Today's Insight
2026/2/9 12:10作成
日本経済:自民党が歴史的圧勝
■ 8日投開票の衆院選では、自民党単独で衆院定数の3分の2を上回る議席数を獲得する圧勝
■ 今後の注目は、食料品減税や給付付き税額控除導入の議論で、市場の承認が得られるか
8日投開票の衆院選は、自民党の歴史的な圧勝となった。高市首相の高い支持率が議席増に大きく貢献し、自民党は事前の予想を大きく上回って、単独で衆院定数の3分の2(310議席)を上回る316議席を獲得。日本維新の会を含む与党では352議席を獲得した。これは、1986年中曽根政権時の300議席をも上回る歴史的大勝だ。一方、野党第一党の中道改革連合は議席数を公示前の3割に減らし大敗した。今回の衆院選で結果を踏まえると、政権の政策運営の自由度は大きく高まった。自民党は参議院で否決された法案を、衆議院で再可決することが可能になる。2026年以降の赤字国債発行の制約になると懸念されていた特例国債法についても、今後は参議院で否決されても衆議院で再可決できることになる。さらに、衆議院での憲法改正発議も可能だ。2024年の衆院選と2025年の参院選での連敗から生じた少数与党としての政策運営の難しさは、これで大きく解消されるだろう。
今後の注目は、消費減税の議論に集まるだろう。特に政権が掲げる積極財政に対し、市場からの信任が得られるかは大きな課題となろう。選挙後のインタビューで高市首相は、2年間の食料品への消費税減免や給付付き税額控除の導入について、超党派の国民会議を設置して議論を進めるとの見解を述べた。選挙戦において、高市首相は消費減税を「悲願」としたものの、自民党内でも反対意見は多い。今後は国民会議で議論が行われるが、自民党圧勝の結果、野党の反発による議論の先送りも想定しづらく、消費減税の実現可能性は高まったとも考えられる。ただし、自民党の鈴木幹事長は8日、消費税減税は「給付付き税額控除を作るまでの措置」と位置づけられ、2年間の「線はしっかりと守っていきたい」との見解を示した。「給付付き税額控除」は、所得税額から一部を差し引いて家計への還元を行う税額控除と、税額が十分ではない低所得者への現金給付を組み合わせた制度だ。インフラ構築には時間を要するが、一時的な物価高対策にとどまる消費減税とは異なり、物価変動に柔軟に対応した効率的な家計支援策が可能になる。こうした税と社会保障の抜本的な改革を加速させることが望まれる。
日銀の利上げに向けては、積極財政を志向する高市政権との緊張関係が残る。1月29、30日の日銀金融政策決定会合における主な意見*では、物価の上振れや円安・長期金利の上昇といった圧力に対し日銀が警戒感を強めている様子が示された。引き続き円安進行などの市場の動きが、政府と日銀間の利上げに向けた対話を後押しする可能性は考えられよう。
* 詳細は、「PRESTIA Insight 2026.02.03_日銀は市場圧力の高まりを警戒」を参照。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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