Today's Insight
2026/6/19 13:15作成
日本:日銀のQT進展に伴う国債需給の変化
■ 日銀は2027年4月以降の減額を停止。しかし国債の償還によりQTは今後も進展
■ 国債の民間移転は時間を要し、国債市場の需給環境は長期債を中心に厳しい状況となる可能性
6月の日銀金融政策決定会合では、政策金利の0.75%から1.00%への引き上げが決定された。国債買い入れについては、2027年1-3月期まで買い入れを減額する現行方針が維持された一方、2027年4月以降は減額を停止し、月額2兆円の買い入れを維持することが決定された。日銀の保有国債残高は、2024年2月の601兆円をピークに、2026年6月533兆円までに約11%減少してきた。日銀の試算をもとにすれば、2030年3月までに約360兆円から370兆円まで減少することになる。買い入れ減額の停止で量的引き締め(QT)のペースは緩やかになるものの、日銀の保有国債残高は償還額の大きさからかなりの速さで減少することになるだろう。国債の民間移転が円滑に進むかが重要な焦点となる。
日銀のバランスシートの縮小(資産側・国債と負債側・当座預金の減少)に伴って、民間銀行の国債保有の増加(バランスシート上では、資産側・日銀当座預金の減少と国債の増加)が期待されるが、足元あまり進展していないようだ。日銀公表の「民間金融機関の資産・負債」をもとに都市銀行の2025年度のバランスシートをみると、資産側の(日銀当座預金を含む)預け金は前年比約39兆円減少した一方、国債残高は同0.4兆円減少。見合いの負債側では、売現先勘定が同20兆円、日銀借入金が同15兆円それぞれ減少した。QTによる都銀の当座預金の減少は、国債投資の拡大ではなく、レポ調達や日銀借入の縮小を伴う資産・負債双方の圧縮として進んだことが示唆される。資産・負債管理の観点から都市銀行は特に長期・超長期国債への投資には慎重とみられ、利上げ終了が示唆される局面にならない限り、国債保有を大きく拡大させにくいだろう。国債市場の需給環境は厳しい状態が続く可能性がある。
またQT進展に伴い国債市場の需給構造の変化が現れ始めているようだ。日銀保有国債の年限別残高(6月10日時点)をみると、1年で2年債は9兆円、5年債は14兆円、10年債は25兆円減少の一方、30、40年債は合計4兆円増加した。10年債はこれまで日銀の買い入れが需給を大きく支えてきたため、買い入れ減額局面では市中で吸収すべき規模が他年限対比大きくなる可能性がある。2025年と2026年前半(年初から6月18日)の年限別国債利回りの上昇をみると、2025年が2年債:57bp、10年債:97bp、30年債:110bpの一方、2026年前半は2年債:21bp、10年債:56bp、30年債:38bpとなり、上昇を主導する年限が超長期債(30年債)から長期債(10年債)へと移りつつある。超長期債は発行減額などの供給減が進められ需給環境はある程度改善方向にあるようだ。利上げ局面では短期債投資が選好されやすいなか、今後は10年債の需給悪化が意識され、利回りが相対的に大きく上昇する可能性があろう。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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