Today's Insight

2026/10/7 12:30作成

ユーロ安を考える

■ 相場の潮目を見極めるうえで、エネルギー、仏の財政・政治、がユーロ安のリスク要因に
■ エネルギー価格の高止まりや仏の政治分断と財政再建を踏まえ、ユーロは上値の重い展開

 フランス(仏)の財政懸念や政治不安に端を発した仏国債利回り上昇によって、ドイツ(独)仏10年国債利回り差は先週141bp(終値ベース)まで拡大し、2011年の欧州債務危機以来の高水準を付けた。為替市場ではユーロ安が加速し対ドルは1.11ドル台後半、対円は176円台前半まで下げ幅を広げそれぞれ2025年5月、同11月以来の安値を付けた。日米利上げ観測が高まるなかドル高と円高がユーロの上値を抑えたが、相場の潮目を見極めるうえで今後は(1)エネルギー、(2)仏の財政・政治、がユーロ安のリスク要因となる。

 (1)については、主要7カ国(G7)が市場安定化に向けて、2日にディーゼル燃料など石油備蓄1億バレルの協調放出で合意したほか、湾岸地域の産油国による原油輸出増も相まって足元の原油高は一服した。ただ、米・イラン交渉の先行きは見通せず供給混乱への懸念は拭えない。石油大手は5日の国際会議で、海上輸送の停滞や生産能力の回復遅延、在庫減少によって2027年以降も原油価格は高止まりするとの見通しを示した。北海ブレント先物とNY原油先物は2、5日に下落したが、6日は前日比でほぼ横ばいで下げ渋る動きとなった。

 (2)については、仏政府が1日に2027年の予算案で、財政赤字の対GDP比を5.0%と2026年見通し(同5.4%)から縮小する財政改善策を閣議に提出した。極右政党で国民連合のルペン氏は財政健全化に向けて債務削減を義務付ける憲法上の予算ルール導入を公約に掲げ、2027年の財政赤字を同3.7%、2030年までに同3.0%未満へ縮小するとした。だが、燃料減税や一部労働者の60歳退職制度など歳出増も公約にしており、債務削減に向けた実現性には不確実性が伴う。大手格付け会社の一社は23日に同国の格付けを見直す予定。現在の見通しは「ネガティブ」だが、格付け変更の場合は引き下げの可能性が高いとみられている。2027年4、5月の仏大統領選を見据え、与野党の政治分断によって財政再建は困難との見方が強まれば、短期的にはユーロは上値の重さを意識せざるを得ない。長期的にはユーロドルは、2025年2月以降の上昇幅に対する半値戻し1.1110ドルがターニングポイントとなろう。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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