Today's Insight
2026/5/1 12:40作成
円相場:4月30日のドル円急落は実弾介入の可能性
■ 4月30日にドル円は160円台後半から一時155円台半ばへ急落、異例の状況下だったと認識
■ 160-162円が介入警戒ラインとなるも円高基調には転じづらい、介入の効力の持続性に注目
4月30日に日本当局が円買い・ドル売りの実弾介入を実施したと思しき値動きがみられた。ドル円は、アジア時間終盤に2024年7月以来の160円台後半まで上昇したが、片山財務相と三村財務官の円安けん制発言後、欧州時間に一時155円台半ばまで急落。LSEGのデータでは、一日の値幅が5円を超えたのは2024年5月1日以来で、この時も日本当局は実弾介入を実施した。本日5月1日の夕方に日銀が公表する「当座預金増減要因(財政等要因)」で事前予想以上に下振れする結果であった場合、介入が実施されたと推定される。
4月23、24日の両日に財務相は、大型連休中も米国当局と連携を取り、為替市場の投機的な値動きには断固たる措置を取り得ると、介入実施へ向けて強いトーンでけん制を行っていた。また、2024年4月29日と5月1日にも日本当局は実弾介入を実施した実績から、金融市場では今年の大型連休中の介入実施に対して警戒感が広がっていた。しかしながら、今回日本当局が実弾介入を実施していた場合、従来と異なる異例の状況下だったと認識している。
理由は、(1)直前のけん制発言がより具体的だった点、(2)欧州中銀(ECB)と英中銀(BOE)がともに金融政策会合の政策決定を発表する当日だった点、などが挙げられる。(1)財務相は「いよいよかねてから申し上げてきた断固たる措置を取るタイミング近づいている」と述べ、財務官は「これを最後の退避勧告として申し上げる」と重ねた。後講釈として振り返ると、実弾介入実施へ向けて極めて踏み込んだ発言だったといえる。(2)ドル円の下落は日本時間19時20分頃から20時30分頃までが急激だったが、BOEとECBの結果発表はそれぞれ20時と21時15分の予定だった。主要中銀の金融政策決定発表の時間帯に重ねての実弾介入実施だったならば、日本当局の円安進行を抑える意思は極めて強いと推察される。
5月1日に財務官が「大型連休はまだまだ序盤と認識していただく」と述べ、追加の実弾介入実施へ向けた警戒感が残る。また、ドル円の160-162円レンジは介入警戒ラインとして市場参加者に強く認識されたと推測され、上値を抑えよう。一方で、日本の実質金利の相対的な低さや原油価格高止まりに伴う交易条件悪化懸念から、円高基調へ転じづらい状況と想定する。介入実施の効力がどの程度続くかが当面の注目点となる。なお、2024年の大型連休後は、2回の実弾介入実施後に約1カ月で157円後半へ、約2カ月で160円台へ値を戻した。
投資調査部
シニアマーケットアナリスト
合澤 史登



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