Today's Insight
2026/7/21 11:40作成
南アフリカ:中銀の前途は多難と考える理由
■ 7月金融政策会合での決定は、22日発表の6月消費者物価指数(CPI)次第で連続利上げか
■ 中銀は利上げへの姿勢を維持と予想、今後は原油価格、エルニーニョ現象の動向に注目
23日に南アフリカ(南ア)中銀(SARB)が金融政策会合(以下、会合)の結果を発表する。前回5月会合では約3年ぶりの利上げを決定したが、今回は連続利上げ決定か政策金利据え置きかで、金融市場の見方は分かれている。前回5月の利上げ決定に際して、6名の委員のうち利上げ支持は4名にとどまっていた。今回は会合前日の22日に公表される6月消費者物価指数(CPI)が注目され、市場予想では総合が前年比4.7%上昇と、SARBの物価目標許容範囲の上限(4%)を上回る見通し。物価動向が連続利上げへの思惑を強める可能性が高い。
ただ、今回の決定内容にかかわらず、SARBは当面利上げへの姿勢を維持するとみる。背景は、原油価格の底堅さとエルニーニョ現象の発生にある。3月以降の原油価格上昇が物価上昇圧力につながり、5月の利上げ決定に至った。原油先物価格(WTI)は6月中旬以降の下落で一時1バレル67ドル台を付けたが、足元で83ドル台に戻るなど先安観は和らいでいる。
今回のエルニーニョ現象について、日本の気象庁は今年秋にかけて続く確率を100%とし、さらに、冬にかけて過去最大規模に発達する可能性も予測している。直近では、2014年から2016年にかけて観測史上最大と目される規模に発達していた。この間、南アの総合CPI上昇率は2014年6月に前年比6.8%をピークにいったん鈍化したものの、2016年2月には同7.1%へ再上昇した。また、2013年末から2016年末までの騰落率では、WTIはマイナス45.4%と大幅な原油安で直近と異なる状況の一方、ドルランドは約31%のランド安進行となった。エルニーニョ現象が起こると干ばつ発生に伴う食料品価格上昇が懸念されるが、この時はランド安進行も南アの物価上昇を後押しした形だったと整理できる。なお、2024年(暫定値)の貿易統計では原油を含む「鉱物性燃料」の輸入比率が全体の約2割(19.3%)で、一般的に南アは原油輸入国とされる。そのため、原油価格上昇は交易条件悪化からランド安につながり得る。
SARBは5月時点の最悪シナリオで、インフレ率の6%超えと3回の追加利上げを示唆したが、現時点でその可能性は低いと考える。今年、ランド相場が対ドルで底堅さを保っている点は好材料だ。ただし、今後の原油価格、エルニーニョ現象の動向次第で実現可能性が高まる恐れは残る。SARBの金融政策の舵取りは前途多難といえよう。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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