Today's Insight
2026/4/27 13:00作成
ECBの政策判断に関わるデータを点検
■ 4月ECB理事会は金利据え置き予想も、ECBのエネルギーショックの物価への影響評価に注目
■ 足元では企業・家計の景況感は大きく悪化。企業の価格転嫁も進みつつある
4月28、29日に開催予定の欧州中銀(ECB)理事会では、中東情勢の不確実性が高いなか政策金利の据え置きが見込まれており、ラガルドECB総裁の記者会見でのメッセージが注目される。市場では年内2回の利上げが織り込まれているが、ECBが今後の利上げに向けてどのような姿勢をみせるか、またエネルギーショックによるインフレへの影響をどのように評価しているか、総裁の発言が注目されよう。ECBはこれまで、今後の政策判断において、企業の価格設定や賃上げへのスタンス、家計のインフレ期待などを注視するとしており、ラガルド総裁も講演で、適切な政策判断のために「実際のデータを確認する必要がある」と述べている。
23日に公表の4月のPMI調査速報値は、企業の景況感・価格設定行動をみるうえで重要な指標だ。総合指数(48.6、前月比2.1ポイント低下)は大きく低下し、好不況の境目である50を2024年12月以来初めて割り込んだ。低下の主因は、サービス業(47.4、同2.8ポイント低下)であり、コロナ禍の2021年2月以来となる大幅な低下を記録した。一方、製造業(52.2、同0.6ポイント上昇)は上昇し、底堅さを保った。ただし、発表元によれば、企業がさらなる値上げや供給不足に備えた在庫の積み増しによって需要が押し上げられたとしており、指数の底堅さは割り引いてみた方がよいだろう。実際、逆インデックスとなるサプライヤー納期指数は低下し、サプライチェーンが一段と混乱していることを示唆する。また、投入・産出価格指数はともに上昇し、高止まりするエネルギー価格により川上・川下ともにインフレ圧力が高まっていることが示された。特に産出価格指数の上昇からは、企業が価格転嫁を進めつつあること示唆され、コア消費者物価への波及への可能性が高まろう。ただし、足元の投入・算出価格指数は、2008年(金融危機)、2011年(欧州債務危機)のピーク時と同程度まで上昇しているものの、2022年(コロナ禍後、ロシアによるウクライナ侵攻後)と比べればまだ低く、今後の中東情勢を受けて上昇幅が拡大するか注視する必要がある。
欧州委員会(EC)が22日に発表した消費者調査でも、4月の消費者信頼感指数(マイナス20.6、前月比4.2ポイント低下)は大きく低下し、中東情勢の不確実性を受けて消費者心理が大きく悪化したことが示された。28日にはECBによる消費者期待調査によるインフレ期待の公表も予定されており、足元のエネルギーショックの家計へのインパクトがどれほど表れ始めるか、引き続きECBの政策判断に関わるデータの動きに注目したい。
投資調査部
シニアマーケットエコノミスト
米良 有加



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