Today's Insight

2019/2/13 12:00作成

国内不動産市場:オフィス好調も、住宅販売には陰り

■ オフィス市場は賃料、契約率ともに堅調。マンション市場は価格高騰により、契約率が低迷
■ 東証REIT指数は堅調。住宅指数が上昇をけん引しているが、住宅販売の不振には注視が必要

 7日公表の1月の全国主要都市のオフィスビル市況調査によると、オフィスビルの平均空室率は、主要7ビジネス地区(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡)全てで、2001年以降の最低水準にあり、オフィスビル需給は全国的に極めて逼迫した状況が続いている。1坪当たり平均賃料も上昇基調が明確となり、これまで上昇を主導してきた東京に加えて、札幌、福岡で、空室率が下げ止まり、賃料上昇ペースが加速している。直近では名古屋でも賃料上昇圧力が強まっている。東京都心部では2018年以降の大規模オフィスビルの竣工ラッシュが懸念されている(2018年問題)が、現時点で悪影響はみられない。景気回復のほか、企業のオフィス集約需要などが、供給増を吸収している模様。将来的には、賃料上昇に伴う需給調整の進展が見込まれるが、投資家の立場からは、当面は賃料上昇の恩恵を享受できるだろう。

 一方で、新築マンション市場には暗雲が立ち込めている。昨年12月の首都圏新築マンション初月契約率は49.4%で1991年8月以来の50%割れとなった。2018年通年でも62.1%にとどまり、好不調の分かれ目の70%を3年連続で下回る(2007-2009年以来となる3年連続70%割れ)。販売在庫も2018年末時点で9552戸(前年比34.4%増)へと急増し、販売不振が鮮明である。対照的に、1㎡当たり単価はバブル崩壊直後の1991年以来の高水準となる86.9万円で6年連続の上昇(前年比1.2%、6年累積34.7%上昇)。家計所得の伸びを大きく上回る販売価格の高騰が、マンション需要の減退の一因と考えられる。

 東証REIT指数は昨年来、堅調推移が続く。用途別でみると、オフィス、商業に比べて景気変動の影響を受けにくい住宅が最近の価格上昇をけん引している。安定的な賃料収入が改めて評価され、主に海外投資家が買い越しを続けている。足元も分配金利回りは3%台後半を保っており、相場の過熱感はみられない。もっとも、上記のとおり住宅市場には陰りが見え始めているため、今後の賃貸価格などへの影響には注視が求められよう。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏