Today's Insight

2026/9/1 10:00作成

米国株:9月は需給悪化が警戒される季節性

■ 今年は例年以上に9月に株安となりやすい「アノマリー」が意識される
■ 企業業績は底堅く、10月以降の株高傾向も踏まえれば、株価調整に慌てる必要はないだろう

 米国株式市場には9月に株価が軟調になるアノマリー(合理的には説明しにくい経験則)があり、株価調整への警戒感がくすぶる。2000年-2025年のS&P500の月次平均騰落率はプラス0.6%だが、9月はマイナス1.3%と次点の2月(マイナス0.5%)を大きく上回る下落率となっている。一般的には、夏の終わりと認識されるレイバーデー(9月第1月曜日)を境にした機関投資家のポジション調整や投資家心理の変化、投資信託による利益・損失確定売りなどが重なりやすいため、と説明される。加えて、今年は中間選挙年のアノマリーも意識される。2000年-2023年のS&P500の年間平均騰落率はプラス6.6%だが、中間選挙年はマイナス1.8%と大統領選挙当年(マイナス0.1%)とともに下落しやすい傾向にある。また、今年は米人工知能(AI)開発大手が9月にも2兆ドル規模の新規株式公開(IPO)を行うとの見方が強まっている。IPOへの応募のため保有株式を売却する動きが出ることが懸念され、例年以上に株式需給の悪化が意識されやすいと思われる。こうした思惑自体が投資家心理の重しとなり、株価調整につながりやすい地合いとなる可能性は意識しておくべきだろう。

 ただ、株価を見通すうえでより重要な要素は企業業績の動向である。金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計(8月28日時点)によれば、S&P500構成企業のうち96%超の483社が4-6月期決算発表を終え、このうち86%にあたる415社の1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回った。EPSは前年比53.0%増(発表済み企業は実績、未発表企業は市場予想)と決算発表直前の7月初め(同24.4%増)の市場予想を大きく上振れることとなりそうだ。大規模クラウド事業者(ハイパースケーラー)の決算では過去の設備投資がクラウドサービスの利益拡大につながっていることが確認され、半導体大手の決算ではAI関連需要の拡大基調が継続するとの期待が保たれた。7-9月期以降のEPS成長率見通しも上方修正されているほか、ハイパースケーラーの2027年の設備投資計画や世界半導体市場統計(WSTS)が11月に発表する秋季半導体売上高見通しを受けた半導体関連企業の業績見通しの上振れが期待される。11月の米中間選挙に向けて株価調整が入りやすい地合いとなるおそれはあるものの、中期的な株高見通しを修正する必要はないと思われる。前述のアノマリーでは、S&P500は9月に下落後、10月にプラス1.3%、11月にプラス2.1%、12月にプラス0.6%となっており、需給要因で株価調整が生じたとしても慌てる必要はないだろう。


投資調査部長
山口 真弘

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