Today's Insight
2026/8/26 11:00作成
円相場:海外投資家による日本株投資の影響
■ 海外投資家による旺盛な日本株投資は、直近にかけて円安が進んでいる要因の一つと考える
■ 主に為替ヘッジと日本株の堅調推移が背景と推測、海外投資家の動向には今後も注目したい
24日発行のPRESTIA Insight*に関連して、本稿では海外投資家による日本株投資の旺盛な状況が円相場へ与えている影響について整理したい。東京証券取引所がまとめた2市場(東京証券取引所、名古屋証券取引所)投資部門別売買状況では、海外投資家は昨年4月から今年8月第2週までの累計(現物のみ)で約17.4兆円の買い越しを記録している。
海外投資家が日本株への長期投資を行う場合、為替ヘッジ(ここでは円売り)を活用するケースが多いとされる。明確な統計はなく個々の投資家で事情は異なるものの、投資に対する為替リスク控除はポートフォリオ管理上、重要となる。特に、現時点では為替ヘッジプレミアムが上乗せされる状況である点も、為替ヘッジを促す理由となる。為替ヘッジコストに影響を及ぼす政策金利は、日本の1%程度に対して米国(3.50-3.75%)、ユーロ圏(2.25%)、英国(3.75%)など日本より高い。そのため、海外投資家は外貨からの日本株投資で為替ヘッジを試みた場合、「金利差+アルファ」のプレミアム分、リターンを積み増すことが可能といえる。
さらに、日本株が上昇すると追加の為替ヘッジが必要なことにも注目する。日本株の主要ベンチマークであるTOPIX(東証株価指数)は、直近(8月25日終了時点)までで昨年3月末対比でプラス54.0%。昨年末対比でプラス20.1%と良好に推移している。例えば、昨年末時点で海外投資家が米ドルから100億円分の日本株投資を為替ヘッジ付きで実施していた場合、日本株の資産価値だけで約120億円に増価し、計算上ではその増価分(約20億円)にも追加の為替ヘッジが必要になる。つまり、日本株の堅調推移が続けば、新規投資に限らず既存投資分に対しても追加の円売りヘッジが促され、円安進行につながっているとの見立てだ。
以上から、日本株の堅調推移と海外投資家の為替ヘッジは、直近にかけて円安が進んでいる要因の一つと推測している。円相場の材料としては、主に投機筋のポジション動向、利上げペースを巡る日銀の金融政策、高市政権の財政支出拡大路線に注目が集まる状況であるものの、こうした海外投資家による日本株投資の動向についても目配りしておく必要があると考える。
*「PRESTIA Insight 2026.08.24_日本:海外投資家の国債・株式売買動向」を参照。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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