Today's Insight
2026/7/3 11:30作成
日本株:日銀短観の利益見通しは例年通り下方修正
■ 日銀短観の利益見通しは例年通り下方修正、今後は持ち直しに期待
■ AIインフラ構築に向けた動きが進展、企業の慎重な姿勢により需要を取りこぼすリスクも
1日に公表された日銀短観(6月調査)によれば、大企業・全産業ベースの2026年度企業業績について前回3月調査からの変化をみると、売上高(前年度比1.5%増→3.7%増)は上方修正された一方、経常利益(同1.8%減→6.5%減)、純利益(同2.5%減→6.8%減)ともに下方修正された。売上高経常利益率(9.69%→9.39%)が下振れし、原材料・人件費などコスト高を織り込む動きがみられた。大企業の仕入価格判断は製造業(46→62)、非製造業(46→56)ともに引き上げられ、利益率低下につながる動きとなっているが、販売価格判断も製造業(28→40)、非製造業(32→40)ともに引き上げられており、企業が積極的に価格転嫁を進める様子がうかがえることから、利益率低下を強く警戒する必要はないだろう。輸出企業(大企業・製造業)の2026年度想定ドル円レート(148.88円→151.49円)は引き上げられたが、円安進行による業績改善期待は保たれている。
日銀短観では会社計画は期初に相当に保守的に置かれ、3月調査から6月調査にかけて利益見通しが下方修正されることは一般的であり、今後持ち直していくことが期待される。金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計(6月26日時点)によれば、TOPIX構成企業の向こう1年予想一株当たり利益(EPS)成長率は前年比12.6%増となっており、企業の保守的な業績見通しとは乖離がある。人工知能(AI)の裾野が生成AIからエージェントAIやフィジカルAIなどに広がり、世界的にAIインフラの構築に向けた動きが進展するなか、本邦AI関連企業にも需要拡大の恩恵が及んでいる。AI関連需要の拡大が持続するスーパーサイクルに入ったとの見方があるなか、半導体産業の構造的な景気循環(シリコンサイクル)を過剰に意識し、需要拡大の取りこぼしにつながるリスクがある。
TOPIXの向こう1年予想株価収益率(PER)は6月26日時点で16.3倍と、過去10年平均(14.1倍)を上回る水準で推移している。14-16倍が割高レンジとみなされてきたが、経営効率の改善や賃上げの定着などにより同レンジは15-17倍に水準が切り上がったと考えている。企業業績の拡大期待を織り込む健全な株高と評価され、割高感は感じられない。TOPIXの年末予想値を4100ポイント、上値余地は4400ポイントと想定している。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率は6月25日に18倍台に達し、過去10年平均(14.0倍)を大きく上回っているが、7月中旬以降の米主要企業の決算発表を受けてAI需要の拡大期待が強まれば、NT倍率が水準を切り上げて定着しても不思議はない。NT倍率は18倍程度での推移を見越し、日経平均の年末予想値は73000円、上値余地は78000円と想定している。
投資調査部長
山口 真弘



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