米国とサウジアラビアの関係悪化による影響

■ 米国とサウジアラビアの同盟関係に暗雲が漂い始めた
■ 原油価格高騰によるインフレ上昇が株式相場のリスク要因に

 ムニューシン米財務長官は昨日、サウジアラビア(サウジ)が首都リヤドで23日から開催する「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」を欠席すると表明した。サウジに批判的な著名記者が同国政府によって殺害されたとの疑惑について、16日には国際通貨基金(IMF)がラガルド専務理事のFII不参加を発表するなど、世界中から同国政府に調査と説明を求める動きが広がっている。こうしたなか、米国の中東政策の要ともいえるサウジとの同盟関係維持が困難になる可能性があろう。

 イラン産原油の禁輸措置導入を来月4日に控え、その埋め合わせのために米国はサウジに増産を求めているため、米国とサウジの関係が悪化するとなれば、原油相場への影響が懸念される。先物価格(WTI)は3日に一時1バレル76ドル台まで上昇したものの、その後は軟化しており、足元では1バレル68ドル台で推移している。この背景としては、通商を巡る米中間の対立などにより世界経済が減速し、今後の原油需要減により需給の緩みが意識され始めていることがあろうが、このところの米株安に伴い投資家がリスク回避の動きを強めたことによる影響も大きいとみられる。したがって、この先、米国株式市場が落ち着きを取り戻せば、WTIは持ち直しに転じると想定されよう。加えて、サウジの増産が見送られるとなれば、供給不安への懸念を背景に原油価格が高騰することも考えられよう。

 原油価格が高騰すれば、企業や個人のコスト負担増加につながることで景気の重しとなるだけでなく、インフレ見通しの上昇に伴う米利上げの加速、ひいては米長期金利の急伸を招きかねない。株式相場の先行きを占ううえで、原油相場の動向にも目を配る必要があるだろう。


※本資料記載のマクロ経済見通しは、当行がライセンス契約を結んでいるCiti Researchの予測を参照しています。

投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司