Today's Insight

2026/8/10 11:15作成

米国:米銀は選別的に融資に取り組む姿勢

■ 企業向け融資需要の回復は生産活動の強まりを示す経済指標と整合的
■ 米銀は慎重な融資姿勢を保ちつつ、選別的に融資に取り組んでいることが示唆される

 米連邦準備理事会(FRB)は3日に、最新のシニア・ローン・オフィサー・オピニオン・サーベイ(SLOOS)を公表した。これはFRBが米金融機関の融資担当者に対して3カ月前と比較した融資基準や資金需要などの変化について四半期ごとに聞き取り調査を行うもので、調査対象となる金融機関は6月17日に調査票を受け取り、7月2日までに回答した。

 大・中企業(年間売上高5千万ドル以上)向け商工業ローンの融資需要DI(全回答に占める需要増加の割合-需要減少の割合)はプラス16.1と前回の4月調査(プラス4.8)からプラス幅が拡大し、融資需要の一段の増加を示唆した。個別行の回答内容をみると需要が強まったとの回答数の増加が目立ち、設備投資や在庫の積み増しに対する意欲が高まっており、生産活動の拡大を示す経済指標と整合的である。また、企業の買収・合併(M&A)への意欲の回復している様子が確認された。融資基準DI(全回答に占める厳格化の割合-緩和の割合)はゼロと前回調査(プラス8.1)から低下した。厳格化基調が一巡し、貸付限度額の拡大や貸出スプレッドの縮小が行われた。前四半期比で融資基準を緩和したと回答した理由については引き続き他の金融機関やノンバンクとの競争の激しさが指摘されている。

 家計向けでは、クレジットカードの融資需要DI(マイナス6.0→プラス2.2)は増加領域に転じた一方、融資基準DI(プラス2.0→プラス6.7)では厳格化度合いが高まった。融資需要が低調ななか延滞の増加を受けて、融資基準の厳格化姿勢を強めた。また、自動車ローンの融資需要DI(マイナス9.8→マイナス11.4)は需要減少の勢いが強まり、融資基準DI(マイナス2.0→マイナス4.5)では緩和方向が継続した。融資基準の緩和による融資需要喚起の効果は限られている模様である。

 今回は融資基準について追加でヒアリングされた。2005年以降の変動レンジの中央値と比べ、商工業ローンは緩和的な水準である一方、その他のカテゴリーでは厳格な水準にあることが示された。ノンバンク金融機関(NDFI、Non-Depository Financial Institutions)向け融資については全カテゴリー(住宅ローン・個人・事業向け信用仲介、プライベートエクイティ(PE)ファンド、その他向け)で2011年以降の変動レンジのなかで最も厳格な水準にあることが示された。今回のSLOOSでは米企業の設備投資の活発化が示唆された一方、クレジットカードの融資基準が厳格化し低所得者層を取り巻く環境が厳しさを増している様子がうかがえる。金融機関が慎重姿勢を保ちつつ、選別的に融資に取り組んでいることが示唆される。


投資調査部長
山口 真弘

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