PRESTIA Insight

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Today's Insight

2019/4/23 12:00作成

GW中に想定されるリスクシナリオ

■ 緩和的な金融環境と世界経済の先行きに対する懸念の緩和が足元のリスクオンの背景
■ GW中に金融環境への認識が変わる可能性は低いが、景気認識が悪化するリスクは小さくない

 米連邦準備理事会(FRB)や欧州中銀(ECB)のハト派化に伴い緩和的な金融環境が長く維持される見込みとなった一方、米景気の底堅さや中国景気の底入れ観測により世界経済の先行きに対する懸念が緩和しており、金融市場ではリスク選好的なムードが醸成されている。日本がゴールデンウィーク(GW)の10連休(4月27日から5月6日)を迎えるなか、こうした背景に変化がないか注視しておきたい。
 
 前者については、米国で発表される3月の個人消費支出(PCE)デフレーター(4月29日)、4月の雇用統計(5月3日)における平均時給、などに注目が集まるが、今年に入ってFRBはハト派に急転換したばかりであり、単月の結果をもって再び利上げ継続路線に舵を切るとは考えにくい。同様の理由から、米連邦公開市場委員会(FOMC、4月30日、5月1日)も無風に終わる公算が大きだろう。足元では、原油高の進行がやや気掛かりではあるが、それでも昨年高値(WTIで1バレル=76ドル台、本稿執筆時点は65ドル台)とはまだかい離があり、FRBのスタンスが変わるほどのインフレ加速が懸念される水準ではない。したがって、金融環境についての認識が大きく変わる可能性は低いとみている。

 後者については、米国では、4月のISM製造業景況感指数(5月1日)や4月の雇用統計が発表されるが、より注目度が高いのは4月30日に中国で国家統計局が発表する4月の製造業PMIだろう。3月の同指数が市場予想を上振れ、好不況の分かれ目となる50を4カ月ぶりに回復したことをきっかけに中国景気の底入れ観測が一気に広がった印象があるだけに、再び悪化すれば急速に期待が萎むことも想定される。仮に、3月分は春節の影響で抑えられた2月分の反動による影響が大きかったとすれば、そのような結果になる可能性は低いわけでもないだろう。中国に端を発して世界経済の先行きに対する懸念が強まることでリスクオフの地合いに転じる、これがGW中に最も警戒すべきリスクシナリオであると筆者は考える。



投資調査部
マーケットアナリスト
佐溝 将司

注目のチャート

2019/4/19 11:30

新興国債券指数と米ドルの連動性に注目

新興国債券指数と米ドルの連動性に注目

 上記は、新興国債券総合指数と各地域別の新興国債券指数(いずれも米ドル建て・為替ヘッジなし)の推移を示した。これら指数の騰落実績は、2015年に南米の指数が劣後する場面もあったものの、それ以外の期間はどの地域の指数も概ね同じ値動きとなっていることが見て取れる。

 今後の新興国債券市場全般の動向を考える際、筆者が注目するのは米ドルの総合的な価値を示す指標と言われる「ドルインデックス」との関係である。過去15年間の値動きから算出したところ、ドルインデックスと新興国債券総合指数(米ドル建て・為替ヘッジなし)の相関係数は「マイナス0.49」となった。つまり、過去の実績からは、「米ドル安(高)進行と新興国債券総合指数の上昇(下落)には一定の連動性がある」と指摘できるのではないだろうか。上記のチャートが示す通り、新興国債券は地域差が出にくい資産クラスと解釈できよう。そのため、新興国債券全般の先行きを考える上で、米国の金融政策の行方に対する注目度を相対的に高く位置づける必要があろう。他方、個別国の情勢に注目が必要な例外としては、政治の混乱がある。例えば、2015年のブラジルでは、政治情勢の悪化とともにレアル安が大幅に進み、国債価格の低下につながった。

 なお、当行の新興国債券全般に関する見通しは「中立」を維持している。ただ、ポートフォリオ運用と長期投資の観点から、高い利子収益に着目し資産配分比率を抑えつつポートフォリオに組み入れることは、検討の価値があると考えている。


投資調査部
マーケットアナリスト
合澤 史登

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