Today's Insight

2026/10/26 12:15作成

10月ECB理事会は金利据え置きも、利上げ姿勢は維持

■ 10月のユーロ圏PMIは大きく低下し、これまでの回復基調に陰りがみえ始める
■ ただしインフレ高止まりでECBの利上げ姿勢は続こう。金利上昇の景気への影響を注視する必要

 23日に公表された10月のユーロ圏総合PMI速報値(51.9、前月比1.2ポイント低下)は低下し、6月以来の低水準をつけた。エネルギー価格の上昇に伴うコスト増に加えて、財政・政治への懸念や足元で広がる抗議活動を受けてフランスが落ち込んだことが重しとなった。製造業(52.4、同0.5ポイント低下)、サービス業(51.7、同1.3ポイント低下)ともに低下したが、サービス業の落ち込みが特に大きかった。価格指数をみると、投入価格指数は、エネルギーや燃料、輸送コストの上昇により2カ月連続で加速。一方で、販売価格指数の上昇ペースは先月より鈍く、企業の利益率の圧迫が懸念される。国別では、サービス業の弱さによりフランス(48.4、同2.7ポイント低下)が大きく低下し、好不況の境目となる50を下回った。10月の結果は、これまでの域内の回復基調に陰りがみえ始めていることを示す。

 もっとも、PMI総合指数は4カ月連続で50を上回っており、依然として景気は底堅さを保っているといえよう。ドイツ(52.3、同1.0ポイント低下)が低下しつつも高水準を維持しており、インフラ投資や財政支出の効果が経済を下支えしているようだ。消費者物価指数(HICP確報値)をみると、9月の総合指数(前年比3.8%上昇)は目標の2%を上回り続け、足元のエネルギーコスト上昇を受けて伸びを確実に高めている。また、原油・天然ガス価格は、9月の欧州中銀(ECB)スタッフ予測の逆風シナリオを上回る水準にある。

 こうしたなか、28、29日に開催されるECB理事会では、政策金利の据え置きが広く予想される。ECBは引き続きデータ次第・会合毎に判断する姿勢を示すだろうが、今会合では、足元の金利上昇に伴う金融環境の引き締まりが先行きの利上げの必要性をどの程度弱めるのか、ラガルド総裁の発言が注目される。底堅い景気や高止まりするインフレを受けて、欧州中銀(ECB)の利上げ姿勢は維持されているとみており、当行は引き続き12月の追加利上げを予想する。しかし来年以降の利上げ実施の有無は、今後の金利動向や中東情勢、天然ガス市場の動向に大きく左右されよう。また、フランスを中心に国債利回りの上昇が続くなか、市場の関心は、伝達保護措置(TPI)プログラムによる国債買い入れや、国債保有を縮小する量的引き締め(QT)の減速あるいは終了に集まっている。しかし、こうした措置が取られる可能性は現状では低いだろう。ECBは、フランス政府(および次期大統領候補)が必要な財政調整にコミットすることで市場を落ち着かせる責任を負っているとの立場を示すとみられる。実際、ECB理事会メンバーのウンシュ・ベルギー中銀総裁は、「スプレッド拡大やフランス国債利回り上昇は、政治プロセスに圧力をかける上で有益」と述べている。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加

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