米国では金融引き締め効果が表れつつある

■ 先週の株価急落を受け、株高と長期金利上昇の併存は難しくなったと考えられる
■ 長期金利上昇の影響は実体経済にも表れ始めており、金融引き締め効果が波及しつつある

 先週の世界的な株価急落を受けて、株式市場からみると、市況は激変しているようにみえるが、債券市場、外国為替市場の変動は小幅にとどまっており、これまでのところ、株式市場の局所的な動きといえる。金融市場の基調を示すものとして筆者が定点観測しているドルインデックスにも著しい変動はみられず、基調を示す50日移動平均線は横ばい推移が続いている。ただし、ドルインデックスと負の相関が強い金(ゴールド)の底打ちが明確になり、トルコリラに象徴される新興国通貨の下落に歯止めがかかりつつあるなど、ドル高モメンタム(勢い)の鈍化を示す間接的な事象が増えている。株式市場ほど急激な変化ではないものの、今後ドル高基調が転換に向かう兆候が表れていることには留意したい。

 今回の株価急落の原因は、今年2月同様、主に米長期金利の上昇に求められる。ただし、金利上昇ペースへの警戒が示された2月と異なり、今回は、既往の金融引き締め政策の累積効果が表面化し始めたことが、極端な形で表れた現象だと捉えている。ここから先は株高と長期金利上昇の併存が難しくなったと考えられ、どちらかが上昇すれば、もう一方には下落/低下圧力が生じやすくなるだろう。なお、最近の米長期金利は、2月に比べて構造的に下がりづらくなっており*1、株式相場にとって、引き続き、重しになりやすいとみている。

 長期金利上昇に伴う借り入れコスト増加の影響は、すでに幾つかの面で観測され始めている。一例を挙げると、大型株に比べて負債比率が高い小型株中心に構成されるラッセル2000指数が、米主要株価指数の急落に先行して、8月末以降ピークアウトしている。また住宅市場では、米30年住宅ローン金利が2011年以来の高水準となる5.10%まで上昇し、これに伴い、中古、新築ともに住宅販売の頭打ち傾向が明確になっている。一般的に、金融政策効果の波及には時間的ラグがあるといわれるが、実体経済にも影響が及びつつあることがうかがえる。

*1 PRESTIA Insight 2018年10月9日「最近の米長期金利上昇の特徴」

※本資料記載のマクロ経済見通しは、当行がライセンス契約を結んでいるCiti Researchの予測を参照しています。

投資調査部
マーケットエコノミスト
祖父江 康宏