Today's Insight
2026/6/11 11:30作成
日本:金融・財政政策の難しい舵取りは続く
■ 6月日銀会合では利上げの一方、国債買い入れ減額停止で長期金利抑制への姿勢が示されよう
■ 消費減税や成長投資に加えエネルギー補助が続けば、財政悪化懸念を再び高めるリスク
15、16日開催の日銀金融政策決定会合では、政策金利は0.75%から1.00%へと引き上げられる見込みだ。足元のデータでは、景気の底堅さとインフレ圧力の高まりが示されている。日銀の政策金利は依然として緩和的な水準にあり、中東情勢の不確実性を理由に様子見を続ければ政策が後手に回り、後から大幅な利上げを余儀なくされるリスクは高まっていると判断されるだろう。これに加えて、今回の会合では、2027年4月の国債買い入れ減額停止が決定される見込みだ。すでに決定している2027年3月までの減額計画では、日銀の国債買い入れ額は、2026年4-6月期の約2.7兆円から四半期ごとに2000億円ずつ減額されていき、2027年1-3月期に約2.1兆円となる計画が示されている。買い入れ減額はここで停止され、2027年4月以降も2.1兆円程度の買い入れが続くことになろう。10年国債利回りは、5月中旬、原油高によるインフレ懸念や財政拡張への警戒感を背景に急上昇し、一時2.8%と1996年以来の高水準をつけた。日銀は6月会合での利上げ実施に加え、先行きの追加利上げの可能性にも言及するとみられるが、買い入れ減額停止という緩和方向の政策を同時にとることで長期金利上昇の抑制に向けた姿勢をみせることになるだろう。
財政に関しては、5日に3.1兆円の補正予算が成立した。最大の支出項目は「中東情勢等対応予備費」の2.5兆円であり、これは主にガソリン補助金の財源に充てられることになるだろう。3月下旬に開始されたガソリン補助金は、原油価格の高止まりで政府の支出を押し上げており、財源は夏頃に枯渇するとされていた。今回の予備費の積み上げはこれに対応したものだ。財務省の発表では、ガソリン補助金への4月の支出額は3,100億円であり、もし毎月同程度の支出が続けば、積み増された予備費はすべて、今年度のガソリン補助金に充当されることになるだろう。今回の補正予算編成に伴う追加的な赤字国債の増発が回避されたことで、5月にみられた過度な財政悪化懸念は後退し、利回りの急速な上昇も落ち着いた。しかし、ガソリン補助金への支出が増加、あるいは電気代・ガス代補助などその他の対策を講じる必要が生じた場合には、再び追加の補正予算が必要となる可能性がある。さらに政府は現在、来年度からの食料品消費減税の実施や、大規模な成長投資への予算を検討*しており、財政懸念が年後半も再び大きく強まるリスクがある。これに対し、巨額の歳出が続くエネルギー補助縮小も検討されており、政策の行方が注目される。中東情勢の混乱が続くなか、政府・日銀の難しい舵取りは続くだろう。
* 詳細は、「PRESTIA Insight 2026.06.01_日本:6月以降に相次ぐ財政イベント」を参照。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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