Today's Insight

2018/12/12 10:00作成

新興国市場の資金フローに変化の兆し

■ 新興国の株式・債券に対する海外からの資金流入の勢いは回復しつつある
■ 米国と新興国の関係悪化に歯止めがかかったことなどが一因か

 世界の約70カ国・地域、450の主要銀行が加盟する国際金融協会(IIF)は毎月、Portfolio flows databaseを更新しており、非居住者による新興国株式・債券の売買状況を確認することができる。これによれば、今年4月に米中貿易摩擦が過熱し始めたほか、アルゼンチンやトルコで通貨急落が発生したことなどが嫌気され、5月から10月までは資金流入と流出を行き来する不安定な状況であった。しかしながら、11月には株式と債券の合計では339億ドルの買い越しと、今年1月以来の資金流入額を記録した。新興国資産に対する海外からの資金流入の勢いは回復しつつある。

 その背景には、トルコをはじめとした主要新興国と米国の関係悪化に歯止めがかかったこと、米国債利回りの上昇に一服感がみられていること、などが挙げられよう。新興国通貨の強弱感を示すMSCI新興国通貨インデックスは9月上旬以降戻り歩調にある。また、悪化してきた新興国の企業業績見通しが安定化しつつあり、MSCI新興国株価指数は11月以降、割安感から底入れの兆しをみせている。米中貿易摩擦に対する先行き不透明感は拭えず、世界的な景気減速懸念がくすぶるなか、新興国資産の本格的な上昇を見込むのは早計と思われる。しかしながら、新興国市場の資金フローに変化の兆候がみられることは認識しておくべきであろう。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
山口 真弘