外貨コラム ― 外貨を持つ理由
日本の人口動態から外貨運用を考える

更新日:2017/4/28

山口 真弘
山口 真弘
シニアマーケットアナリスト

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が4月10日に公表した、長期的な日本の人口を予測する「将来推計人口」によれば、2065年の人口は2015年と比べて3割減少し8808万人になると試算しています。こうした人口動態が日本経済に及ぼす影響を、財政問題と経済成長のふたつの側面から考えます。

資産負債バランスの悪化が見込まれる

人口全体に占める65歳以上の比率が上昇し、高齢化社会が一段と進むにつれて、貯蓄率はマイナスになると思われます(図表1)。これは、家計で貯蓄の取り崩しが始まることを意味しています。円安・株高を反映し、家計が保有する金融資産は昨年末時点で約1800兆円と過去最高となりましたが、貯蓄率がマイナスに落ち込めば減少基調に転じる恐れがあります。一方で、いわゆる国の借金(国債、借入金、政府短期証券)は約1066兆円で、社会保障費の増加などを通じて拡大傾向が続くでしょう。現時点の日本の財政は資産が超過していますが、資産と負債のバランスは悪化していくことが見込まれます。

■図表1: 65歳以上人口比率と家計貯蓄率
1995年 65歳以上比率=14.5% 2015年 65歳以上比率=26.6% 2025年(見込み) 65歳以上比率=30% 2040年(見込み) 65歳以上比率=35.3% 家計貯蓄率 -25% -20% -15% -10% -5% 0 5% 10% 15% 20% 25% 65歳以上人口比率 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%

出所:国立社会保障・人口問題研究所(出生中位・死亡中位推計)

成長会計とは

全体の人口が減少することに加えて、少子高齢化という構造問題が解決しないことから、2065年の生産年齢人口(15-64歳)は2015年と比べて4割減少する見通しです。成長会計の観点から考えると、こうした働き手の減少は日本経済にとっては強いマイナス要因となる可能性があります。成長会計とは、経済成長の「内訳」に注目して、その要因を探る手法です。ここでいう「内訳」とは3つの要素があり、①生産性、②資本ストック、③労働力、に分類されます。この考え方に従えば、技術革新などを通じた生産性の向上や、設備投資意欲を高めるような需要喚起策が打たれない限り、生産年齢人口の減少が労働力の低下につながる公算が大きくなります。人口動態は日本経済に重くのしかかる構造問題であり、資産運用を考えるにあたっては、国内の低金利環境が長期化するリスクを認識しておくべきではないでしょうか。

「72の法則」を思い出す

72の法則とは、「複利運用により元本を2倍にするために必要な運用期間」を割り出すもので、利回り(年率)×運用期間=72の公式で示されます。例えば、7%の利回り(年率)で運用した場合、元本が2倍になるまでに必要な運用期間は約10年となります。経済の「体温」に例えられる金利は経済活動が活発な国の方が相対的に高い傾向にあり、複利運用の利回りは運用期間が長期化するほど成果に大きな差を生みます(図表2)。為替リスクを極端に嫌い、国内資産にとどまっているのは、財政悪化や低成長といった日本特有のリスクにさらされていることを認識すべきです。相対的に期待収益の高い海外資産を一部保有することを検討されてみてはいかがでしょうか。

■図表2: 運用開始時点=100として複利運用した場合のシミュレーション
7% 5% 3% 1% 運用開始 1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

出所:SMBC信託銀行投資調査部作成

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