Today's Insight

2026/10/28 10:50作成

中国:外需がけん引し政府目標の成長率に復帰

■ 7-9月期は外需主導で政府目標の成長ペースに復帰し、年初来でも政府目標レンジにとどまる
■ 内需低迷は続いており、AI需要の一巡によって2027年は成長減速がより明確に

 中国では先週19日に7-9月期および9月の主要経済指標が発表された。

 7-9月期の実質GDP成長率(前年比4.5%、前期比1.2%)は、2四半期ぶりに政府目標(4.5-5.0%)の成長ペースに復帰した。1-9月期の年初来累計(前年比4.6%)では引き続き政府目標の範囲内で推移し、1-6月期(同4.7%)からは一段と目標レンジの下限に近づいた。年初来累計では、最終消費支出や固定資本形成の寄与度が低下した一方、純輸出の寄与度が上昇した。一人当たり実質消費支出(同2.7%増)、一人当たり実質可処分所得(同4.4%増)はいずれも年初から政府目標を下回るペースの増加にとどまり、内需が伸び悩んでいることを象徴している。

 9月の主要経済指標では、鉱工業生産(前年比5.5%増)、小売売上高(同1.1%増)、サービス業生産指数(同4.8%上昇)の増加・上昇ペースが加速した。ハイテク製品を中心に輸出(同36.3%増)が大幅に増加するなかで生産は底堅さを保ち、消費はサービスを中心に減速が一服した。固定資産投資(農村部除く、年初来同7.2%減)は知的財産権やハイテク分野の投資が増加しているものの、経済構造の転換が進むなかで不動産開発、インフラ投資の大幅減少が続いている。不動産市場では、主要70都市新築住宅価格(ロイター算出、前年比2.8%下落、前月比0.1%下落)は緩やかな下落にとどまっているものの、不動産開発投資(年初来前年比20.6%減)、不動産販売(床面積ベース、年初来同13.2%減)の大幅減少には歯止めがかからず、調整に底入れの兆しはみられていない。

 中国文化観光省の集計では、国慶節期間中(10月1-7日)の旅行者1人当たり消費額は4年ぶりの低水準にとどまり、家計の消費抑制姿勢の根強さがうかがえる。消費は9月にやや持ち直したものの、都市部を中心に所得が伸び悩んでおり10-12月期も消費低迷が続くことが想定される。世界的な人工知能(AI)需要の急増によって純輸出が成長をけん引し、実質GDP成長率は9月まで政府目標の範囲内にとどまっている。ただし内需に限れば成長ペースは基調的に減速しており、10-12月期も内需低迷が続く場合は政府目標の確実な達成に向けて政策支援が打ち出される可能性が高まろう。不動産市場の調整に加えて、ベース効果によりAI需要の増勢が鈍化するため、2027年は成長減速がより明確になることが見込まれる。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏

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