Today's Insight

2026/7/22 11:15作成

原油:需給を巡る思惑は中東情勢により振れやすい

■ 世界原油需給は時間の経過とともに供給超過に転じるとみられ、WTIは下押しされやすいか
■ 米イランの和平協議の紆余曲折により原油需給への思惑が交錯し、WTIは高水準で高下しよう

 国際機関による6月時点の世界原油需給見通しが出揃った。2026年の世界原油需要(日量)に関して、国際エネルギー機関(IEA、同110万バレル減→84万バレル減)は前月見通しから上方修正した一方、石油輸出国機構(OPEC、前年比97万バレル増→78万バレル増)と米エネルギー情報局(EIA、同109バレル減→122万バレル減)はいずれも下方修正した。原油供給(日量)については、EIA(同708万バレル減→423万バレル減)、IEA(同390万バレル減→370万バレル減)はそれぞれ上方修正した。IEAはホルムズ海峡を通じた輸送が回復し、湾岸産油国の生産も戻りつつあることを反映したと明らかにした。以上から、EIAは89万バレル、IEAは90万バレルの需要超過との想定となった。

 2027年の世界原油需要(日量)に関して、OPEC(前年比173万バレル増→194万バレル増)は上方修正、EIA(同246万バレル増→203万バレル増)は下方修正、IEA(同200万バレル増)は据え置きと、まちまちとなった。原油供給(日量)について、EIA(同1033万バレル増→795万バレル増)、IEA(同810万バレル増→750万バレル増)はそれぞれ下方修正した。以上から、EIAは503万バレル、IEAは460万バレルの大幅な供給超過に転じる想定となっている。

 OPECプラス*¹の有志7カ国は8月に自主減産幅を日量18.8万バレル縮小することで合意した。残る減産枠は同20万バレルで自主減産の終了がみえてきており、今後は年内で期限を迎える同200万バレルの協調減産の取り扱いに市場の関心は移行する。世界的に調達先を中東から分散するなどエネルギー政策の見直しが進み原油供給が膨らむとの見方もあり、原油先物価格(WTI)に下押し圧力がかかりやすくなるだろう。一方で、IEAは米国とイランの軍事衝突により日量1400万バレル超の原油が市場から失われたと推計しており、それにより大幅に減少した石油備蓄の復旧が進むほか、新たな戦略備蓄の構築に向けた機会となるかもしれないとしている。こうした需要回復が進展すれば供給超過幅が縮小し、WTIは下支えされるだろう。

 足元では米国とイランの軍事攻撃の応酬が続くなかホルムズ海峡や紅海での緊張が再び高まっている。恒久的な戦闘終結を含む両国の和平協議は一進一退となり、世界原油需給見通しは中東情勢により大きく変化しうる状況が続くとみられる。WTIは両国の軍事衝突が始まった2月末(1バレル67ドル台)を上回る水準での上下動が想定される。

*¹ OPECプラス=石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する組織


投資調査部長
山口 真弘

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