PRESTIA Insight

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Today's Insight

2019/2/12 10:30作成

1月の市場環境を振り返る

■ 1月は「リスクオフからの巻き戻し」が起こり、株高と債券高が同時にもたらされた
■ 今の状況を楽観視せず、「データ次第」で市場の変動性が高まる状況も視野に入れておきたい

 1月は、昨年12月に投資家心理を急激に悪化させた要因について市場に幅広く安心感が広がったことで、「リスクオフからの巻き戻し」が起こった。当行のモデルポートフォリオを構成する6つの資産クラス(米ドル建て)の騰落率をみると、最も上昇したのは「先進国REIT(+10.9%)」、続いて「新興国株式(+8.7%)」、「先進国株式(+7.8%)」、「新興国債券(+4.4%)」となり、最も低かったのは「先進国債券(+1.4%)」だった。

 1月に株高と債券高をもたらした最も大きな要因は、米連邦準備理事会(FRB)の政策スタンスの変化だったと筆者は考える。特に4日、パウエルFRB議長がアメリカ経済学会のパネルディスカッションで追加利上げへ慎重なスタンスを表明して以降、FRB当局者は講演などで雪崩をうってこの意見に同調。加えて、FRBが進めるバランスシート縮小についても、昨年来の「自動操縦」から「状況次第での縮小打ち止め」を匂わせるなど、FRBは金融環境の沈静化を意図したとみられる。この結果、米短期金融市場では2019年内の利上げ見通しが撤回されるなど、市場で警戒されていた金融引き締めがもたらす景気減速リスクを大きく後退させた。

 ただし、米短期金融市場での織り込みに反して当行は現時点でもFRBによる年内利上げ実施見通し(2回)を維持しているが、FRBが年内に利上げ再開を示唆する可能性は十分にあるとみている。背景は、米国の金融政策を観察する際のポイントとなる物価と雇用関連の指標が、現時点ではいずれも良好な状況を示唆していることだ。具体的に、米国の代表的な物価指標である個人消費支出(PCE)デフレーターは、FRBの目標水準である前年比2%近くの上昇率を維持している。また、雇用指標の代表である失業率は、約半世紀ぶりの低水準で推移している。つまり、FRBが注目している物価と雇用の指標からは、容易に利下げへ舵を切れる状況でないと判断できよう。他方、FRBは「追加利上げに慎重なスタンス」を表明しているが、同時に「データ次第」の姿勢を変えていない。堅調な労働市場が物価上昇にリンクし始めた場合を想定し、FRBの利上げ再開示唆に伴い金融市場の変動性が高まるシナリオも視野に入れておく必要があるのではないだろうか。従って、当行では1月の株高、債券高の持続性について、楽観視は禁物と考えている。

投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

注目のチャート

2019/2/8 10:15

日本株の出遅れは修正される可能性

日本株の出遅れは修正される可能性

 昨年末以降、世界的に株価は反発しているが、日本株(TOPIX)の年初来上昇率(7日時点)は5.02%と、米国株(S&P500)の7.95%や欧州株(ストックス欧州600指数)の6.64%に対して出遅れている。株高を招いている最大の要因は米連邦準備理事会(FRB)の急激なハト派化、つまりドル安・円高要因であるため、本邦企業業績の下振れ懸念が付きまとう分だけ欧米株に水をあけられているのであろう。日本貿易振興機構(JETRO)の集計によれば、主要上場企業196社の海外売上高比率は2017年度で58.4%に達しており、そうした見方が広がるのも無理はない。

 しかし、投資家は日本株に対して慎重になり過ぎているのではないだろうか。ドル円は年初に一時104円台まで急落する場面があったとはいえ、本稿執筆時点では109円台後半で推移しており、TOPIXが1700ポイント付近にあった昨年8月半ば頃と同水準である。確かに、昨年まで金融政策正常化の継続姿勢を堅持していたFRBがわずか1カ月あまりでハト派に転じたのは驚きであった。それを受けて、市場では米国の追加利上げどころか、むしろ次の一手は利下げとの見方さえ浮上している。ただ、実際には、そうした事実から想定されるほどにはドル安・円高は進行しておらず、ならば足元の日本株の出遅れは近いうちに解消されてもおかしくはない。あくまで現状よりも大きく投資家心理が悪化しないことが前提ではあるが、TOPIX(2月7日終値1569.03ポイント)は上述した1700ポイント付近まで戻す場面があるとみている。


投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司