Today's Insight

2025/12/25 12:45作成

BOC:政策金利は当面据え置かれる公算

■ 加中銀(BOC)は3会合ぶりに政策金利を据え置いたが、通商政策など不確実性は高く慎重姿勢
■ 次の政策金利の方向性や変更時期を予測するのは困難と判断、中銀見通しとの比較で評価へ

 23日、カナダ(加)中銀(BOC)は10日の金融政策決定に至る理事会の議事要旨を公表した。マックレム中銀総裁は「米通商政策や加・米・メキシコ協定(CUSMA)の見直し(2026年予定)が企業活動に不安を与えているほか、高関税への対応も課題」と発言。7-9月期実質GDPは前期比年率2.6%増と大幅な輸入減が起因、政府支出も成長を後押しし景気後退は回避されたが、家計消費や企業の設備投資は低調となった。鉄鋼、アルミニウムなどの米関税は加産業に打撃を与え、通商政策の不透明感が企業の設備投資を抑制。米貿易データの欠如を踏まえ、今後は大幅な改訂の可能性があり、BOCは10-12月期の景気減速を予想している。

 議事要旨では、入手した情報は概ね10月の見通しと一致しており、政策金利の据え置きを決定したと説明。政策金利は中立金利のレンジの下限付近に設定することが適切だとする見解でもメンバーが一致、これによって構造的転換期(財政・産業政策)にある経済をある程度支え、インフレ圧力を抑えると判断した。次回の政策金利変更が利上げか利下げかについても議論し、不確実性が高い現状では変更の時期や方向性を予測することは困難であるとの認識が示された。今後のデータは中銀の見通しとの比較で評価する方針を確認し、重大な新たなショックが発生するか、あるいは経済活動、物価動向が予想と大きく異なる証拠が蓄積した場合には、対応する用意があるとの考えが示された。

 次回理事会は2026年1月28日、金融政策報告書で今後の経済見通しも発表される。11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.2%と中銀目標(2%)近くで推移。2024年12月から2025年2月まで免除された連邦物品サービス税と統一売上税の影響で、一時的に加速する見込みだが、需要の弱さと経済的な緩み(スラック)が貿易再編に伴うコスト圧力を相殺し、CPI上昇率は2%付近で推移すると予想していると、BOCは議事要旨で指摘した。失業率は6.5%と1年4カ月ぶりの低水準を付けるなど雇用情勢は改善していることに鑑みれば、政策金利は当面2.25%に据え置かれる公算が大きい。


投資調査部
シニアFXマーケットアナリスト
二宮 圭子

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