Today's Insight

2026/1/14 11:00作成

日本株:「高市トレード」による株価上昇余地は限定的か

■ 衆院解散・総選挙で高市首相の政権基盤が安定化するとの期待から、「高市トレード」が再燃
■ 2026年度予算による株価押し上げ効果は十分に織り込まれ、さらなる株価上昇余地は限定的か

 9日日本時間夜に、高市首相が23日の通常国会冒頭での衆院解散を検討していると報じられた。14日には自民党幹部にこうした意向を正式に伝えるとされている。高市首相は通常国会での予算審議などを通じて政策実現を優先する姿勢を示していたことから、市場では早くとも2026年度当初予算の成立が見込まれる今春以降に衆院解散の可能性があるとみられていた。衆院選の日程は最速で27日公示、2月8日投開票と報じられており、このタイミングでの衆院解散はサプライズである。

 3連休明け13日には、高市政権への高い支持率を背景に衆院選で自民党が勝利し、政権基盤の安定を通じて高市政権が掲げる政策の実現可能性が高まるとの見方から、日経平均は大幅上昇して最高値を更新。14日には初めて5万4000円台を付けた。ドル円は約1年半ぶりに159円台に到達した。昨年10月以降に生じた「高市トレード」(株高、国債利回り上昇、円安)が再燃した格好となっている。高市政権が掲げる「成長戦略17分野への投資」の恩恵を受ける防衛、原発・エネルギー開発、人工知能(AI)、宇宙関連などのセクターが改めて物色されるほか、円安の恩恵を受けて自動車など外需関連株や、国債利回りの上昇が収益の追い風となる銀行株や生保株も押し上げられている。

 ただ、衆院解散・総選挙に踏み切ったとしても、政権基盤の安定につながらないリスクもあるだろう。政策実現より政局を優先したとの批判があるほか、公明党の連立離脱が自民党の選挙戦に及ぼす影響を見通し難い。自民党の政党支持率が低迷するなか、衆院選で与党(自民党、日本維新の会)の獲得議席が伸び悩む可能性は否めず、衆院選後に政権基盤が安定化するかは不透明だ。なお、少数与党である参議院で法案を成立させるため、野党の協力が欠かせない状況は衆院選前後で変わりはない。2026年度予算案が昨年12月26日に閣議決定され一般会計総額が122.3兆円と定まったことで、財政拡張策は株価に十分に織り込まれたとみられるうえ、政権基盤が安定化したとしても新たな財政拡張策が打ち出されるとは思われない。TOPIXの向こう1年予想株価収益率(PER)は13日時点で16.36倍と、割高圏の上限とみられる16倍を上回っており、足元で再燃した「高市トレード」によるさらなる株価上昇余地は限定的とみるべきだろう。


投資調査部長
山口 真弘

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