Today's Insight

2026/4/23 11:50作成

4月ブラジル中銀プレビュー

■ ブラジル中銀は3月に開始した利下げサイクルを続け、2会合連続で利下げを実施するか注目
■ 実質金利は高く利下げ余地は大きい、資源国・地政学リスクからの遠さも好感されている

 本稿では、4月29日(現地時間、日本時間は同30日未明)に結果が発表されるブラジル中銀(BCB)の金融政策委員会(COPOM)を巡る動向を整理する。27日から始まる週は、日本銀行(BOJ)、カナダ中銀(BOC)、米連邦準備理事会(FRB)、イングランド銀行(BOE)、欧州中銀(ECB)と、主要先進国中銀が金融政策会合を開催する予定。2月末以降の中東情勢緊迫化に伴うエネルギー価格高騰の影響を見極めるため、これらの中銀は今回政策金利据え置きとの見方が強い。BCBは前回3月COPOMで公表された声明で「金融政策の調整サイクルを開始することが適切と判断」と示しており、2会合連続で利下げを実施するか注目される。

 金融市場でBCBの利下げ方針が注目されるのは、実質金利水準の高さと物価上昇率の加速の鈍さが要因と推測する。3月の消費者物価指数(IPCA)上昇率は前年比4.14%へ加速したが、BCBの物価目標レンジ(1.5-4.5%)内にとどまる。直近の名目政策金利が14.75%のため、計算上、実質政策金利は10.61%で、2024年にBCBが推計した中立金利(4.75%)を上回っており、利下げ余地は大きい。また、前回3月COPOM時点でBCBの物価見通しは、2026年が3.9%、2027年が3.3%と、IPCAが基調として物価目標レンジを上回る公算は小さいとされる。今回、BCBが物価見通しを再度上方修正するかは注目点の一つとなる。

 ただし、ブラジルは世界有数の資源国であり、地政学リスクが意識される中東や東欧からの地理的な遠さも相まって、相対的に優位な状況にある。国際通貨基金(IMF)は、4月19日に更新した世界経済見通し(WEO)で主要国の2026年経済成長率見通しを軒並み下方修正したが、ブラジルは1.9%と前回1月時点(1.6%)から上方修正された。そうしたなか、2026年の通貨(ブラジルレアル)と株価(ボベスパ指数、現地通貨建て)は堅調さを維持している。昨年末から直近4月22日終了時点で、前者は対米ドル騰落率がプラス9.3%と主要新興国通貨でトップ、後者はプラス19.7%と主要新興国のなかで韓国、台湾、ハンガリーなどに次ぐ上昇率。また、2月末以降でも前者はドル高地合いのなかでプラス3.2%、後者はプラス2.2%である。BCBが利下げサイクル継続を示唆した場合、次の注目点は今年10月に実施される大統領選挙となる。現職ルラ氏(左派)への対抗馬はボルソナロ氏(右派・前大統領の長男)となりそうだが、財政政策の方針やBCBとの連携を巡る動向など、現時点では不確実性が高い。


投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登

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