Today's Insight

2026/10/27 11:30作成

外国為替市場:気になる高水準のドル買いポジション

■ ユーロ安進行やキャリートレード解消に伴い投機筋を中心に高水準のドル買いポジションを構築
■ 米中間選挙後に予算協議などに対する不安感から、一時的にドル安の反応が強まる可能性も

 本稿では、外国為替市場でのドル買いポジションの積み上がりに注目したい。投機筋の一部動向を示すとされる米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、最新の10月20日終了時点でユーロ、ポンド、円、豪ドル、スイスフラン、加ドル、NZドル、メキシコペソ(ペソ)で構成される主要8通貨に対するドルのネットポジション(買いから売りを差し引く)が約40.6万枚まで積み上がっている。2010年以降では今年7月28日終了時点で確認された約52.5万枚が最大規模であるものの、一度縮小した後に同10月13日終了時点で約46.0万枚まで再度拡大するなど、投機筋を中心としたドル買いポジションは依然高水準を維持している。

 こうしたドル買いポジションの積み上がりは、ユーロ売りの進行に加えて15日発行のPRESTIA Insight*で確認したキャリートレード解消に合わせた状況の変化とみている。新興国通貨買いのキャリートレードの代表として、対ドルでペソの買い越し幅は9月8日終了時点(約9.5万枚)から直近(約1.7万枚)にかけて2025年2月以降の最低水準まで縮小している。また、先進国通貨間のキャリートレードの代表として、対ドルで円のネットポジションが9月1日終了時点でみられた約9.2万枚の売り越しから直近で約7.0万枚の買い越しに転じ、投機筋の円売り意欲は削がれている。ともに8月末までに上記2つのキャリートレードを志向して積み上げたポジションは、9月中旬以降に解消へ向かった。また、対ドルでのユーロのネットポジションは10月13日終了時点で約13.7万枚の売り越しまで拡大し、2016年11月以来の高水準となっている。フランス(仏)情勢を受けたユーロ売りの受け皿としてのドル買いの側面もありそうだ。

 以上から、仏財政・社会不安への警戒と合わせてキャリートレード解消の動きが、高水準のドル買いポジションの背景にあると解釈している。また、対ドルで過去最安値圏にあるフィリピンペソや7月下旬以来の安値圏にあるインドネシアルピア、大統領選挙後に一段安となったブラジルレアルなど、一部の新興国通貨安がドルを支えている面もあろう。ただし、11月初旬の米中間選挙を巡っては民主党が優勢で、トランプ政権(共和党)との「ねじれ状態」に陥るとの見方も広がる。今後、米国の予算協議などを巡る不安感が高まった場合はドル売りで反応するとみられ、ポジション調整が一時的にドルの値幅拡大をもたらす可能性を警戒したい。

* 「PRESTIA Insight 2026.10.15_外国為替市場:「キャリートレード」を巡る変化」を参照。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

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