Today's Insight

2020/10/23 12:00作成

トルコ 地政学リスクに加え金融政策も不透明に

■ トルコ中銀は、市場の利上げ予想に反し、主要政策金利を据え置いた
■ 地政学リスクに加え、金融政策も不透明となり、トルコリラは対ドル、対円で史上最安値を更新

 10月22日、トルコ中銀は主要な政策金利である1週間物レポ金利を10.25%で据え置くことを決定した。声明では、「物価見通しへのリスクを抑制するための金融政策と流動性管理措置により、金融の顕著な引き締めが達成された」との認識を示し、「政策金利の据え置きを決定する一方、流動性管理の柔軟性を拡大し、物価見通しが大幅に改善するまで流動性措置を維持する」とした。市場予想では、資本流出によるリラ安が止まらず、9月の消費者物価指数上昇率が前年比11.75%と中銀目標(5%±2%)を依然大きく上回るなか、前回10月6日の政策決定会合に続き、1.75%の利上げを決定するとみられていた。低金利による経済下支えを強く希望するエルドアン大統領に配慮したともみえ、今回の決定は驚きをもって受け止められた。さらに今回は4つある政策金利のうち、上限となる後期流動性窓口金利を13.25%から14.75%に引き上げる決定も行われた。中銀は先行きが見通しづらいと批判があった複数の政策金利による運営を2018年6月から改め、1週間物レポ金利を主要な政策金利と決めていたが、市場は再び金融政策が複雑化するとの懸念を抱いた。今回の金融政策発表を受け、トルコリラは下げ足を強めている。中銀決定後、対ドルで7.97リラ台後半、対円では13円ちょうど近くと、ともに史上最安値を更新。中銀の金融政策についても不透明感が増したことが背景とみられる。

 このところ、トルコリラは主に地政学リスクの高まりを受けて下落傾向にあった。欧州連合(EU)加盟国であるギリシャやキプロスとの東地中海における石油・ガス田探査を巡る問題では、トルコはいったん帰港させた海底資源探査船を再派遣、10月27日まで活動を延長しており、EUは早ければ12月にも港湾施設の利用制限などの制裁を課す模様。アゼルバイジャンとアルメニアの民族紛争への介入については、ロシアが仲介した停戦が失敗に終わり、戦闘は現在も続いている。トルコを巡る地政学リスクは依然山積しており、今後もトルコリラの下落要因であり続けよう。


投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
白鳥 朋子

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