Today's Insight

2026/7/16 11:00作成

米国株:4-6月期決算プレビュー

■ 半導体価格高騰でAIインフラ構築に向けた動きが鈍ると解釈され、株価の重しとなる可能性
■ 大規模クラウド業者(ハイパースケーラー)の決算発表が市場の流れを左右する

 14日の金融大手を皮切りに、米主要企業の4-6月期決算発表が本格化した。米金融大手の決算は人工知能(AI)関連投融資の増加や市場関連収益の拡大を背景に良好な結果となり、決算シーズンの滑り出しは好調と評価される。今週は各種金融のほか、オランダの半導体製造装置大手や台湾の半導体受託生産大手、第4週(20-24日)にはハイテク・半導体、電気自動車、投資会社大手、第5週(27-31日)にはハイテク・半導体、スマートフォン、EC、物流、など、注目企業の決算発表が目白押しとなる。「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク大手7社のうち6社が7月中に決算発表を終え、いったん山場を迎える。その後も小売や半導体大手が続き、8月26日のマグニフィセント・セブンの残り1社の半導体大手に至るまで、米国株式市場は決算発表を手掛かりに動意付くことが見込まれる。

 金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計(10日時点)によれば、S&P500構成企業の4-6月期予想一株あたり利益(EPS)成長率は前年比23.7%と、4月初め(同19.2%)から上方修正されている。セクター別ではエネルギー(同32.8%→117.4%)や情報技術(IT、同50.2%→65.5%)の上方修正が目立ち、寄与度をみるとITが15.5%ポイント、エネルギーが4.7%ポイントと大半を占め、残る9セクターの合計で3.5%ポイントにとどまる。エネルギーの大幅増益はエネルギー価格の急騰によるもので、ITセクターの決算内容と業績見通しが注目される。AI向けも含め半導体企業の業績拡大への期待はすでに高まっており、想定を上回る結果となるか見極めたい。ただし、半導体価格の高騰により関連企業の強い業績が確認されても、コスト高によりAIインフラ構築に向けた動きが鈍ると解釈され株価の重しとなる可能性は認識しておきたい。大規模クラウド業者(ハイパースケーラー)の決算で巨額の設備投資が継続するか、設備投資の収益化や企業財務の悪化に対する懸念が和らぐか、などが今四半期決算発表の最大の注目点となろう。

 向こう1年予想株価収益率(PER)は3月下旬から足元まで20倍ちょうど前後で推移している。ITセクターは21倍を中心に同様の動きとなっており、AI関連の収益拡大に対する市場期待が調整され、割高感は感じられない。AIインフラ構築に向けた需要拡大に対する期待と不安が入り混じり、株価は短期的には下落局面をこなしつつ上値重く推移するとみる。ただ、企業業績全体としては堅調な推移が保たれ、中期的には引き続き業績拡大ペースに沿った株高基調を想定している。S&P500の年内の上昇余地を8200ポイント、年末予想値を7700ポイントとしている。


投資調査部長
山口 真弘

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