と債券価格は同時期に上昇している。これは、価格上昇の背景に「過剰流動性相場」の影響があったためとみられる。つまり、主要中央銀行によるバランスシート拡大を伴う金融緩和の促進が、株価と債券価格の同時上昇を招いたのではないだろうか。そのため、今後数年かけて主要中央銀行の金融政策スタンスが緩和から引き締めへ転換していくと、2017年とは逆に株価と債券価格が同時に下落する期間が訪れる可能性が高い。従って、ポートフォリオのリスク削減を目的に株式から債券への投資を進める場合でも、投資対象の選別が必要になると想定している。

 次回以降の筆者執筆分で、2回にわたって「安全資産」について考えていきたい。「ポートフォリオのリスクを落とす」ための資産の組み換えで注目すべき点はどこか。12月21日発行予定のInsightでは「注目すべき指標」について。また、12月28日発行予定のInsightでは「現在の市場環境を踏まえた具体的な投資先」について、それぞれ筆者なりの意見を紹介したい。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登