Today's Insight

2025/9/11 11:40作成

9月FOMC、日銀金融政策決定会合プレビュー

■ 9月FOMCでは今年初めての利下げ実施の公算が大きい、SEPでは政策金利見通しに注目
■ 日銀金融政策決定会合は政策金利据え置きとみる、植田日銀総裁の記者会見に注目

 本稿では、9月中旬に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合(以下、日銀政策会合)について整理しておきたい。米連邦準備理事会(FRB)は利下げ、日銀は利上げへ、それぞれ向かう方向は変わらないとみられる。

 9月FOMCは16、17日に開催される。市場予想ではFF金利の誘導目標(4.25-4.50%)が25bps引き下げられる見通しであり、決定されれば昨年12月FOMC以来となる。FRBは8月に開催されたジャクソンホール会議以降、議会より課されている二大責務(物価の安定、雇用の最大化)のうち、雇用の下振れリスクへ比重を傾けたと金融市場で解釈されている。そうしたなか、7月求人労働異動調査(JOLTS)、8月雇用統計などで米労働市場の鈍化が確認され、9月利下げ実施の思惑が強まった。本日(11日)、8月消費者物価指数(CPI)が公表されるものの、市場予想から大きく乖離しなければ、今会合での利下げ実施は変わらないとみる。今後の利下げペースや利下げ幅の手がかりとして、四半期に一度更新されるFOMC参加者の経済見通し(SEP)に注目したい。なかでも、FOMC参加者の政策金利見通しの予想中央値は、前回6月時点で2025年末が3.9%、2026年末が3.6%。2027年末が3.4%だった。いずれも下方修正される可能性が高いとみるが、現時点で中立金利水準と目される3.00%程度までの早期利下げが示唆されれば、米国株高・米金利低下・ドル安で金融市場は反応しよう。

 9月日銀政策会合は18、19日に開催される。市場予想では、政策金利である無担保コールレート(翌日物)の誘導目標は5会合連続で現行の0.50%程度で据え置きの見通し。8月28日の中川審議委員と9月2日の氷見野副総裁は日米通商交渉での関税率設定後初めての講演を行い、ともに従来通りの「日本銀行の経済・物価の見通しが実現していくとすれば、金融緩和の度合いを調整する」方針と、関税を巡る不確実性の高さを理由に追加利上げへ慎重な姿勢を示した。一方で、4-6月期実質GDPが前期比年率2.2%増へ上方改定されたほか、7月毎月勤労統計で現金給与総額や所定内給与などで賃金押上げが示され、日銀の金融政策正常化を後押しする経済指標が散見される。政治情勢を巡る不透明感はあるが、仮に植田総裁が記者会見で従来の方針を撤回した場合、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表される10月日銀政策会合へ向けて、利上げへの地ならしを開始したとの見方が広がる見込み。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

プレスティア インサイトについて

マーケット情報