Today's Insight

2026/5/22 12:00作成

日本:長期金利上昇のなかで進むQTの議論

■ 1Qの内需は堅調。先行きの景気減速リスクはあるも日銀はインフレリスクから早期利上げを模索
■ 6月会合は利上げ是非に加え、長期金利上昇に配慮した国債買い入れ減額停止も議論されよう

 19日に公表された1-3月期の実質GDP成長率(1次速報値、前期比年率2.1%)は個人消費(同1.1%増)や設備投資(同1.1%増)の増加傾向が維持され、内需が引き続き堅調であることが示された。財輸出(同7.1%増)の増加による純輸出のプラスも成長率を押し上げた。ただし先行きは、中東紛争に関連した供給制約が内需を圧迫するリスクはくすぶっている。在庫寄与は2四半期連続で減少しており、在庫が限られるなかで中東情勢によるサプライチェーンの混乱から供給制約に直面すれば、企業活動の足かせとなるリスクがあるだろう。また、政府の原油高対策によって消費者物価(4月CPI総合:前年比1.4%上昇)の上昇は抑制されているものの、消費者マインドの悪化は個人消費の重しとなりうる。

 こうした先行きへの懸念はあるものの、足元の日銀は景気下振れリスクよりも物価上振れリスクをより懸念しているようだ。14日の増委員や21日の小枝委員の発言でも、政策金利の引き上げを進めて物価高への対応を進めるべきとの利上げに前向きな主張がみられた。日銀は6月15、16日の日銀金融政策決定会合での利上げを模索しているとみられる。

 また日銀は、6月会合において政策金利引き上げの是非に加え、国債買い入れ減額の方針についても協議する予定だ。すでに決定している2027年3月までの減額計画では、日銀の国債買い入れ額は、2026年4-6月期の約2.7兆円から四半期ごとに2000億円ずつ減額されていき、2027年1-3月期に約2.1兆円となる計画が示されている。一方で、2027年4月以降の計画はまだ示されておらず、6月会合で示される方針が注目される。日銀は依然として国債の約5割を保有する最大の主体であり、日銀の国債買い入れ減額ペースの変更が国債の需給に影響を与える可能性があろう。これに関して、日銀は21、22日の日程で銀行や証券会社など債券市場の参加者との意見交換を実施しており、21日にはそれに先立って実施された市場参加者への国債の買い入れを巡るアンケートの結果が公表された。アンケートでは「減額を停止」から「減額を継続」まで幅広い意見が示されており、紹介された9つの意見のうち、昨年は1つしかみられなかった「減額停止」を求める意見は3つに増加した。また、「減額を継続」との意見のなかでも、緩やかなペースでの減額を推奨する意見もみられる。足元では、原油高によるインフレ懸念や政府の補正予算を巡る財政悪化への警戒感から10年国債利回りが急上昇しており、20日には一時1996年10月以来の水準をつけた。日銀が長期金利への配慮する形で「減額停止」を決定し、現行の2兆円程度の買い入れが続く可能性も考えられるだろう。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加

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