Today's Insight

2019/8/21 12:30作成

イベント後のドル円を考える

■ ドル円は長期的にもドル安・円高の着地点を探ることになろう。
■ 日米ユーロ圏の緩和策にかかる円高への圧力は変わらず、ドル円は105円割れへ。

 「夏枯れ相場」も終盤に差し掛かり、ドル円は8月12日に付けた105円05銭が「夏底」になるかどうか、21-22日の日米閣僚級貿易交渉、22-24日開催の米ジャクソンホールでの年次シンポジウム、24-26日開催のG7ビアリッツ(仏)・サミット、など月内のイベントが待たれる。もっとも、ドル円は2015年6月高値125円86銭をピーク、2016年6月安値99円02銭をボトムに上昇・下降を繰り返す「保ち合い」が継続しているのか、下落基調に転じたのか見極めが重要。米景気後退懸念が強まるなか米国長短金利差の逆転に加え、米日実質金利差も2016年11月以来のマイナス圏に陥っており、長期的にもドル安・円高の着地点を探ることになろう。

 米ホワイトハウスは、景気支援に向けた給与税減税の検討について、現時点では議題にないと米大手紙の報道を否定。一方、トランプ米大統領は、株式・不動産など資産売却の際に所得価格をインフレ調整し、物価による値上がりの分は税金が控除される、キャピタルゲイン税の税率引き下げの可能性を示唆した。ブッシュ元大統領が2003年の税改正で実施、2010年までの時限措置として法案が成立した。しかし、その恩恵は富裕層に限られたほか、財政赤字拡大につながった。大統領令で改正されても、野党民主党は批判的で、異議申し立てで法廷に持ち込まれる可能性がある。中国や米連邦準備理事会(FRB)に対する圧力と同様、2020年の米大統領選での再選を狙う同大統領の焦りの色がみえる。

 FRBは9月17、18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で7月に続き追加利下げに踏み切るかどうか。市場では年内残り3回の会合での複数回利下げを織り込むが、同12日には欧州中銀(ECB)も政策金利を引き下げる公算。ECBも年内3回の理事会を残しているが、政策金利はすでにマイナス圏。マイナス金利の深掘りに対する副作用が懸念されており、両中銀の利下げ余地を踏まえれば、ドル安・ユーロ高の展開も想定される。日銀は同18、19日の会合で追加緩和を講じる可能性があるが、円高に歯止めを掛けるほどの抜本策への期待は低い。ドル円は昨年3月安値104円56銭を下抜ければ、100月移動平均線103円21銭が下値メドに。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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