Today's Insight
2026/3/30 10:00作成
原油:原油高が長期化する蓋然性は高まってきた
■ 中東情勢の緊迫化を受けて、世界の原油供給見通しが大きく下方修正された
■ EIAは過去最大の脅威にさらされていると認識、原油高が長期化する蓋然性は高まってきた
国際機関による3月時点の世界原油需給見通しが出揃った。
2026年の世界の原油需要(日量)の伸びに関して、石油輸出国機構(OPEC)は138万バレル増(2025年:1億515万バレル→2026年:1億653万バレル)と前月の見通しを概ね据え置いた。米エネルギー情報局(EIA)は123万バレル増(2025年:1億394万バレル→2026年:1億517万バレル)と前月(120万バレル増)から小幅に上方修正した一方、国際エネルギー機関(IEA)は70万バレル増(2025年:1億410万バレル→2026年:1億480万バレル)に前月(100万バレル増)から下方修正した。IEAは下方修正の背景として、2月末以降のイラン紛争により、原油高や航空便の欠航、経済の不確実性が高まったことを挙げている。
2026年の世界の原油供給(日量)の伸びは下方修正された。EIAは同73万バレル増(2025年:1億631万バレル→2026年:1億704万バレル)に前月(156万バレル増)から下方修正し、IEAも同110万バレル増(2025年:1億610万バレル→2026年:1億720万バレル)に前月(240万バレル増)から見通しを引き下げた。以上から2026年の供給超過幅について、IEAは370万バレルから240万バレルに、EIAは306万バレルから187万バレルに、それぞれ前月から大きく縮小した。なお、ダラス連銀は25日に、中東情勢の先行き不透明感が強いなかで米石油企業は増産に慎重な姿勢を維持するとの調査結果を発表しており、米国の生産が原油需給の緩和につながるとは思われない。
IEAはホルムズ海峡の事実上の封鎖や中東各国の石油施設への攻撃に伴う減産により、中東湾岸国の石油生産量が全世界の消費量の1割にあたる日量1000万バレル減少したとの分析を示し、世界のエネルギー安全保障は過去最大の脅威にさらされているとの認識を示した。IEA加盟国は過去最大となる4億バレルの石油備蓄を協調放出することで合意し、IEAはさらなる協調放出の準備があるとしたが、ホルムズ海峡の開放が実現しない限り根本的な対策にはならないとしている。米国とイランがそれぞれ提示した停戦条件には大きな隔たりがあり、歩み寄りの動きはみられない。米政府は4月6日までイランの発電所への攻撃を延期するとしたが、イスラエルを含めた停戦協議が進展せず再び軍事行動が活発化すれば、原油先物価格(WTI)は急騰するだろう。ホルムズ海峡の開放までには時間がかかるうえ、同海峡が開放され輸送能力が改善しても、幅広く攻撃を受けた中東湾岸諸国の原油供給能力が早期に復元するとは想定し難い。原油高が長期化する蓋然性は高まってきたと感じられる。
投資調査部長
山口 真弘



Japanese
English
