Today's Insight
2026/7/7 10:40作成
米国株:半導体株再浮上のきっかけを探る
■ 米国株は人工知能(AI)・半導体から景気敏感株や出遅れ株に物色先が変化している
■ 半導体需要の強さはコスト上昇要因と解釈され、指数ベースでは悪材料となる可能性も
米国株のセクター別の動向を確認すると、4月以降月替わりに物色動向が変化していることが確認できる。S&P500は米国とイランの軍事攻撃を受けて3月に5.1%下落したが、和平協議に移行した4月には10.4%上昇し、11セクターのうちエネルギーとヘルスケアを除く9セクターが上昇するなど幅広く買いが入った。5月には和平協議が難航するとの見方も浮上し上昇したセクターは3セクターにとどまったが、S&P500は5.1%上昇した。大規模クラウド業者(ハイパースケーラー)の巨額設備投資による人工知能(AI)インフラ構築が追い風となり、情報技術(IT)セクター(4月17.4%上昇、5月15.9%上昇)にけん引される展開となった。その後、6月は同セクターが3.3%下落と調整色が強まったものの、米国とイランが本格的な和平協議に移行し米国の景気悪化やインフレ上振れに対する懸念が大きく和らいだことを手掛かりに、景気敏感株や出遅れ銘柄に物色が及び、S&P500は1.1%下落にとどまっている。投資家のリスク許容度は低下していないと判断される。
6月に生じたITセクターの調整の引き金となったのは、(1)ハイパースケーラーが構築したAIインフラを貸し出すと表明したことで過剰投資への懸念が広がったこと、(2)半導体不足で値上げを迫られた米スマートフォン大手が中国企業からの半導体調達を検討していると報じられ、中国以外の半導体企業の価格支配力が弱まるとの懸念が強まったこと、などが挙げられよう。ただ、(1)はハイパースケーラーの収益源の多様化とみることもでき、(2)については半導体需要の強さが確認されれば払拭されると思われる。韓国半導体大手が7日朝に発表した4-6月期暫定決算では、売上高・営業利益ともに市場予想を上回る見通しとなった。台湾半導体受託生産大手は10日に6月月次売上高、16日に4-6月期決算を発表するほか、オランダの半導体製造装置大手も15日に決算発表を行う予定で、半導体株上昇再開の手掛かりとなるか見極めたい。半導体企業の売上高営業利益率の大幅上昇は利益拡大要因として好感されようが、半導体価格の高騰が継続することが示唆されたとも解釈され、半導体の買い手となるハイパースケーラーなどにはコスト上昇要因として利益が圧迫されるとの不安につながるだろう。ハイパースケーラーの決算発表が(1)の懸念を払拭するか注目される。
投資調査部長
山口 真弘



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