Today's Insight

2026/6/26 10:15作成

原油:需給は短期的に緩和するが、その後は不透明

■ 米イランの和平協議の紆余曲折により原油需給への思惑が交錯し、WTIは不安定な値動きに
■ 来年は大幅な供給超過となり、WTIは下押しされやすいか。原油調達先の見直しの動きを注視

 国際機関による6月時点の世界原油需給見通しが出揃った。

 2026年の世界の原油需要(日量)に関して、石油輸出国機構(OPEC、前年比117万バレル増→97万バレル増)、米エネルギー情報局(EIA、同18万バレル増→109万バレル減)、国際エネルギー機関(IEA、同34万バレル減→110万バレル減)はいずれも前月から大きく下方修正した。IEAは供給制約と原油高により需要が減退し、9月頃まで顕著な弱さが続くと見通した。原油供給(日量)については、EIA(同475万バレル減→708万バレル減)は下方修正し、IEAは同390万バレル減に据え置いた。以上から、EIAは387万バレル、IEAは104万バレルの需要超過との想定となった。米国とイランが暫定的な戦闘終結で合意し、60日間の本格的な和平協議に移行する流れとなり投資家心理が改善したほか、目先は滞っていた中東からの原油輸出が再開されることで短期的に需給が改善するとの思惑から、原油先物価格(WTI)は25日に1バレル68ドル台と、米国がイランに軍事攻撃を開始した2月末の水準に接近した。ただ、IEAは機雷の撤去や海峡管理の明確化、通航料などの問題が解消し湾岸産油国の生産量が完全に回復するまでは少なくとも数カ月以上かかるとしている。米国とイランの和平協議が合意に至るまでには紆余曲折も想定され、WTIが下落の勢いを増す展開は想定し難い。

 一方、2027年の世界の原油需要(日量)に関して、OPEC(前年比154万バレル増→173万バレル増)、EIA(同149万バレル増→246万バレル増)、はそれぞれ上方修正したほか、IEAは新たに同200万バレル増との見通しを示した。原油供給(日量)については、EIA(790万バレル増→1033万バレル増)は大幅に上方修正し、IEAは新たに同810万バレル増と予想した。以上から、EIAは400万バレル、IEAは506万バレルの供給超過が想定されている。世界的に調達先を中東から分散するなどエネルギー政策の見直しが進み、原油供給が膨らむとの見方もあり、WTIに下押し圧力がかかりやすくなるとみておくべきであろう。一方で、IEAは米国とイランの戦闘により日量1400万バレル超の原油が市場から失われたと推計しており、それにより大幅に減少した石油備蓄の復旧が進むほか、新たな戦略備蓄の構築に向けた機会となるかもしれないとしている。こうした需要回復が進展すれば供給超過幅が縮小し、WTIは下支えされることとなろう。


投資調査部長
山口 真弘

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