Today's Insight
2026/11/2 11:20作成
日本:10月日銀金融政策決定会合レビュー
■ 日銀は物価動向への警戒を改めて示すなど、今回の決定は「タカ派的な政策据え置き」と解釈
■ ETFの売却ペース加速の決定はサプライズだが、現時点での株価への影響は限られよう
10月29、30日に日本銀行(以下、日銀)は金融政策決定会合(以下、政策会合)を開催し、政策金利である無担保コール翌日物は事前の予想通りに1.25%程度で据え置かれた。今回の注目点は主に(1)基調的な物価上昇率の評価、(2)「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」での景気・物価見通し、(3)植田日銀総裁の記者会見、の3点とみていた。結論から記すと、日銀は物価動向への警戒を背景に、追加利上げへ向けた姿勢を明確にしたと解釈する。
上記3点を確認する。(1)日銀は展望レポートで、消費者物価の基調的な上昇率は2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準、と評価した。併せて、別資料で参照する各種指標の説明を加えた。(2)政策委員の予想中央値では、消費者物価指数(CPI)上昇率見通しのうち、2027年度は生鮮食品を除くコアCPIが前年比2.4%から2.6%へ、生鮮食品・エネルギーを除くコアコアCPIが同2.6%から2.7%へそれぞれ上方修正された。一方、経済成長率見通しでは、2026年度が同0.6%から0.7%へ下方修正、2027年度が同0.8%から0.7%へ上方修正され、概ね前回7月時点の見通しを維持。景気・物価のリスクバランスは、景気が「上下にバランス」に対して物価は「上振れリスクの方が大きい」としたうえ、特に見通し期間前半の上振れリスクを指摘し、物価上昇への警戒を明確にした。(3)植田日銀総裁の記者会見では、消費者物価の基準的な上昇率が概ね2%程度に達したとの評価について、全会一致と述べた点を押さえておきたい。前回9月の利上げ決定時には2名の反対票が出たが、今回の消費者物価を巡る判断では政策委員会内の足並みが揃った。また、金融市場の一部では利上げについて「次回も含めて毎会合議論する」と言及した点も注目されている。直接のガイダンスではないが、物価上振れの抑制に向けた姿勢を改めて示すものと解釈された可能性が高い。
以上から、今回は12月の利上げ実施の可能性を残した「タカ派的な政策据え置き」と整理できよう。11月の日銀審議委員の講演では、12日に予定されている9月の利上げ提案に反対した浅田委員に注目したい。なお、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の売却ペース加速の決定はサプライズだった。簿価ベースで従来は年間3300億円程度を想定していたが、来年1月より年間8600億円程度へ加速する。ただ、変更後でも市場全体の売買代金に占める年間売却額(時価)は0.1%程度との想定から、現時点での株価への影響は限られる見込み。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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