Today's Insight

2026/2/10 11:15作成

米国株:2025年10-12月期決算 中間レビュー

■ AI需要の強さが確認される一方、過剰投資懸念が関連銘柄の株価の重しに
■ 米景気が底堅く推移するなか、AIの社会実装が進むとの期待から、循環物色が指数を下支え

 S&P500構成企業のうち293社が先週末までに2025年10-12月期決算発表を終えた。金融情報会社LSEG I/B/E/Sの集計によれば、このうち約77%にあたる225社が市場予想を上回る一株あたり利益(EPS)を公表した。EPSは前年比13.5%増(発表済み企業は実績、未発表企業は市場予想)と、決算発表直前にあたる1月初めの市場予想(同8.9%増)を大きく上回り、セクター別では、情報技術(IT、同26.5%増→30.6%増)、資本財(同1.7%減→15.9%増)、コミュニケーション・サービス(同7.3%増→15.1%増)、金融(同6.7%増→12.2%増)、などの上振れが見込まれる。セクター別寄与度をみると、ITセクターが7.7%ポイントと全体をけん引する一方、ITを除く10セクターの合計で5.8%ポイントにとどまる。ハイテク大手の決算では人工知能(AI)関連需要の拡大期待が保たれたものの、一部企業によるAI関連の過剰投資への懸念が再燃したほか、AIの浸透によりソフトウエア関連企業の業績に逆風が強まるとの見方が強まった。

 各年の予想EPS成長率に対するセクター別寄与度をみると、2025年が13.3%のうち5.8%ポイントを、2026年が15.6%のうち7.8%ポイントを、それぞれITセクターが占める。ハイテク・半導体セクターの業績拡大の継続性に加え、AIの普及による他のセクターの利益率向上につながるか注目される。向こう1年予想株価収益率(PER)は22.3倍と昨年10月の直近ピーク(23.3倍)を下回り、ITセクターは26.1倍と同時期(31.8倍)から調整が進んでいる。S&P500は上昇(6840→6932ポイント)するなか、AI関連投資の収益性に対する市場期待が調整され、割高感が和らいでいる。一方、米景気の底堅さが保たれるとの見方から投資家のリスク選好が保たれるなかで、AIの社会実装が進展し利益率が改善するとの期待がくすぶり、景気敏感株などへの循環物色により指数が下支えされる構図となっている。決算発表などを通じてAI関連の需要拡大を確認しながら株価は上昇基調をたどるとみる。

 なお、次期米連邦準備理事会(FRB)議長に指名されたウォーシュ氏はバランスシート(BS)の縮小を主張しており、数兆ドルは余剰であるとの見解を示している。FRBのBS(対GDP比)は2022年から縮小基調にあるものの、2025年7-9月期には約21%と2008年の金融危機以前の水準(約6%)と比較し大きく膨らんでいる。BS縮小を本格化すれば長期に亘る過剰流動性相場が変調を来たし、株価水準の大幅な調整を引き起こすリスクがある。ベッセント米財務長官は9日、BS縮小に迅速に動くとは考えていないとの見解を示したものの、今後行われる上院指名公聴会でウォーシュ氏がどのような政策運営方針を示すか注目したい。


投資調査部長
山口 真弘

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