Today's Insight
2025/10/30 11:55作成
FOMCレビュー:FRBは12月の追加利下げに慎重姿勢
■ 労働市場のさらなる減速に備えて緩和政策を維持、FRBは2会合連続で0.25%の利下げを決定
■ 米経済指標公表の遅れで実体経済の把握は困難ななかで、12月会合に向けて政策余地を残す
 米連邦準備理事会(FRB)は28、29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を9月に続き2会合連続で0.25%引き下げ、3.75-4.00%とした。また、2022年6月から開始したバランスシート縮小による量的引き締め(QT)を12月1日で終了することも決めた。
 声明では、雇用の伸びは鈍化したと改めて判断し、インフレ率は依然としてやや高止まりしているとの考えが示された。経済成長については緩やかだとしたが、見通しに関わる不確実性は依然として高いと説明。雇用に対する下振れリスクがここ数カ月で高まったと指摘した。そのうえで、目標達成を妨げる可能性があるリスクが生じれば、政策調整を適切に行う準備があり、労働市場、インフレ圧力・期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮するとした。
 パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、12月の利下げは既定路線ではなく、政策はあらかじめ決められた道筋に沿って進むものではないと述べた。今会合ではミランFRB理事が前回に続き0.50%の利下げを主張した一方、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は据え置きを支持。労働市場のリスクバランスや中立金利の水準を巡り、FRB内で意見の相違が生じた。同議長は、一部には利下げを見送る用意のあるFOMC参加者が増えているとも指摘しており、政府機関の一部閉鎖によるデータ不足がFOMC参加者の慎重姿勢を強めている可能性があるとの考えを示した。
 9月の消費者物価指数(CPI)ではエネルギーと食品を除くコアCPI上昇率は前年比3.0%へ伸びが鈍化したものの、関税引き上げに伴う物価上昇圧力は続いていることが確認された。10月分のCPIは11月中の公表はないと現時点で伝えられているほか、雇用統計については9月分ですら公表日が未定となるなど米実体経済の把握が困難な状況の下、当面は民間データなどに頼らざるを得ない。12月9、10日の次回会合で政策金利が据え置かれるとの判断は時期尚早で、目先は11月4、5日公表のISM製造業・非製造業景況感指数に注目が集まろう。
投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子



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