Today's Insight

2026/3/26 10:50作成

日本株:短期調整警戒、中長期見通しを維持

■ 3月の株価下落は中東情勢の緊迫化に伴うリスクオフが主因で、短期的な調整幅拡大を警戒
■ 中長期的な株価上昇見通しは維持するものの、企業業績見通しの下方修正が進展するか注視

 2月28日に米イスラエルがイランに対して軍事行動を起こしてから1カ月が経過しようとしているが、停戦協議を巡り米イスラエルとイランの情報発信に食い違いがみられるなか、事態収束に向けた動きが強まっているようには感じられない。TOPIXは2月27日に付けた直近高値から3月23日に付けた安値まで11.4%下落(終値ベース)し、一般的な定義上は調整局面に入った。向こう1年予想株価収益率(PER)は同期間に16.8倍から15.8倍に低下しており、株価下落の主因はイラン紛争の長期化を懸念した投資家心理の悪化と整理できる。企業の経営効率改善が進展し株主資本利益率が10%台まで上昇するなかで、TOPIXの予想PERは15-17倍に切り上がったとみられるが、PER15倍にあたる3400ポイント付近まではPER主導での株価調整余地が残ると判断される。

 米国とイランはそれぞれ停戦協議案を示したが、停戦条件とした項目に大きな隔たりがある。停戦協議が始まれば金融市場には一定の安心感が広がるとみられるものの、調整は難航することが想定される。ホルムズ海峡の安全な航行が実現しない限り、原油価格は上昇一服となったとしても高水準で不安定な状況が続く可能性があるだろう。

 植田日銀総裁は18、19日に開催された金融政策決定会合後の記者会見で、原油価格上昇が交易条件の悪化を通じて景気を下押しするとの懸念を示した。金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計によれば、TOPIXの向こう1年予想一株当たり利益(EPS)成長率は12.1%と2月下旬(12.8%)から伸びが鈍化しており、空運・陸運や電気・ガスなどエネルギーコストの上昇が業績下押し圧力となる業種で利益見通しの下方修正が進み始めている。ただ、円安による輸出企業の業績押し上げ効果や政府による燃料油価格定額引き下げ措置などの財政拡張が企業業績の下支えとなるだろう。また、ガソリン価格の高騰を通じて11月に中間選挙を控えるトランプ政権に打撃となるほか、イランにとっても石油関連収入の減少をもたらすことから、原油高の長期化は回避されると見越し、現時点ではTOPIXの年末予想値は4000ポイントで据え置く。なお、原油価格の高止まりが持続するほど、EPSの下方修正が主導する株価下落幅の拡大リスクが高まるとみられるため、当面は中東情勢の行方を注視する必要があるだろう。


投資調査部長
山口 真弘

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