Today's Insight

2020/10/21 10:30作成

9月の国内投資家は海外株式への選好を明確にした

■ 9月は金融市場の変調にも関わらず、国内投資家の海外株式に対する選好姿勢は変わらず
■ 米国大統領選挙に対する警戒感は高まるが、国内投資家の投資姿勢に影響はないだろう

 本稿では、9月の国内投信市場動向から国内投資家の投資姿勢を確認する。9月は上旬に米国のハイテク関連銘柄の割高感が意識された。その後は、下旬にかけて欧米での新型コロナ感染再拡大や米国での追加経済対策法案を巡る協議が難航したことが嫌気され、市場のリスクセンチメントは悪化した。そのため、リスク資産の価格は変動幅拡大を伴いながら下落。日本や台湾など一部の国を除き、世界的に株価下落が起こった。

 そうしたなか、9月の国内投信市場は約4300億円の資金流入超と、3カ月連続での流入超過を記録。特徴としては、金融市場では8月のリスク選好ムードが一転、米国のハイテク関連銘柄の急落が実現した一方で、国内投信市場では資産別の資金流出入傾向に変化がみられなかった点と考える。最も流入額が膨らんだのは、3カ月連続で海外株式へ投資するファンドに対してであり、約5500億円の流入超だった。対して、8月と同じく、国内株式へ投資するファンドからは約1200億円、海外債券へ投資するファンドからは約500億円の資金流出超を記録。なかでも、国内株式へ投資するファンドのうち、グロース型からの資金流出額は4カ月連続で約1000億円超となった。総じて「海外グロース株買い・国内グロース株売り」の流れは変わらず、市場のリスクセンチメント悪化を目の当たりにしても、国内投資家の海外株式に対する選好姿勢は根強いことが印象付けられた。

 また、個別ファンドの資金流出入動向からも、国内投資家の投資姿勢は一段と明確になったことが確認できる。9月の資金流入上位25ファンドのうち、米国株式へ投資するファンドは18ファンド(バランス型ファンド除く)にも上った。対照的に、バランス型ファンドは4ファンド、国内資産へ投資するファンドはわずか1ファンドのみだった。ここまで米国株式への選好が進んだ背景は、根強い収益期待に加えて、対ドルの為替ヘッジコストやドル円レートの安定推移も考慮されているのではないか。6月以降、為替ヘッジコストは0.5%近辺で安定しているほか、ドル円は概ね104-108円のレンジ内にとどまる。新型コロナ禍以降、為替変動の損益に対する影響が小さい市場環境が続くなか、国内投資家にとって米国株式へ投資する際の心理的な障壁は下がっていると言えよう。米国大統領選挙が佳境に入り市場変動に対する警戒が高まっているが、国内投資家による海外株式への選好姿勢には影響を与えないとみている。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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