Today's Insight
2026/10/8 11:00作成
米国:予防的利上げを強調し連続利上げには慎重な姿勢
■ 物価見通し上振れの可能性が高まったことが9月15、16日のFOMCでの利上げの理由であった
■ 追加利上げの必要性に参加者の見解は概ね一致するものの、物価認識には違いもみられた
昨日、9月15、16日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表された。全会一致で0.25%の利上げが決定され、ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の会見で、政策判断の基準とした基調的なインフレ率が明確かつ十分な速度で目標に向かうと確信が得られないことを利上げの理由として説明した。また、明確なガイダンスを示さない方針を堅持しつつも、「金融環境全般を抑制的と表現することは難しい」と述べ、さらなる利上げの必要性を認めた。ウォーシュFRB議長就任以降、FOMC声明文が簡素化され金融政策に関するガイダンスが撤回されるなか、今後の金融政策の手掛かりを探るうえでFOMC議事要旨に記される参加者の認識や議論の内容が従前よりも注目されるようになっている。
FOMC議事要旨では、7月28、29日のFOMCで政策据え置きを支持した大半(most)の参加者が今回利上げ賛成に転じた理由が示された。7月28、29日開催分のFOMC議事要旨からは、次回(9月)のFOMCまでに明らかになる情報により見通しに対する不確実性が低下すること、前年の関税引き上げや今春のエネルギー価格高騰の影響の一巡により2026年後半にインフレが鈍化することが見込まれていたことが確認されている。9月15、16日開催分のFOMC議事要旨では、多く(many)の参加者が、需要が予想以上に強い場合、もしくは追加的な供給ショックが発生した場合に、インフレ率が目標を持続的に上回ることへの保険として政策金利の誘導目標をより高い経路にすることが賢明であると強調したことが明らかとなった。7月の段階で、政策据え置きを支持した参加者を含めてインフレが鎮静化しなければ利上げが必要であるという認識が示されており、7月以降の原油価格の再上昇、人工知能(AI)関連需要拡大などで物価見通し上振れの蓋然性が高まったことが全会一致での利上げに傾いた背景と整理できる。2名(a couple of)の参加者は中立金利が従前より上昇している可能性に言及し、複数(several)の参加者は現在の政策金利は抑制的ではないか抑制の程度が小さいと評価した。大半(most)の参加者が年末までに1回の追加利上げが適切と判断している。ただし、参加者の間では、インフレ上振れの主因をめぐり、エネルギー価格などの供給要因を重視する見解と、AI関連投資を中心とする需要の強さを重視する見解が併存している。連続利上げを積極的に検討している様子はうかがえず、今回の利上げがリスク管理と位置付けられたことを踏まえると、10月の利上げは見送られる可能性が高いだろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
祖父江 康宏



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