Today's Insight

2020/8/13 12:00作成

米国株:米長期金利上昇と消費マインド悪化を警戒

■ 引き続き、米国の実体経済と株価のかい離は大きく、金融相場が形成されている
■ 目先は、米長期金利の動向と8月のミシガン大消費者信頼感指数には注意が必要

 米国では、4-6月期実質GDPが前期比年率32.9%減と、統計が開始された1947年以降で最大の落ち込みとなった。加えて、1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数はおよそ5万人程度と、7月中旬の7万人超からは減少傾向にあるとはいえ高水準にあり、景気の先行き不透明感は拭えない。しかしながら、株式市場に目を向けると、ナスダック総合の年初来上昇率は22%を超え、S&P500も2月19日に付けた取引時間中の過去最高値(3393.52ポイント)まで0.4%弱の水準に迫っている(いずれも8月12日終値ベース)。実体経済と株価のかい離は大きく、いわゆる金融相場が形成されている状況が続いている。

 金融相場である以上、この先も株価上昇が続くか否かは、低金利や過剰な流動性といった緩和的な金融環境が維持されるかどうかがカギとなる。7月28、29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見では、景気回復ペースの鈍化を警戒したうえで、一段の財政政策と金融政策面でのサポート継続が必要であるとの認識が示された。こうしたなか、市場ではフォワードガイダンス(中央銀行が前もって示す将来における金融政策の方針)が強化されるとの期待も高まっており、株式市場にとって追い風が強まる可能性はあれど、逆風に転じることは当面、想定しづらい。

 ただ、目先については、米長期金利の動向と14日に発表される8月のミシガン大消費者信頼感指数(速報)には注意が必要だろう。前者については、直近1週間は上昇傾向にあり、現時点では7月上旬以降に低下した反動の範疇といえようが、急ピッチな上昇が続くようであれば、「低金利」という前提が揺らぎ始める可能性がある。また、後者については、72.0と市場では予想されており、新型コロナ感染拡大後の最低値(4月:71.8)に肉薄するとみられている。米GDPのおよそ7割を占める個人消費、その先行指標とされる同指数が仮に4月の水準を下回ったとすれば、「景気の最悪期は脱した」との見方に疑念が生じ、金融相場といえども投資家はリスク回避姿勢を強める可能性があるだろう。



投資調査部
シニアマーケットアナリスト
佐溝 将司

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